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【インタビュー】モードに愛される女優・菊地凛子 映画「47RONIN」で演じる妖艶な役&独自のファッション観

2013年12月6日(金)、映画『47RONIN』が公開を向かえる。本作は、ハリウッドが手がけた『忠臣蔵』のリメイク版で、型破りなストーリー展開と迫力満点のCG映像が魅力の3Dアクション大作だ。日米の豪華な俳優陣故に、2年前、キャストが発表された直後からすでに注目を集めていた話題作だが、その中に女優・菊地凛子の名前もあった。演じるのは、"謎の妖女"ミヅキ。響きからして、何とも興味深く、そそられる役どころだ。

菊地凛子と言えば2006年、ほぼ無名の状態からアカデミー賞へのノミネートで、一気にその存在を日本中、いや、世界に、なんともドラマチックな形で示した。以後、"国際的実力派女優"が、菊地に対する世間の持つイメージとして定着した。だが、同時に彼女は日本を代表するファッションアイコンでもある。きれいな女優は、日本にだってたくさんいる。それでも、一流のモードが似合う女優はほとんど思い浮かばない。モデル出身だけあって、プロポーションに恵まれていることは確かだ。 しかし、それだけではない。纏う服にぴったりの女性を演じることができる、女優ならではの豊かな表現力。そしてどんな服でも自分のものとして着こなす、圧倒的な存在感と強烈な個性。菊地の場合、それらを持ち合わせた上でのプロポーションが良い、なのだ。

そんな彼女には、やはりファッション界からのラブコールは絶えない。モードの帝王カール・ラガーフェルドにミューズの一人として選ばれ、VOGUEやHarper's BAZAARといった数々の有名ファッション誌の誌面を飾ってきた。最近では、ケンゾーの広告モデルに起用され、ヴィヴィアン・タム×レスリー・キーの写真集のモデルに抜擢されたといったニュースが駆け巡った。

なぜこれほどまでに、モードに愛されるのだろう。彼女の何がデザイナー、クリエイターたちを魅了するのか。役、本人ともに"謎"に包まれた菊地凛子という存在に、「映画」と「ファッション」という2つの方向から迫っていく。

役はオーディションで勝ち取る

菊地さんが演じた"ミヅキ"は、物語のキーともなるキャラクターですよね。彼女のかけた妖術が、戦いのきっかけを生んだ訳ですし。ずばりこの役の魅力とは?

ミヅキは、魔女なので何でもできるんですよ。それに何百年も生きている設定なので、中性的に描こうと思いました。だから、あるシーンでは男性的、だけどまた別のシーンでは女性的だったりするんです。妖艶だと思えば、ふいに子供っぽい部分を見せたりもします。

"こういう女性"と決めてやるつもりはなくて、いろんなカラーが出せたらいいかなと思って演じました。そこがやりがいでもあったし、役の魅力だと思いますね。

その中でも特に妖艶さが際立ってました。見た目や仕草はもちろんですが、一番ゾクゾクさせられたのは、彼女の話し方。息使いや声の出し方が絶妙で。しかも、英語のセリフに感情を乗せるんですもんね。

彼女がどうしたいのか、どこへ向かおうとしているのかを想像すると、声の出し方や仕草は後からついてくるんです。このシーンで彼女はどういう目的でこれを話 しているんだろう。あっ、吉良(役:浅野忠信)のアテンションが欲しいのかな、って。言葉を発する前に彼女の気持ちというのがあるので、そこを大事にして います。役作りもキャラクターのバックグラウンドを掘り下げていくんですよ。

今回の役もオーディションで勝ち取ったのですか?

はい。もともとロサンゼルスで映画の話を聞いて。それで監督にお会いしてオーディションを受けました。監督は始めから魔女がいいな、とは言っていたのですが、当初はとても小さな役でした。でも凛子がやるなら大きくしたい、と言ってくれて今の形になったんです。

どのような役だと「やってみたい!」と思うのでしょう。

チャンスがあれば何でもやりたいと思います。ただ私の場合、監督がキー。監督が良ければ良い作品になっていくことが多いです。

なるべくリスクを取らないようにしたい、っていうのが本当の気持ちなので。

世界に目を向けるということ

より多くの国の人と話したい!会いたい!となると、自然と世界に目を向けることになるんです

菊地さんといえば、"国際派女優"という言葉がもはや代名詞のようになっていますよね。

インターナショナルでありたいとは常々思っています。様々な国籍の方が個人個人、日本に対するいろいろな印象を持っていて。それを聞くと日本人であることを誇らしく思うことがありますし、逆に改善点を発見するきっかけにもなります。

海外に出て初めて、日本の良さ悪さが見えました。だからより多くの国の方と話したい!会いたい!となると、自然と世界に目を向けることになるんです。今は、Webによってすぐにいろいろな情報を得ることができますが、情報よりも大切なものがあると信じていて。やっぱりそれは、人と人とのコミュニケーションで、そのコミュニケーションを得るためにも海外に出て行くことを大切にしています。

海外の監督や俳優さんに対してはどのような印象を受けますか?

その人その人にもよるのですが、カメラの前に立つのが仕事なので、自分のことをよく分かっている方が多い気がします。あと、皆さん個人として独立しているんです。社会に出る限り、独立しなければいけませんがどこかで誰かに守ってほしい、っていう甘えがあると思うんですね。もちろん私もありますし。

でも、海外ではインディペンデントであることが、特に求められます。個人として意見を言って、会社のせいにしない。私も会社に所属していませんし。やりたいをことやって自分の責任だけ取ってればいいけど、どうしたらいいのか、何がしたいのかっていう自分のヴィジョンは最低限はっきりさせておかなければなりません。

意志が強くて、チャンスを自分からつかみに行っている印象を受けるのですが、それはご自身が元から持っている性質ですか。

すごくジャンプしているように見えるかもしれませんが、案外入ってくる情報に乗っていることが多いんです。例えば、誰かが「こんな映画撮るってよ」って言っているのを聞いたら、体が勝手に反応してしまうんです。プロデューサーに電話しなくちゃ!って。

スルーするのもいっぱいあるんですよ、もちろん。でも何か自分の中のものと繋がった時の行動力といったら、そりゃすごいですね。自分は結構ルーズなタイプなんですけど、繋がったと感じた時はそこに何かがあると思っているので、直感力というものは多分あるんでしょうね。

でも、そうした勘や周りの動きに従うのにも、常に自分がどうしたい、というのを持っていないとせっかくの情報も通り過ぎてしまうだけです。自分の好きなこと嫌いなことが分かっていると、それに乗っかるべきか否かが判断できます。だから瞬発力も大切ですよね。

想像力を掻き立てる人物でありたい

映画の中での衣装についてお聞かせください。

役と衣装の関係はすごく大事です。ミヅキの場合はとにかく吉良の気を引きたい、というのがあると思うので胸元がざっくり開いたものを着るなど、分かりやすいアプローチをさせてもらってます。人の印象ってすごく着るものに左右されますからね。

菊地が劇中を通して着ているのは、着物をアレンジしたようなドレス。柔らかく、流れるようなテクスチャーの生地は体に優しく沿い、その線をほのかに浮かび上がらせる。カラーはつややかなライトグリーンが選ばれた。

プライベートではいかがでしょう。

日常生活でもすごく気にしていて、TPOを考えた上で好きなものを着るようにしてます。何が流行っているとかは私は分からないのですが、女性って特に気分が変わるじゃないですか。「おなかすいた」とか「二日酔いで気持ち悪い」とか(笑)だから必ず気分によって服を選ぶようにしていますね。

プレミアやレッドカーペッドの時も、気分を反映させた服選びをされるのですか?

その場の雰囲気には合わせますが、この靴はいたら気分が上がるかとか、そういうこともすごく考えますよ。人前に立つ時こそ武器って必要じゃないですか。そんな時、自分が何を着たら自分らしくあれるかを考えて着ています。それに基本的に服がすごく好きなんです。

例えば、昨日のプレミアでは、純白のドレスでしたね。あのドレスを選んだのはどのようなポイントは?

プレミアって黒が多いんです。正式の場所ってこともありますし。だからもう黒はいいだろ!って(笑)。
柄物も前回の映画で着ましたし。それに今回魔女の役だったので、白で純粋な部分も見せなくちゃ!って。それでヴァレンティノのレースドレスを選びました。私の場合、スタイリストさんがたくさん候補を持ってきて下さるんですけど、その中にあったんです。でも、あのまま着てもパンチが無いと思いました。これは、靴とアクセサリーが必要だなって。自分らしくなるように、なるべくエッジの効いたものを選びました。

すみません!せっかくなので、ここで本日のファッションチェックをさせてください。

いえいえ、どうぞチェックして下さい!そのために着てきたので(笑)。

今日はドレスがトム ブラウン ニューヨーク、シューズはクリスチャン ルブタンですね。

髪型も頻繁に変えていらっしゃる印象なのですが、それも気分ですか?

そうですね。気分ですし、あと飽きちゃうんですよ。絶えず自分が変化しているつもりなので、同じルックスでいるのが嫌なんです。変化に富みたいという欲ですかね。

ヘアメイク・宮田靖士(VaSO)、スタイリスト・梶 雄太

女優という仕事も、毎回異なるキャラクターを演じますよね。変身願望が強いということでしょうか?

中身としては変わらないので、せめて外見くらいは変わりたいんじゃないですかね。だって、人間ってそんなに変われないですからね。ちょっとずつ、ちょっとずつしか。「私なんでまた同じ失敗してしまったんだろう!?」ってのが人生ですからね。失敗も含めて、これも人生だな、って割り切らないとやっていけないことばかり。前までは、「これも人生だ」なんて言う大人たちを「けっ」ってくらいに思ってたんですけど(笑)最近は確かにそうだなーって。

菊地さんは、日本で最もモードが似合う女優さんと言ってもいいんじゃないかと私なんかは思うのですが。

ほんとですか?うれしい!

グローバルなファッションブランド、特にラグジュアリーブランドの”顔”として抜擢されることはとても稀なことです。シャネルなどをはじめ、なぜご自身がこんなにもファッション界の人たちに愛されると思いますか?

海外の人に関して言えば、日本をすごくミステリアスに感じるんでしょうね。アーティストって想像力を掻き立ててくれるような人が好きじゃないですか。この子にこれ着せても面白い、これも着せてみようかって思ってもらえるような、想像のわく人物であり続けることが大事なのではないでしょうか。だから自分はこういう人間です、って売らないし、私個人だけのことを世間に出していこうとも思いません。役柄が引き立つことをまず一番に考えます。

そういう意味では、この子にこの役をさせたら面白いんじゃないか、とも思わせるのだと思います。だから私がもらう役って毎回全然違うんですよ。すごく若い子の役をしたかと思えば、男性に迫るような役もするし、はたまた今度はロボットに乗せられる!とか。

色がついていないのかもしれません。自分の中では、ぶれていないと思いますし、そうありたいとは思うのですが。日本人の女性が深い所で持っている、強さっていうのが私には分かりやすく出ているのだと。その中で、色に染まりきらないってことも大事、着せられてるなっていう服を着ていてもデザイナーだって全然面白くないと思うんですね。こんな風に着てくれるんだ、とかこういう風に見えるんだって言う想像力を求めてるのでしょう。楽しいですよね、ファッション。


KENZO(ケンゾー)2013-14秋冬の広告キャンペーンより

お気に入りのブランドについてお聞かせください

たくさんありますねー。シャネルはずっと着ていますし、今キャンペーンをさせていただいてるケンゾーも好きですし。ルイ・ヴィトンとかトム フォードトム ブラウン ニューヨークアレキサンダー マックイーンも…あ、メゾン マルタン マルジェラほんと好きですね。よく着てます。ヴィンテージもすごく好きですよ。

菊地凛子の目指す新たなステージとは - 監督、脚本。これが自分が探していた場所なんじゃないか

ファッションの話と言えば最近ではズッカとのコラボレーションで、ショートフィルムを作られましたよね。監督、脚本、出演の三役を務められて。今後は映画を総合的にプロデュースしたりといったことにも興味が?

そうですね。やってみて、これが自分が探していた場所なんじゃないか、と感じています。ファッションブランドだったので、奇麗に見せようっというのが前提にあったのですが、今度はもっと人間のドラマ性に富んだものを撮りたいと思っています。まあ、書いてはいるので、それにお金を出してくれる素敵な大人たちがいれば…(笑)願うばかりです。

もう書き始めているんですね!

書くのは好きなんです。監督業は考えていなかったのですが、前から書くことはしていました。でも一度やったら味をしめてしまって!三日間寝なくても全然平気でしたから。女優業で忙しい時は、いつ寝られるの!?ってなるのですが(笑)どういうカットがいい、照明はこれといろいろ考えたりして。楽しかったなぁ…

映画が好きというのが、やはり根底にあるんですね。物語のインスピレーションはどこから受けますか?

人の話をよく聞くこと。映画よりもすごいことが起きている訳ですよね、人の人生って。だから新しい人との出会いは大切にします。その人達と話すのは本当に楽しいですね。ちゃんと掘り下げていかないと面白い話は出こないので、お酒もたくさん飲みますよ!

菊地さんってミステリアスなイメージだったんですけど、すごく気さくな方だったんですね。

そうですよ!気さくですよ。気さくで売ってみようかな?「私、気さくです!」って。"気さく売るキャラ"です(笑)。

Interview and Text by Reiko Aoyama

 

【ストーリー】
戦いの刻が、来た。緑豊かな赤穂の国。大石(真田広之)率いるサムライたちは、吉良(浅野忠信)と謎の女ミヅキ(菊地凛子)の陰謀により、尊敬する主君とサムライの身分を奪われる。次に吉良の毒牙が狙ったのは、姫のミカ(柴咲コウ)。そのとき、大石とともに立ち上がったのは、素性不明の混血の男カイ(キアヌ・リーブス)だった。圧倒的な敵軍に対し、味方はわずか47人。決死の戦いに臨むRONINたちははたして主君の仇を討てるのか。そしてカイは、愛するミカを守りぬけるのか。

【作品情報】
『47RONIN』(フォーティーセブン・ローニン)
公開日:2013年12月6日(金)
製作:ユニバーサル・ピクチャーズ/配給:東宝東和/アメリカ映画
監督:カール・リンシュ
脚本:クリス・モーガン
出演:キアヌ・リーブス、真田広之、浅野忠信、菊地凛子、柴咲コウ、赤西仁

©Universal Pictures

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