展覧会「没後50年 髙島野十郎展」が、2026年3月25日(水)から6月21日(日)まで、大阪中之島美術館にて開催される。千葉県立美術館でも開催された巡回展だ。
 
 髙島野十郎(たかしま やじゅうろう)は、1890年、福岡県久留米市に生まれた洋画家。美術団体に属することなく、自らの理想を追い求めて創作を続けたその姿勢から、「孤高の画家」と呼ばれている。野十郎の作品は「蝋燭」や「月」を題材に、細部まで描き込む“徹底的な写実表現”を特徴とした。
 
 「没後50年 髙島野十郎展」は、代表作はもちろん、初公開作品も含めた約150点が一堂に会する、過去最大規模の回顧展。従来の展覧会では大きく取り上げられることがなかった側面にもスポットを当て、野十郎の芸術の根にあるルーツや思想、人物像を読み解きながら、その絵画世界に思う存分浸ることができる。
 
 まず初めに紹介するのは、野十郎の画業の全体像。代表作である《蝋燭》や《月》のほか、自画像や静物画、風景画など、野十郎の代表作品が並べられ、その卓越した技術と緊張感がみなぎる独特の写実的筆致を堪能できる。
 
 「孤高の画家」と呼ばれてきた野十郎だが、同時代の美術の流れから断絶していたわけではなかった。明治時代末に多くの若い日本作家を魅了したフィンセント・ファン・ゴッホから大きな影響を受け、さらに細密な写実描写を展開した岸田劉生にも強く触発されている。ここでは、野十郎の画風が確立されていく過程を捉えるとともに、《田園太陽》や《静物(湯呑と茶碗と林檎三つ)》などの作品を紹介していく。
 
 旅を愛した野十郎が描いた、四季の風景画作品にも注目したい。ヨーロッパ滞在や日本各地を巡る旅で心惹かれた景色を、その土地の光や空気、匂いまで捉え、経験のすべてを1枚に凝縮している。本章では、《イタリヤの海 キオッジア漁村》《れんげ草》など、野十郎が見て感じた情景が並ぶ。
 
 このほか《睡蓮》や《さくらんぼ》といった野十郎の代表作も数多く登場する。ひとつずつ作品と向き合い、そこに込められた意図に想像を巡らせることで、野十郎の眼差しや絵描きとしての在り方に触れられそうだ。
【詳細】
展覧会「没後50年 髙島野十郎展」
開催期間:2026年3月25日(水)〜6月21日(日)
開場時間:10:00〜17:00(入場は16:30まで)
開場:大阪中之島美術館 4階展示室
住所:大阪府大阪市北区中之島4-3-1
【問い合わせ先】
大阪市総合コールセンター(なにわコール)
TEL:06-4301-7285
※受付時間8:00〜21:00(年中無休)