オリミ(ORIMI)の2026年春夏コレクションが、2025年9月6日(土)、渋谷ヒカリエにて発表された。
2025年春夏に初のランウェイショーを実施したオリミにとって、2回目の挑戦となる2026年春夏コレクション。今シーズンは、どこかよそへという意味の「ELSEWHERE」がテーマ。そのままの意味ではなく、“近いのにどこか遠い”という感覚として、「ここではないどこか」あるいは「日常と地続きの非日常」を思わせる、“いつかの未来”をコレクション全体で表現した。
「ここではないどこか」という絶妙な距離感は、テーラードジャケットやパンツなどに、違和感となって現れている。フロントボタンの位置がねじれ、膨らんだテーラードジャケット、ジャケットとパンツが一体化したジャンプスーツなどがその好例。どこか不完全で、アンニュイで退廃的な美しさも孕む。
日常と地続きの非日常の、はっきりと推し量ることのできない境界線を探るルックも登場。波打つワイヤーを縫い込んだフリルトップス、コブのようにぷっくりと肩に張り付くショルダーバッグなどは、独特のラインを生み、ぎこちなく身体のシェイプを崩した。
スタイリングにも違和感が漂う。トップスと一体化したネクタイは、本来あるべきフロント中央ではなく、背中にだらりと垂らしている。また、ボトムスの裾は、あえてシューズやサンダルのストラップで縛った。
従来の洋服としては不完全に思えるルックが勢揃いする中、シャツやスラックスに採用したリネン素材は、どこかゆるりと弛緩した空気感を誘い込む。加えて、オリミとしては普段用いることのないというチェック柄をあしらうことで、新鮮さもプラスした。
デザイナーの折見健太にとって、マスキュリンとフェミニンのバランスを取ることは常に念頭に置いていること。そのどちらにも寄らないニュートラルな状態の今伝えたいのは、肌見せにより自由なファッションを楽しんでほしいという思い。レザージャケットやロングシャツ、カーディガンはあえてボタンをすべてかけずに、大胆に胸元や腹部をさらけ出すことで、着こなしは様々であるということを明示しているようであった。