企画展「これからの風景 —世界と出会いなおす6のテーマ」が、静岡県立美術館にて、2025年7月5日(土)から9月23日(火・祝)まで開催される。
企画展「これからの風景 —世界と出会いなおす6のテーマ」は、風景画や風景表現に光を当て、静岡県立美術館の所蔵作品を紹介する展覧会だ。クロード・ロランやクロード・モネ、歌川広重など、時代や地域を超えて、珠玉の名品約170点を紹介する。
ヨーロッパで風景画が本格的に描かれるようになったのは、17世紀頃のこと。科学革命が起こった時代、自然を客観的に眺められるようになったことが、その背景にあるとも言われている。風景を視覚的なイメージで表す風景画は、いわば、近代の理性的人間像を前提に、主に視覚を介して認識された世界を反映するものであったといえる。
本展は、人間に限らず、多様な他者とともに生きることが課題となっている現代において、風景画がどのような役割を担うことができるのかを問う展覧会。オーバーツーリズムや環境問題など、今日的な話題にも目を向けつつ、風景画や風景表現を紹介する。
たとえば、「観光」。よく知られた観光地の普及には、風景画やその複製が大きな役割を果たしてきた。定型化した風景のイメージの浸透は、現代におけるオーバーツーリズムやイメージの消費の問題とも繋がるものだ。一方、当時の制作背景や、画家が着目した風景の要素に目を向けることで、風景により深く親しむことができるかもしれない。本展では、こうした視点から、吉田博《上高地の春》や児島善三郎《箱根》といった風景画を展示する。
一見ありふれた風景であっても、その地で多くの時間を過ごした人にとって、それは代えがたい場所でありうる。こうした場所も、時とともに姿を変え、価値や意味を変えてゆくことになる。会場では、名もない場所の風景を捉えた表現を、ジャン=バティスト=カミーユ・コローの《メリ街道、ラ=フェルテ=ス=ジュアール付近》や、野田哲也の《Diary : Feb.27th ’83, in Koganei》など、西洋絵画や写真をとおして探ってゆく。
風景は、永久に変わらないものでは決してない。とりわけ現代においては、人類の活動もまた、地球環境に大きな影響を与えている。本展では、風景の地質学的な成り立ちを感じさせる作品や、人の手によって変貌した大地を描いた絵画などに着目し、ジョン・ロバート・カズンズの《ポルティチからヴェスヴィオ山を望む》といった作品を紹介する。
企画展「これからの風景 —世界と出会いなおす6のテーマ」
会期:2025年7月5日(土)~9月23日(火・祝) 会期中に展示替えあり
会場:静岡県立美術館
住所:静岡県静岡市駿河区谷田53-2
開館時間:10:00~17:30(展示室への入室は17:00まで)
休館日:月曜日(月曜日が祝日・振替休日の場合は開館し、翌日に休館)
入館料:一般 1,000円(800円)、70歳以上 500円(400円)、大学生以下 無料
※( )内は前売および20名以上の団体料金
※収蔵品展、ロダン館もあわせて観覧可
※身体障害者手帳、療育手帳、精神障害者保健福祉手帳、特定医療費(指定難病)受給者証・指定難病登録者証の所持者および付添者1名は無料
【問い合わせ先】
静岡県立美術館
TEL:054-263-5755