《つくばセンタービル》などを手がけた建築家・磯崎新、没後初の大規模回顧展が水戸芸術館で
企画展「磯崎新:群島としての建築」が、茨城の水戸芸術館現代美術ギャラリーにて、2025年11月1日(土)から2026年1月25日(日)まで開催される。
磯崎新、没後・国内初の大規模回顧展
©Kochi Prefecture, Ishimoto Yasuhiro Photo Center Photo: Yasuhiro Ishimoto
20世紀を代表する建築家として知られる、磯崎新(いそざき あらた)。1931年大分に生まれた磯崎は、《大分県立図書館(現・アートプラザ)》、茨城の《つくばセンタービル》、《ロサンゼルス現代美術館》を手がけるなど国際的に活躍し、2019年には「建築界のノーベル賞」と称されるプリツカー賞を受賞している。
「Arata Isozaki: In Formation」(2023年)展示風景
Courtesy of Power Station of Art, Shanghai
企画展「磯崎新:群島としての建築」は、2022年に世を去った磯崎の没後・国内初となる大規模回顧展。磯崎が設計を手がけた水戸芸術館を会場に、建築プロジェクトや都市計画にとどまらず、著作活動、芸術家とのコラボレーションなど幅広い領域で活躍した磯崎の軌跡をたどってゆく。
「群島」として構成する磯崎の軌跡
木 H240×W240×D180cm 1990年
©Kochi Prefecture, Ishimoto Yasuhiro Photo Center, Photo: Yasuhiro Ishimoto
単一の領域に留まることのない磯崎の足跡を捉える鍵となるのが、「群島」だ。磯崎は自身の著書『建築における「日本的なもの」』において、「グローバリゼーション状態のなかに沈殿物が発生し、これが〈しま〉をつくり、世界は無数の凝固の集合体としての、群島(アーキペラゴ)となるだろう。そのひとつの〈しま〉のつくりだされかたは、〔...〕もっと多様に開発されねばなるまい」と記している。本展では、建築の枠を超えて活躍した磯崎の活動を、「群島」のように捉えて紹介する。
磯崎の建築を展観
Photo: Hisao Suzuki
会場では、建築模型や図面、スケッチ、映像、写真、大型インスタレーションなどを用いて、磯崎の活動を紹介。丹下健三の研究室に所属していた時期に携わった《東京計画1960》から、《大分医師会館》や《福岡相互銀行》、《大分県立図書館》などの初期作品、《つくばセンタービル》、《カタール国立コンベンションセンター》といった国内外の代表作まで、磯崎の建築の数々をたどってゆく。
戦後日本美術や現代美術との関わり
水彩 H18×W17.1cm 1994年
©Estate of Arata Isozaki
磯崎は建築家であるとともに、美術の領域とも関わってきた。本展では、岡山の《奈義町現代美術館》や、アニッシュ・カプーアと協働した《ルツェルン・フェスティバル アーク・ノヴァ》など、アーティストとのコラボレーションによる建築プロジェクトに加えて、パリで開催され、以後海外4都市を巡回した展覧会「間展」などを取り上げ、戦後日本美術や現代美術との関わりに光を当てる。
建築をモチーフとしたシルクスクリーンや水彩画も
シルクスクリーン H90×W63cm 1983年
©Estate of Arata Isozaki
磯崎は自身の作品を、建築模型や図面ばかりでなく、さまざまな表現媒体で発表した。会場では、《群馬県立近代美術館》など、磯崎の1970年代の主要建築をシルクスクリーンで表現した「還元」シリーズや、 1980年代後半から1990年代前半にかけて手がけた建築をモチーフにした24点の水彩画を展示する。
展覧会概要
企画展「磯崎新:群島としての建築」
会期:2025年11月1日(土)〜2026年1月25日(日)
会場:水戸芸術館現代美術ギャラリー
住所:茨城県水戸市五軒町1-6-8
開場時間:10:00~18:00(入場は17:30まで)
休館日:月曜日(11月3日(月・祝)・24日(月・振)、1月12日(月・祝)は開館)、11月4日(火)・25日(火)、12月27日(土)~1月3日(土)、1月13日(火)
入場料:一般 900円、団体(20名以上) 700円
※高校生以下、70歳以上、障害者手帳などの所持者および付添者1名は無料
※学生とシニアのための特別割引デー「First Friday」:学生証の所持者および65~69歳の来館者は、毎月第1金曜日(11月7日、12月5日、1月9日)は100円にて観覧可
【問い合わせ先】
水戸芸術館(代表)
TEL:029-227-8111
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