展覧会「きもののヒミツ 友禅のうまれるところ —京都 千總コレクションを中心に」が、静岡市美術館にて、2025年10月25日(土)から12月21日(日)まで開催される。京都国立近代美術館でも開催される巡回展だ。
日本の伝統的な衣装である、きもの。「きもののヒミツ 友禅のうまれるところ —京都 千總コレクションを中心に」展は、友禅の老舗・千總(CHISO)のコレクションを中心に、近世のきもの、近現代の人間国宝によるきもの、そして円山応挙や近代京都画壇の絵画などを一堂に集め、きものとその意匠の背景に光を当ててゆく。
きものは、曲線的なパターンで立体的に仕立てる洋服とは異なり、布地を直線縫いで仕立てるために強い平面性を持つものの、身に纏うことで立体物となる。また、織りや染め、刺繍など、さまざまな技法を駆使した、多種多様な意匠も特徴だ。本展では、豪華な模様を施した麻のきもの《帷子 納戸麻地春秋景に御所車殿舎模様》や、友禅ならではのグラデーションが際立つ《小袖 納戸綸子地芦に鷺流水蛇籠模様》など、さまざまなきものを紹介する。
きものの意匠は、幕末頃には形式化に陥っていたものの、明治時代に入り、京都画壇の画家が下絵を手がけるようになると、新たな息吹を吹きこまれることになった。また、きものの制作現場ではさまざまな試行錯誤がなされ、明治時代中期以降、染織図案はいっそう多様化してゆくことになった。会場では、幸野楳嶺(こうの ばいれい)など、京都画壇の画家が下絵を描いた友禅を紹介するほか、図案から友禅染、きものへといたる過程を、神坂雪佳(かみさか せっか)が原画を手がけた意匠などを例に紹介する。
さらに、友禅の人間国宝によるきものも展示。京都ではこれまで、友禅の技法により、5名の人間国宝が認定されている。本展では、森口華弘(もりぐち かこう)の《友禅訪問着「彩華」》や三代田畑喜八(たばた きはち)の《一越縮緬地鳳凰桐文振袖》といった作品を交えつつ、きものの平面性と立体性を探ってゆく。
展覧会「きもののヒミツ 友禅のうまれるところ —京都 千總コレクションを中心に」
会期:2025年10月25日(土)〜12月21日(日)
[前期 10月25日(土)〜11月24日(月・振) / 後期 11月26日(水)〜12月21日(日)]
会場:静岡市美術館
住所:静岡県静岡市葵区紺屋町17-1 葵タワー 3F
開館時間:10:00〜19:00(入場は閉館30分前まで)
休館日:月曜日(11月3日(月・祝)・24日(月・振)は開館)、11月4日(火)・25日(火)
観覧料:一般 1,400円(1,200円)、高校生・大学生・70歳以上 1,000円(800円)、中学生以下 無料
※( )内は前売および20名以上の団体料金
※障がい者手帳などの持参者および介助者原則1名は無料
【問い合わせ先】
静岡市美術館(代表)
TEL:054-273-1515