特別展「生誕151年からの鹿子木孟郎 —不倒の油画道—」が、京都の泉屋博古館にて、2025年9月27日(土)から12月14日(日)まで開催される。
近代日本の洋画に、本格的な写実表現を移植した画家、鹿子木孟郎(かのこぎ たけしろう)。特別展「生誕151年からの鹿子木孟郎 —不倒の油画道—」は、約80点の作品とともに鹿子木の画業を紹介する、約四半世紀ぶりの大規模回顧展だ。
明治7年(1874年)岡山に生まれ、14歳で洋画を学び始めた鹿子木は、上京後に素描を重点的に鍛え、空気や光の移ろいまで描きだす写実表現の基礎を築いている。のちにフランスに留学すると、伝統的なアカデミスムの流れにあり、歴史画の名手として知られた画家ジャン=ポール・ローランスに師事、フランス伝統絵画の写実表現を追究した。帰国後には、画壇の中心的な画家として活躍し、近代洋画の発展に確かな足跡を残している。
鹿子木のフランス留学は、3度にわたる。とりわけ、2度目の留学では油彩による裸体画の研究に没頭し、サロン入選を果たすなど、大きく飛躍。また、3回目には象徴主義の風景画家ルネ・メナールに出会い、写実にとどまらない象徴的な表現を模索しており、帰国後には写実性を礎に、精神性と象徴性を融合した作風を展開することになった。
本展では、初期の素描から、師のローランスに学んだ渡欧作、帰国後の作品まで、鹿子木の画業を展観。ノルマンディー地方の浜での取材をもとに、アカデミスムの表現によって描いたサロン入選作《ノルマンディーの浜》、帰国後の代表作《加茂の競馬》、裸体表現における成熟を示す《画家の妻》などをとおして、鹿子木における写実表現の形成と展開をたどってゆく。
また、鹿子木の師であるジャン=ポール・ローランスの作品も。19世紀後半に活躍したローランスは、光と闇の対比による劇的な構図のなかに歴史人物を描いた作風で知られた。会場では、ローランスの代表作のなかから、《マルソー将軍の遺体の前のオーストリアの参謀たち》などを公開する。
特別展「生誕151年からの鹿子木孟郎 —不倒の油画道—」
会期:2025年9月27日(土)〜12月14日(日) 会期中に展示替えあり
[前期 9月27日(土)〜11月3日(月・祝) / 後期 11月5日(水)〜12月14日(日)]
会場:泉屋博古館
住所:京都府京都市左京区鹿ヶ谷下宮ノ前町24
開館時間:10:00〜17:00(入館は閉館30分前まで)
休館日:月曜日(10月13日(月・祝)、11月3日(月・祝)・24日(月・振)は開館)、10月14日(火)、11月4日(火)・25日(火)
入館料:一般 1,200円(1,000円)、学生 800円(700円)、18歳以下 無料
※20名以上は( )内の団体料金
※障がい者手帳の提示者および介添者1名までは無料
※上記料金で併催のブロンズギャラリーも観覧可
【問い合わせ先】
泉屋博古館
TEL:075-771-6411