ディオール(DIOR)が特別協力するヴィヴィアン・サッセンの日本初となる大規模個展「PHOSPHOR|発光体:アート&ファッション 1990-2023」が、「KYOTOGRAPHIE 京都国際写真祭 2024」内にて開催される。開催地は京都新聞ビル地下1階・京都新聞印刷工場跡地、期間は2024年4月13日(土)から5月12日(日)まで。
「KYOTOGRAPHIE 京都国際写真祭 2024」は、国内外の作家による貴重な写真作品や写真コレクションを、京都の歴史的建造物や近現代建築の空間に展示する国際的な写真祭。これまでの累計来場者は約159万人にも上る、毎年恒例のアートイベントだ。
本記事では、実際の会場をディオール ビューティー アンバサダーのCocomiとめぐり、会場の様子と見どころをレポートする。
中でも注目を集めているのが、アムステルダム出身の写真家、ヴィヴィアン・サッセンの日本初の大規模個展「PHOSPHOR|発光体:アート&ファッション 1990-2023」。クチュリエになる前はギャラリーのオーナーであり、コレクターでもあったクリスチャン・ディオールのアートへの情熱に敬意を払い、今回ディオールはヴィヴィアン・サッセン展に特別協力することとなった。
ヴィヴィアン・サッセンといえば、世界的なファッション誌の撮影や、数々の有名メゾンとのコラボレーションで知られる世界的アーティストおよびファッション フォトグラファー。アートとファッションという異なる2つの領域を横断することで、作品における鮮やかな色彩、仕掛け、フレーミング、被写体へのアプローチにおいても異彩を放ち、唯一無二で多彩な視覚表現を生み出している。
また、幼少期をケニアで過ごしたヴィヴィアン・サッセンは、当時の記憶から派生する感情やイメージも作品に反映させている。たとえば、燃えるような赤に染まった1枚の絵は、まるでケニアのサバンナの夕焼けを切り取ったような赤により、見る者に雄大なインスピレーションを与える。
展覧会の舞台となるのは、2015年にその役目を終えるまでの40年間、休むことなく新聞を刷り出し続けた「京都新聞印刷工場」の跡地となる広大な空間。会場には、その無骨な雰囲気とコントラストを成すヴィヴィッドな写真、コラージュ、ペインティング、映像など、ヴィヴィアンの30年以上にわたる多面的な作品が並ぶ。ここからは、月に2回は美術館へ足を運ぶというCocomiとともに、その見どころを紐解いていこう。
まず注目すべきは、鮮烈な色彩、強いコントラスト、被写体の抽象的なポージングといったヴィヴィアン・サッセンの真髄を見ることができる『Modern Alchemy(現代の錬金術)』のコラージュ作品だ。人間、動物、植物が溶け合い、自由にかたちを変えて自然のエネルギーと結びついたシュルレアリスム的な1枚は、まさに本展覧会を象徴する作品と言えるだろう。
<Cocomiコメント>
コラージュを使ったり、写真の上に絵の具を塗ったりして、新しい作品を生み出しているのが面白くて素敵。奥行きがあり、“まるで2Dで見る彫刻作品”のようだなと思いました。
私は普段、「ドビュッシーはモネの色彩、ラヴェルはルノワールの光の使い方と似ている」という風に、音楽を聴いたときのイメージと絵を見た時のイメージが繋がることがあるのですが、今回も、作品の立体感や陰影のつけかた、色彩の使い方から、音楽に繋がるインスピレーションを得られたと思います。
「泥なきところに蓮華は咲かぬ(泥中の蓮)」ということわざから着想を得た写真集『Of Mud and Lotus』は、変容、妊娠、出産といった“女性性”に触れる写真を集めたもの。ピンクとホワイトのクリームに覆われた妊婦の写真や色鮮やかなコラージュなど、フェミニズムにフォーカスした作品に注目だ。
<Cocomiコメント>
『Of Mud and Lotus』が出版された2017年、私はまだ学生だったのですが、実は当時図書館で『Of Mud and Lotus』を手に取ったことがあったんです。とても印象的で、初めて見た時のことを今でも覚えています。
影をテーマにした写真シリーズ『Umbra』と、『Umbra』の中から選りすぐりの写真を集めたビデオインスタレーション『Totem』にも注目したい。迷いや儚さ、死と追悼といったテーマで撮影された写真作品がプロジェクターによって投影され、三方を囲むように流れてゆく。映像に没入することで、来場者の影がインスタレーションに投影され、作品に変化を加えることができるのもユニークだ。
<Cocomiコメント>
『Totem』は私の特にお気に入りの作品。自分自身の影で作品が変わっていくのが面白いですよね。ヴィヴィアン・サッセン展では、会場の照明を活かした作品があったり、自分の影を活かせる作品があったり…光と影のコントラストを楽しめる作品が印象的でした。
なおサッセンは、2020年に開催された国際コンペティション「ディオール ヤング フォトグラフィー&ビジュアル アーツ アワード」の審査委員長を務めている。来場者は、パルファン・クリスチャン・ディオールが主催する「アート オブ カラー展」「ディオール ヤング フォトグラフィー&ビジュアル アーツ アワード回顧展」も併設展として楽しめるのがポイント。ヴィヴィアン・サッセン展をキュレートしたクロチルド・モレットが過去の6エディションから選りすぐった、10名の若手アーティストの作品を観賞することができる。
【衣装クレジット】
ジャケット 710,000円、スカート 870,000円、シューズ 155,000円、バッグ 470,000円、チョーカー 165,000円、ピアス 76,000円、リング 59,000円/すべてディオール(DIOR)
KYOTOGRAPHIE 京都国際写真祭2024
ヴィヴィアン・サッセン「PHOSPHOR|発光体:アート&ファッション 1990‒2023」
Presented by DIOR In collaboration with the MEP ‒ Maison Européenne de la Photographie, Paris
開催期間:2024年4月13日(土)~5月12日(日)
会場:京都新聞ビル地下1階(印刷工場跡)
住所:京都府京都市中京区烏丸通夷川上ル少将井町239
時間:10:00~18:00 ※入場は閉館の30分前まで
休館日:4月16日(火)・23日(火)・30日(火)・5月12日(日)
料金:各種KYOTOGRAPHIEパスポートもしくはオンライン配布の限定無料チケットで入場。詳細は公式サイト(https://www.kyotographie.jp/programs/2024/viviane-sassen/)を確認。