1921年、マックス・ブラウンが創業。
「Less, but better=より少なく、しかしより良く」を理念に掲げ、機能が形状を決める機能主義デザインを徹底。デザイナーとして有名なディーター・ラムスやディートリッヒ・ルブスらが生み出したミニマルなデザインは視認性と操作性を兼ね備え、装飾をそぎ落としたタイムレスな美しさを追求している。
ブラウン(Braun)のアイテムは、秒針の鮮やかなイエロー、文字盤のグリッド、静音ムーブメントなど、細かなディテールにも意味が込められているのが特徴。特に、アラームクロックや腕時計はMoMAをはじめ、世界各地の美術館に収蔵されている。また、電気シェーバーや電卓といった日常家電にも同じ思想が貫かれ、モダンなインダストリアルデザインの象徴として世代を超えて愛されている。
1921年、マックス・ブラウンがフランクフルトでラジオ部品会社を創業。
1932年、ヨーロッパ初となるラジオとレコードプレーヤーの一体型機を発売。
1950年、世界で初めて量産化された往復式電気シェーバー「S50」発表。極薄の網刃と左右に細かく振動するカッターにより、肌に負担をかけずに深剃りができる。この構造は後の電気シェーバー開発の礎となった。
1955年、当時23歳のディーター・ラムスが入社し、ブランドを象徴するデザイン哲学を確立。
1958年、透明なアクリルの天板から内部構造が見える一体型レコードプレーヤー「SK5」発表。ミニマルな白い鋼板のボディと合わせ、オーディオデザインの新スタンダードを築いた。なお、1956年に発売されたSK4(通称“白雪姫の棺”)と共に語られることが多い。
1963年、世界中の周波数を受信可能な“ワールドレシーバー”ラジオ「T1000」発表。プロ仕様ながら可動式のハンドルなどを備え、優れた操作性を実現。
1982年、遠距離でも視認性に優れた壁掛け時計の名品「ABW30」発表。数字のウェイトや針のカラーリングが特徴的で、MoMAに永久収蔵されている。
1987年、桁キーと機能キーを色分けすることで誤操作を防ぐ電卓「ET66」発表。シンプルで明快なUI設計は、後のiPhone電卓などにも影響を与えた。
1989年、視認性を最重要視したアナログ腕時計「AW10」発表。文字盤にはフル数字表記が採用され、鮮やかな黄色の秒針と共に“読むための道具”としての時計の理想形を提示した。
1997年 ラムス退任後も、ブラウンの根幹である「少なく、しかしより良く」の哲学を継承。
2010年以降、ブラウンは、美容家電やウェアラブルなど製品ラインを拡充すると同時に、過去の名作を復刻。100年以上の伝統を守りながら、新たな製品を生み出し続けている。