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【インタビュー】映画『溺れるナイフ』小松菜奈&菅田将暉は思春期の恋と衝動をどう捉えたか?

映画『溺れるナイフ』が2016年11月5日(土)より全国ロードショー。ジョージ朝倉の同名作品、待望の実写化だ。

2004年から2013年と長きに渡って愛された原作コミック『溺れるナイフ』。東京から転校してきた美少女モデル・望月夏芽と容姿端麗で地元・神主一族の跡取り・長谷川航一朗(コウ)の恋の物語を描く。ナイフのように研ぎ澄まされた10代のハートがぶつかり合う、息が止まるほど甘く切ないラブストーリーが展開される。

夏芽を演じるのは、『渇き。』で鮮烈なスクリーンデビューを放った小松菜奈。『共喰い』で日本アカデミー賞新人賞を獲得後、映画・ドラマに引っ張りだこの菅田将暉がコウを担当する。また、夏芽を支える同級生の大友勝利役には、ジャニーズWESTの重岡大毅が抜擢。『舞妓はレディ』で数々の賞に輝いた上白石萌音が、夏芽とコウを結びつけるようとする同級生・松永カナ役でスクリーンに登場する。

メガホンをとったのは、‟新世代ファンタジスタ”と称される山戸結希。上智大学在学中にデビュー作『あの娘が海辺で踊っている』を公開し、『おとぎ話みたい』でテアトル新宿のレイトショー観客動員数を13年ぶりに更新した、新鋭監督だ。

夏芽に共感する小松、コウに憧れる菅田

 

『溺れるナイフ』の公開に先駆け、W主演となった小松菜奈&菅田将暉にインタビューを実施。撮影秘話や互いの印象について話を聞いた。

衝動的な10代の恋。この不安定さをどのように捉えましたか。

小松:若さゆえの‟危さ”や葛藤がある思春期。特に、中学から高校へ進学する時は、友達も環境も全てが変わる。次の場所に自分が溶け込んでいかなきゃいけない時期ですよね。

私も同じでした。中学時代は小学校からずっと一緒の子たちといて、高校になったらそれぞれ別の進路へ進んで。そこで重要なのは、自分の居場所をみつけること。それって勇気と努力が必要で、若さゆえの戦いがあると思うんです。本作ではその一瞬が切り取られているなと感じました。普通の恋愛映画とは違って、傷つけ合いながらも互いに成長していくところもあります。‟胸キュン”という表現もされていますが、私的には燃え尽き合うような印象を抱きました。

菅田さんは、コウをどう見ていましたか。

菅田:コウがうらやましかった。夏芽との関係もそうですし、街全体で入っちゃだめって言われている海を一人で泳いでいる姿も、人間的に魅力的で。高校生の役なのに、生き様みたいなのを感じたんですよね。

僕は真逆な学生生活を過ごしていて、「今何が最善なんだろう?」って考えながら、バランスを取っていくようなタイプ。あの頃の自分にコウを見せたいなと思いました。

ただ、無意識に抑えていたものがあるからか、20代を越えてくると年々不安定になってきていて。感情を表に出せるようになってきました。そこは(コウに対する)共感とはまた違うんですけど、今の僕はコウに近づいているように感じています。

小松さんは夏芽に共感した部分はありますか。

小松:夏芽は東京でモデルをやっていたので、田舎に行って、縛られることがない、自分が好きなようにしている自由なコウに惹かれていく。きっと自分の中に衝撃が走ったんだと思うんです。生きる道をみつけたというか。

若い時はどちらかというとミステリアスな方に惹かれてしまう、その気持ちはわかります。明るくていい子よりはちょっと悪い子、自分にないものが備わっている人が魅力的に映るんですよね。

小松と菅田の出会いは、真利子哲也監督作『ディストラクション・ベイビーズ』。暴力シーンもあるアクション・ドラマ作品で、小松はキャバクラ嬢を、菅田は喧嘩に明け暮れる高校生役を演じた。

『ディストラクション・ベイビーズ』以来、2度目の共演。互いの印象に変化はありましたか。

菅田:今回は『ディストラクション・ベイビーズ』で見えていなかった部分を知りました。

簡単にいうと撮影現場は、監督やスタッフさんとシーン割や撮り方を決める「ドライ」(リハーサル)というものを初めにやります。次にカメラを置いて「テスト」、良さそうであれば「本番」と3工程があるんです。

小松さん演じる夏芽は、終始泣いている役なんです。最初の工程「ドライ」からあんなに泣いている人を初めて見ました。17日間もあるのに、毎日そんなに泣いて大丈夫?3段階のここからやるの?って思っていて。例えれば、小1から大学受験勉強を始めるみたいなもんですよ。その感じは久しぶりに見ました。まだまだ映るのは先だよって思いながら、止めようとはしませんでした。

役者としても目覚めさせられるものがありましたか。

菅田:ありました。絵が見えやすいし、方向性もつかみやすい。ただ本番は全く違うことをするから(笑)。狙いなのか、自分でも抑えられない何かあるのか。どっちにしろすごい面白い演者だなと思いました。どんなに現場が大変でも、先陣きって瀧に打たれに行く精神力を持っているから皆もついていこうという気持ちになったんだと思います。

小松:狙いじゃないですよ、不器用なんです。急に本番で涙を出せって言われても無理ですし、そこに向けて貯めていかないとできないので。最初から感情を作っていかないと、そこまでいく時間が長いんです。

本番で泣きすぎて泣けないことはないのでしょうか。

小松:出来なくなったこともあります。「おーい、なんで本番で出来ないんだよ」と言われたこともありましたね。うまく感情をコントロール出来るようになりたいですけど、難しいですね。

小松と菅田の間に生まれた絆

菅田さんの尊敬するところは?

小松:菅田さんは、最初のイメージではクールボーイ。今回も漫画から飛び出してきたかのように、見た目も雰囲気もまさにコウ。追いかけたくなる存在で、どの作品に出ても眼をひきますし、主役を支える役でも存在感を残す。もっと色々な作品を見たくなるような俳優さんです。

ただ、初めはほとんど話さず黙々とやるタイプなのかなと思っていました。『ディストラクション・ベイビーズ』で暴行シーンがあったのですが、実際に当てて(=殴って)もらわないとその感情がわからないなと考えていて。そうはいっても‟女優さんだから…”と本番では殴ってもらえないんじゃないかなと思っていたんです。それまであまり話していなかったのですが、菅田さんに「ちゃんと当てて欲しい」と伝えたら、「もちろんそのつもりだよ」という一言があって。この人すごいなって思いました。互いが遠慮せずに全力で出来る関係だなと感じています。

菅田:確かに、あの一瞬でわかったよね。

小松:信頼関係が『ディストラクション・ベイビーズ』で生まれて、そこからの『溺れるナイフ』。菅田さんはギターを持ってきて休憩中に弾いたり、自分がリラックスする方法分かっていて、すごく自由でした。その現場での佇まいやスタッフさんに対する態度、それと監督に無理難題を言われても、あっさりこなしてしまうところから、柔軟性がある役者さんだなと感じています。

出演作やキャラクターによっても全然違うし、髪型や服装もそのキャラクターのために掴めていて、素晴らしいなと見ています。

菅田さんは現場にこだわりがあるのですか?

菅田:いかに、自分が気持ちよく楽しくカメラの前に立てるかが全てです。役作りのために痩せたとか、何かしたといっても、そこで自分が安心しないと意味がないですから。自分が不安だからやるだけです。

2008年、モデルデビューした小松菜奈。ファッション誌をはじめ、TV、CMなど数多く出演している。スクリーンデビューは、中島哲也監督作『渇き。』。日本アカデミー賞・新人俳優賞のほか、数多くの賞を受賞し注目を集める。2016年は『黒崎くんの言いなりになんてならない』『ディストラクション・ベイビーズ』『ぼくは明日、昨日のきみとデートする』(12月17日公開)をはじめ本作を含めて5本の映画に出演。2017年は映画『沈黙—サイレンスー』『ジョジョの奇妙な冒険』が公開待機中。

緊張感がほぐれる瞬間がやめられない

女優とモデルの違いは?

小松:現場がまず全然違いますね。女優のお仕事は、作品にもよりますが2~3か月ずっと現場にいてその中でどうにかやっていかなきゃいけない、役をちゃんと捉えなきゃいけないといった持久力が大切で。それと比べると、モデル業は瞬発力が大切なような気がします。

私は、撮影に入る前はとても緊張するんです。1週間前から仕事以外では家から出れなくなって。とにかくセリフを覚えなきゃと考えてしまって、友達と一緒にいても心ここにあらずで楽しめなくなるんです。

ただ、撮影期間が終わると一気にテンションが上がるんですよ。今までの緊張感が一気にほぐれたあの感覚がたまらなく好きで、やめられない。

『渇き。』の時は、まだその面白さをよくわかっていなくて、演技の面白さって何?と悩んでいて。よく役者さんに聞いてみたり、相談したりしていました。でもそれは皆一緒だし、セリフはひたすら覚えるしかないからって教えてもらって。女優業を始めてからたくさんの人と出会えたことも私にとって刺激ですね。一見人見知りなんですけど、人と向き合うことが大好きなので。今は女優というお仕事が人間として成長させてくれているなと感じています。

菅田将暉は、テレビ「仮面ライダーW」でデビュー。テレビドラマ、映画と次々に出演し、主演作『共喰い』で日本アカデミー賞・新人俳優賞を受賞。2016年には『ディストラクション・ベイビーズ』『何者』『デスノート Light up the NEW world』など本作を含め9本もの作品に出演。

映画をカルチャーのど真ん中に戻したい

菅田さんは、俳優をどんな職業だと考えていますか?

菅田:「あ!俳優さんだ」っていう遠く離れた距離みたいなものは、確実に減ってきているなと思っていて。スターがいなくなったというか、カリスマが求められなくなったと表現するべきか。

俳優という職業は、もちろん根底に自分たちが面白いものを作っていくということがあるんですけど、芝居そのものはいろんな世界を知る手段とも捉えることができる。作品を通して感性を磨いて欲しいと考えていて。

今、あの映画であの俳優さんが着ていた服を買いに行こうっていうのがあまりないと感じています。映画というものがど真ん中のカルチャーから少し離れてきているから。僕らは映画を本来の形に戻し、新しいものを創り出していかなきゃいけないと思っているんです。

使命感があるのですね。

菅田:あります。海外の映画祭では、学生達がボランティアで手伝うんですよ、学生たちが選ぶ賞もあります。その賞を全世界の監督たちが喜び、望むんですね。その環境は日本にはやっぱりない。それではそれぞれの個性も磨かれないし、平坦になっていくはず。なので、自分の好きなもの嫌いなものを見つけられるような場を提供する存在になれればいいなと思っています。

最後に本日のファッションポイントを教えてください。

小松:今日は、sacai(サカイ)のトップスを選びました。
菅田:僕は、ニット・パンツともにヨシオクボ(yoshio kubo)のものです。

小松:年々好みが変わってきていて、洋服の整理をしていると、今自分が何にはまっているのかがよくわかります。今はシャツをよく集めています。

最近思うのは、気を張らずにオシャレを楽しんで、自分が着たいものを着ていればいいんだなって。前は、高い物を買った方がいいのかな?とか悩んだ時期もありましたが、単純に自分が着ていてプラスになる、楽しいなとか、この服を着るとシャキッとするなとか。みんなでご飯に行く時にオシャレをするのが楽しくて、洋服がやっぱり大好きでやめられないです。

菅田:僕はなかなかかっこいい洋服を着ていく場面が今はなくて、プライベートではいつでも寝られるようなラフな格好が多いです。ただ自分では、3ピ―スのスーツや肩パットの入ったダブルのジャケットを作っています。

『溺れるナイフ』のストーリー

東京から転校してきた美少女モデルの夏芽は強烈なオーラを放つ地元の少年コウに出会い一瞬にして惹かれていく。コウも夏芽の美しさに同類の力を感じ、ぶつかり合いながらも付き合うことに。しかし、火祭りの夜にある悲劇が二人を襲う・・・。深く傷つきコウと別れてしまった夏芽。孤独な彼女を救ったのは同級生の大友だった。彼の優しさに癒されながらも、コウに急接近する幼馴染のカナに心を乱され、行き場を失う夏芽。そんなある日、芸能界復帰のチャンスが訪れる―。夏芽の決断は?コウの想いは?永遠を信じていた二人の恋の行方は?

【詳細】
『溺れるナイフ』
公開日:2016年11月5日(土)TOHOシネマズ渋谷ほか全国公開
出演:小松菜奈、菅田将暉、重岡大毅(ジャニーズWEST)、上白石萌音、志磨遼平(ドレスコーズ)、斉藤陽一郎、嶺豪一、伊藤歩夢、堀内正美、市川実和子、ミッキー・カーチス
原作:ジョージ朝倉『溺れるナイフ』(講談社「別フレKC」刊) (C)ジョージ朝倉/講談社
監督:山戸結希
脚本:井土紀州、山戸結希
音楽:坂本秀一
(C)ジョージ朝倉/講談社 (c)2016「溺れるナイフ」製作委員会

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