展覧会「柚木沙弥郎 永遠のいま」が、静岡市美術館にて、2025年8月16日(土)から10月13日(月・祝)まで開催される。島根県立美術館などでも開催される巡回展だ。
柚木沙弥郎(ゆのき さみろう)は、2024年に101歳で世を去るまで、75年にわたって活動を続けた染色家だ。無名の日用品に美を見出す「民藝」の思想に出会った柚木は、芹沢銈介のもとで染色家としてスタート。やがてその創作は、版画やコラージュ、絵本、立体作品など、多岐に広がってゆくことになった。
展覧会「柚木沙弥郎 永遠のいま」では、柚木の代表作の数々をとおして、創作活動の全貌を紹介。自由で伸びやかな形と豊かな色彩で作られた染色作品を中心に、版画、コラージュ、絵本など、約300点の作品を一堂に集めて展示する。
染色の道に進んだ柚木は、型紙を使って布地に模様を染めだす「型染(かたぞめ)」を学び、なかでもその一種である「注染(ちゅうせん)」に取り組んだ。布を折りたたみながら型紙を使って糊を置き、 染料を注いで色をつける注染は、浴衣や手ぬぐいなど、小幅の布地を染める技法であった。しかし、柚木は試行錯誤の末、広幅の布地 へと応用することに成功し、生活の洋風化にも対応できる染めものを展開したのであった。本展では、初の染色作品《紅型風型染布》、広幅の《注染ロマネスク文布》や《型染むら雲三彩文着物》など、柚木の染色作品を紹介する。
柚木は1980年代、自身の仕事に自己模倣の恐れを感じ、版画やガラス絵、立体作品などへと表現の幅を広げ、絵本の制作にも取り組んだ。会場では、初公開となる最晩年のコラージュや、『トコとグーグーとキキ』絵本原画など、多岐にわたるジャンルの柚木作品を展示する。
柚木は一方、服地としての需要の減少を背景に、染色を実用から解放された「作品」として制作するようになったという。本展では、《ならぶ人ならぶ鳥》をはじめ、柚木の染色作品の多彩な広がりにもふれることができる。
静岡市美術館開館15周年記念展「柚木沙弥郎 永遠のいま」
会期:2025年8月16日(土)〜10月13日(月・祝)
会場:静岡市美術館
住所:静岡県静岡市葵区紺屋町17-1 葵タワー 3F
開館時間:10:00〜19:00(入場は閉館30分前まで)
休館日:月曜日(9月15日(月・祝)、10月13日(月・祝)は開館)、9月16日(火)
観覧料:一般 1,400円(1,200円)、高校生・大学生・70歳以上 1,000円(800円)、中学生以下 無料
※一般前売ペアチケット 2枚1組 2,200円
※( )内は前売および20名以上の団体料金
※前売券は6月下旬から8月15日(金)まで販売予定
※障がい者手帳などの持参者および付添者(原則1名)は無料
【問い合わせ先】
静岡市美術館(代表)
TEL:054-273-1515