企画展「フジタからはじまる猫の絵画史 藤田嗣治と洋画家たちの猫」が、東京の府中市美術館にて、2025年9月20日(土)から12月7日(日)まで開催される。

日本の洋画家が描いた猫たちを一挙公開

浮世絵や日本画、現代美術など、日本の美術のなかでたびたび描かれてきた、猫。企画展「フジタからはじまる猫の絵画史 藤田嗣治と洋画家たちの猫」は、藤田嗣治を起点に、日本の洋画家が猫を描いた洋画作品を紹介する展覧会だ。

藤田嗣治と猫

明治時代に洋画が生まれた当初、猫が作品に描かれることはほとんどなかった。これは、洋画家が手本とした西洋の絵画では、主役は人物であり、動物の絵が少ないためであった。こうしたなか、猫を洋画の魅力的なテーマへと押し上げたのが、藤田嗣治である。藤田は、「乳白色の裸婦」のそばに1匹の猫を描いたことに始まり、猫を自画像に描きこんだりと、自身を印象付けるモチーフとして猫の姿を取り入れてきたのだ。

26人の作家による“猫”の作品が一堂に

本展では、藤田が描いた「裸婦の横の猫」を起点に、26人の作家による83点の作品をとおして、洋画における猫の展開を紹介。《五人の裸婦》や《猫》、《猫の教室》、《猫を抱く少女》といった藤田の作品を筆頭に、木村荘八(きむら しょうはち)のハイカラな猫の絵《猫恋人(ねこらばさん)》、前衛画家・中原實(なかむら みのる)が子猫を愛くるしく描いた《猫の子》など、猫を描いたさまざまな洋画が一堂に会する。

猪熊弦一郎が描く猫

藤田ののち、猫の絵に大きな展開をもたらしたのが、猪熊弦一郎(いのくま げんいちろう)であった。長い創作活動のなかで、具象画から抽象画へと大きく転換した猪熊は、とりわけ1950年代に猫の絵に取り組んでいる。会場では、最大級の油彩画《猫によせる歌》から、ユニークな猫を所狭しと描いたスケッチブックまで、15点を展示する。

西洋と日本における動物観の違い

また、藤田以前の猫の絵にも着目。西洋では、絵画の主役は人物であるという芸術観から、動物を描いた絵画が少なかった。一方、日本では、人と動物は同じ心を持つという仏教の教えを背景に、動物の絵画が描かれてきた。本展では、エドゥアール・マネ《オランピア》の版画や菱田春草《黒猫》などを交えつつ、西洋と日本における動物観の違いを浮かびあがらせてゆく。

展覧会概要

企画展「フジタからはじまる猫の絵画史 藤田嗣治と洋画家たちの猫」
会期：2025年9月20日(土)〜12月7日(日) 会期中に一部作品の展示替えあり
会場：府中市美術館 2階企画展示室
住所：東京都府中市浅間町1-3 都立府中の森公園内
開館時間：10:00〜17:00(入場は16:30まで)
休館日：月曜日(10月13日(月・祝)、11月3日(月・祝)・24日(月・振)は開館)、10月14日(火)、11月4日(火)・25日(火)
観覧料：一般 1,000円(800円)、高校・大学生 500円(400円)、小・中学生 250円(200円)、未就学児 無料
※( )内は、前売および20名以上の団体料金
※障碍者手帳(ミライロID可)の所持者および付添者1名は無料
※府中市内の小・中学生は「府中っ子 学びのパスポート」で無料
※本展観覧料でコレクション展も観覧可

【問い合わせ先】
ハローダイヤル
TEL：050-5541-8600