アンドレアス・クロンターラー フォー ヴィヴィアン・ウエストウッド(Andreas Kronthaler for Vivienne Westwood)の2026年春夏コレクションが、2025年10月4日(土)、パリのフランス学士院にて発表された。
コレクション名は、フランス語で“女性の私室”を意味する「ブドワール(Boudoir)」。自分だけの時間を楽しむためのプライベートな空間をイメージし、エレガントでありながら親密さの漂う装いを提案している。
“CHAOS”の文字をあしらったネックレスが示す通り、今季はさまざまなテイストが混在しているのが特徴。スーツからレジャーウェア、ブラウス、ガウン、ランジェリーまで、ジャンルの壁をゆるく溶かすような構成となっている。
ショーの冒頭では、素肌を透かすシアーなブラックドレスや、アニマル柄のパンツ、ブラジャーを覗かせたストラップレスドレスなど、ランジェリーライクなスタイルが登場。文化的にも歴史的にもフランスの象徴といえるフランス学士院にて、私的な衣服と公的な空間のあわいを表現した。
コレクション全体を見渡すと、ゆるやかに身体を包み込むラインが多用されている印象だ。植物柄のトップスやスカートは布地を豊かにドレーピングし、優美な曲線を演出。ドレスもまた、胸元を弛ませたり、ノットディテールで布を寄せたりして、流れるようなシルエットを形作っている。ステッチを斜めに走らせたアシンメトリーなスカートも随所に見られた。
また今季は、アンドレアス・クロンターラーがシチリア島で感じたという“地中海のスピリット”を、エフォートレスな素材感で表現。レースのような透かし加工を施したレザーや、引き出しの中に眠っていた刺繍、事前に洗いにかけたプレウォッシュ素材などを通して、肩肘を張らず着やすく、着古されたようでもある“リアルな服”を提案した。
“カオス”な世界観を強めるのが、鮮やかなプリントである。チェック、花柄、トロピカルモチーフ、アニマルプリントなど多彩なモチーフ同士を楽しく衝突させることで、ドラマティックなムードを演出。ヴィンテージ感のある大ぶりのフラワーモチーフや箔が煌めく斑模様など、家具のテキスタイルを思わせる柄使いも目に留まる。
ブランドが持つ反骨精神は、アクセサリーに取り入れて。骨を繋ぎ合わせたネックレスやハート型の巨大な南京錠モチーフのネックレス、“CHAOS”の文字がアイキャッチーなチェーンネックレスなどを採用し、コレクションに大胆かつパンクなムードをもたらした。