特別展「江戸☆大奥」が、東京・上野の東京国立博物館 平成館にて、2025年7月19日(土)から9月21日(日)まで開催される。
江戸城の中で、将軍の妻や女中たちが居住した大奥。江戸城の奥深くに隠された大奥では、選ばれた女性たちが華やかな生活を送る一方、将軍の妻は、厳格な制度としきたりのなか、徳川将軍家の存続のために将軍の世継ぎを生み育てあげるという期待と圧力のもとで生活していたといえる。
特別展「江戸☆大奥」は、江戸幕府の大きな権力のもとで栄枯盛衰を経験しつつ、閉ざされた生活のなかで喜怒哀楽を享受してきた大奥に光を当てる展覧会。大奥の女性たちの生活を描いた楊洲周延(ようしゅう ちかのぶ)の錦絵《千代田の大奥》、武家女性たちが纏った着物やゆかりの品々、そして大奥で演じられた歌舞伎の衣装などを一堂に集め、大奥の歴史と文化を紹介する。
「大奥」という名前が登場したのは、4代将軍・徳川家綱の時代のこと。将軍の正妻・御台所(みだいどころ)、正妻以外の妻・側室(そくしつ)、そしてそこに仕える女中たちという序列が整えられたのだ。しかし、その礎を築いたのは、3代将軍・家光の乳母として大きな影響力を持った、春日局(かすがのつぼね)である。大奥の女性たちは、ときに大きな権力を持ち、ときに締め付けに遭いながら生きてきたのであった。
本展では、世継ぎをめぐる対立や女中との抗争など、閉ざされた生活のなかで生きた、大奥の女性ゆかりの品々を紹介。家光の側室・桂昌院が若いころに着用した重要文化財《振袖 黒綸子地梅樹竹模様》、雀好きであった篤姫にちなんで、雀の意匠を刺繍で施した《搔取 萌黄紋縮緬地雪持竹雀模様》など、きものの数々を展示するほか、贅を凝らした婚礼調度も展示する。
また、刺繍技術の粋を凝らした重要文化財《刺繡掛袱紗》も。5代将軍・綱吉が、側室である瑞春院(ずいしゅんいん)に宛てて、贈り物の上に掛けて送ったとされる掛袱紗であり、元禄期における最高の刺繍技術で制作された逸品が揃っている。本展では全31枚を、会期中に展示替えを行いつつ公開する。
さらに、大奥で演じられた歌舞伎衣装を、初めて一挙公開。江戸時代、庶民に親しまれていた歌舞伎は、大奥の女性たちの娯楽でもあった。こうしたなか、坂東三津五郎(ばんどう みつごろう)に弟子入りした坂東三津江(ばんどう みつえ)は、11代将軍・家斉の時代、女性の歌舞伎役者として大奥に出入りしている。会場では、《羽織・着付 萌黄繻子地的矢模様》など、三津江が大奥で演じた際に用いた衣装の数々を目にすることができる。
特別展「江戸☆大奥」
会期:2025年7月19日(土)~9月21日(日) 会期中に一部作品の展示替えあり
[前期 7月19日(土)~8月17日(日) / 後期 8月19日(火)~9月21日8日)]
会場:東京国立博物館 平成館
住所:東京都台東区上野公園13-9
開館時間:9:30~17:00
※金・土曜日および7月20日(日)、8月10日(日)、9月14日(日)は20:00閉館
※入館はいずれも閉館30分前まで
休館日:月曜日(7月21日(月・祝)、8月11日(月・祝)、9月15日(月・祝)は開館)、7月22日(火)
観覧料:一般 2,100円(1,900円)、大学生 1,300円(1,100円)、高校生 900円(700円)
※( )内は前売料金(4月22日(火)から7月18日(金)まで販売)
※チケットは、東京国立博物館正門チケット売場(開館日のみ)、展覧会公式サイトほかにて販売
※中学生以下、障がい者および介護者1名は無料(入館時に学生証、障がい者手帳などを要提示)
※本券で、会期中の観覧日当日にかぎり、総合文化展も観覧可
【問い合わせ先】
ハローダイヤル
TEL:050-5541-8600