石川・金沢の国立工芸館では、展覧会「移転開館5周年記念 ルーシー・リー展 —東西をつなぐ優美のうつわ—」を、2025年9月9日(火)から11月24日(月・振)まで開催する。
20世紀を代表するイギリスの陶芸家、ルーシー・リー。オーストリアのウィーンに生まれたリーは、陶芸の道を歩み始めるも、1938年に亡命を余儀なくされ、拠点をイギリスのロンドンに移している。ウィーンやロンドンで当時の美術にふれ、ヨーゼフ・ホフマンやバーナード・リーチといった人物と出会ったリーは、しなやかで優美な形と繊細な色彩による陶芸作品を残すこととなった。
展覧会「移転開館5周年記念 ルーシー・リー展 —東西をつなぐ優美のうつわ—」は、10年ぶりとなるリーの大回顧展。国立工芸館が寄託を受けた作品を中心に、国内の貴重な作品が一堂に会するとともに、リーと交流のあった作家の作品を交えつつ、造形の源泉に光を当ててゆく。
リーは、1902年ウィーンのユダヤ人家庭に生まれ、この地で陶芸を学んでいる。当時のウィーンでは、純粋美術ばかりでなく、日用品において美を追求したウィーン工房のアーティストが活躍していた。1章では、《カップ》といったリーの初期作品とともに、ウィーン工房の創設者のひとりであるヨーゼフ・ホフマンなど、同時代の作家による作品を展示する。
1938年、リーはナチスの迫害を逃れるために渡英し、ロンドンを拠点に制作を行うようになった。こうしたなかでリーは、イギリス陶芸界の中心的役割を担っていたバーナード・リーチなど、新たな人々と出会っている。2章では、《コーヒー・セット》や《壺》など、ロンドン時代のリーの作品に加えて、リーに影響を与えたリーチらの作品を紹介する。
リーが渡英した当時、リーチをはじめとするイギリスの陶芸家は、東洋陶磁から大きな影響を受けていた。1952年にはまた、リーは濱田庄司らと交友を深め、のちに個展を開催している。3章では、《白釉鎬文花瓶》といったリーの作品に、リーチや濱田などの作品を交えつつ、東洋陶磁との関わりを探ってゆく。
小さな高台や洗練されたライン、掻き落としなど、リーを象徴する作風が確立されたのは、1970年以降のこと。4章では、《ピンク象嵌小鉢》や《青釉鉢》、《ブロンズ釉花器》、《白釉ピンク線文鉢》など、釉薬と形態、装飾が渾然一体となり、繊細かつ優美な造形を示すリーの鉢や花器を目にすることができる。
展覧会「移転開館5周年記念 ルーシー・リー展 —東西をつなぐ優美のうつわ—」
会期:2025年9月9日(火)〜11月24日(月・振)
会場:国立工芸館
住所:石川県金沢市出羽町3-2
開館時間:9:30〜17:30(入館は閉館30分前まで)
休館日:月曜日(9月15日(月・祝)、10月13日(月・祝)、11月3日(月・祝)・24日(月・振)は開館)、9月16日(火)、10月14日(火)、11月4日(火)
観覧料:一般 1,200円(1,000円)、大学生 800円(700円)、高校生 500円(300円)、中学生以下 無料
※( )内は20名以上の団体料金および割引料金
※障害者手帳の所持者および付添者1名までは無料
※10月19日(日)「いしかわ文化の日」、11月3日(月・祝)「文化の日」は割引料金
【問い合わせ先】
ハローダイヤル
TEL:050-5541-8600