京都の泉屋博古館では、リニューアル記念名品展II「続・帰ってきた泉屋博古館 ～近代の美術、もうひとつの在り方～」を、2025年6月21日(土)から8月3日(日)まで開催する。

日本の近代美術、王道と別のあり方

2025年4月にリニューアルオープンした、泉屋博古館。これを記念して開催される展覧会の第2弾「続・帰ってきた泉屋博古館 ～近代の美術、もうひとつの在り方～」では、同館のコレクションのなかから、近代美術の名品を一挙公開する。

近代美術の名品が一堂に

本展では、絵画から彫刻、工芸まで、近代美術の作品を一堂に集めて紹介。普段は泉屋博古館東京に所蔵されている作品も京都に里帰りし、近代日本を代表する陶芸家・板谷波山(いたや はざん)の《葆光彩磁珍果文花瓶》や、鮮やかな色彩で燕子花の群生を描いた木島櫻谷(このしま おうこく)の《燕子花図屏風》など、名品の数々を一挙公開する。

展覧会で存在感を発揮した“近代美術の王道”

近代美術の王道といえるものが、存在感ある作品だ。明治時代、西洋から技術や文化を取り入れた日本には、「展覧会」という制度もまたもたらされた。大きな部屋を会場に、多くの作家による作品を不特定多数の人に向けて展示する「展覧会」では、会場に映える大画面の絵画などが志向されるようになる。本展では、日本画家・富田范溪(とみた はんたい)の《鰻籠》など、近代の展覧会で評価された作品を紹介する。

同好の集い

近代美術には、展覧会で評価されるという基準とは異なる文脈で制作、鑑賞、蒐集された作品もある。その一例が、同好の仲間の集まりを背景に作られた作品だ。たとえば、中国文化への造詣と憧憬をベースとした、文人趣味の作品を挙げることができる。会場では、岸田劉生の《塘芽帖》など、閉ざされたグループを前提に制作された作品を展示する。

人々をもてなす

「展覧会映え」とは異なる文脈にあるもうひとつの例が、コレクターが何らかの用途を念頭に置いて集めた作品である。実際、泉屋博古館は、屋敷に招いた賓客の目を楽しませる装飾品として蒐集された作品を数多く所蔵している。本展では、板谷波山の《彩磁更紗花鳥文花瓶》など、空間を彩り、人々をもてなした作品の数々を目にすることができる。

展覧会概要

リニューアル記念名品展II「続・帰ってきた泉屋博古館 ～近代の美術、もうひとつの在り方～」
会期：2025年6月21日(土)〜8月3日(日)
会場：泉屋博古館
住所：京都府京都市左京区鹿ヶ谷下宮ノ前町24
開館時間：10:00〜17:00※(入館は閉館30分前まで)
休館日：月曜日(7月21日(月・祝)は開館)、7月22日(火)
入館料：一般 1,000円(800円)、学生 600円(500円)、18歳以下 無料
※20名以上は( )内の団体料金
※障がい者手帳の提示者および介添者1名までは無料
※上記料金で併催のブロンズギャラリーも観覧可

【問い合わせ先】
泉屋博古館
TEL：075-771-6411