企画展「アンチ・アクション 彼女たち、それぞれの応答と挑戦」が、愛知の豊田市美術館にて、2025年10月4日(土)から11月30日(日)まで開催される。その後、東京国立近代美術館、兵庫県立美術館に巡回する。
企画展「アンチ・アクション 彼女たち、それぞれの応答と挑戦」は、ジェンダーの視点から、日本の戦後美術史を捉え直す展覧会だ。草間彌生、田中敦子、福島秀子など、女性の作家14名による約120点の作品を一堂に集めて紹介するとともに、宮脇愛子など、これまで紹介される機会のなかった初期作品や未発表作品も公開する。
第二次世界大戦後の1950〜60年代、日本では短い期間ながらも、女性の作家が前衛美術で注目を集めた。その背景には、フランスを中心に欧米で隆盛した抽象芸術運動「アンフォルメル」と、この運動に応じる批評家の存在があった。
しかし、女性の作家が脚光を浴びる動きは、やがて落ち着くこととなる。アンフォルメルは一過的な流行に過ぎなかったという反省が生じるとともに、アメリカから「アクション・ペインティング」という概念が日本にもたらされると、男性性と結びつきやすいとされた「アクション」の概念に男性の批評家が反応し、女性の作家は批評の対象から零れ落ちてゆくこととなったのだ。
本展では、女性の作家たちによる「アクション」への対抗意識を、「アンチ・アクション」という言葉で捉え、日本の戦後美術の展開を紹介。形や身体性、反復など、作家たちに共通する幾つかの関心を取り上げつつ、個々の作家の独自性を浮かびあがらせてゆく。
たとえば、形と身体性。本展で取り上げる作家たちは、ときに身体を手がかりとしつつ、抽象的な形態を探っていった。会場では、明快な人体像を経て、切り詰めた形態による抽象画を展開するようになった芥川(間所)紗織の《黒と茶》、「捺す」という技法を用いて、目玉や簡略化された人体を表現した福島秀子の《無題》などを紹介する。
また、反復による制作をとおして、独自の作品空間を立ち上げた作家もいた。その例が、細かな網の目で画面全体を覆う、草間彌生の「インフィニティ・ネット」だ。本展ではほかにも、「描く」ことに対する疑問から、「捺す」ことで形象を定着させた福島秀子の《作品》、大小の円を画面に散りばめ、それらを無数の線で繋ぐ田中敦子の《地獄門》などを目にすることができる。
企画展「アンチ・アクション 彼女たち、それぞれの応答と挑戦」
会期:2025年10月4日(土)〜11月30日(日)
会場:豊田市美術館 展示室6・7・8
住所:愛知県豊田市小坂本町8-5-1
開館時間:10:00〜17:30(入場は17:00まで)
休館日:月曜日(10月13日(月・祝)、11月3日(月・祝)・24日(月・振)は開館)
観覧料:一般 1,500円(1,3200円)、高校・大学生 1,000円(800円)、中学生以下 無料
※( )内は前売、オンライン販売および20人以上の団体料金
※以下は観覧料無料(要証明):障がい者手帳の所持者および介添者1人、豊田市内在住・在学の高校生、豊田市内在住の18歳以下(満18歳から最初の3月31日まで)、豊田市内在住の満70歳以上
■出品作家
赤穴桂子、芥川(間所)紗織、榎本和子、江見絹子、草間彌生、白髪富士子、多田美波、田中敦子、田中田鶴子、田部光子、福島秀子、宮脇愛子、毛利眞美、山崎つる子
■巡回情報
・東京会場
会期:2025年12月16日(金)〜2026年2月8日(日)
会場:東京国立近代美術館
住所:東京都千代田区北の丸公園3-1
・兵庫会場
会期:2026年2月28日(土)〜5月6日(水)
会場:兵庫県立美術館
住所:兵庫県神戸市中央区脇浜海岸通1-1-1 HAT神戸内
【問い合わせ先】
豊田市美術館
TEL:0565-34-6610