東京・目白台の永青文庫では、展覧会「永青文庫 近代日本画の粋—あの猫が帰って来る!—」を、2025年10月4日(土)から11月30日(日)まで開催する。
「永青文庫 近代日本画の粋—あの猫が帰って来る!—」展は、菱田春草(ひしだ しゅんそう)の代表作である重要文化財《黒き猫》を中心に、永青文庫が擁する近代日本画の優品を一挙公開する展覧会だ。
明治時代を代表する日本画家のひとり、菱田春草は、伝統的な日本画に欠くことのできなかった輪郭線をなくす没線描法を横山大観とともに試みるなど、斬新な日本画を試みたことで知られる。その後、写実性と装飾性を組み合わせた作風を試みるも、36歳の若さで世を去ることとなった。
《黒き猫》は、春草晩年の代表作として位置付けられる作品のひとつだ。猫は、墨のぼかしを駆使することで、柔らかな毛並みまで表現しているのに対し、柏の葉は金泥を用いて平面的に描かれるというように、その写実性と装飾性の調和が発表当時から高く評価されている。本展の前期では、初の本格的修理を経た同作をいち早く公開する。
また、会場では、永青文庫が誇る近代日本画作品を紹介。後期には《黒き猫》に代わって、春草晩年のもうひとつの代表作、重要文化財《落葉》を展示するほか、会期中に大幅な展示替えを行いつつ、春草の《六歌仙》、横山大観の《柿紅葉》、下村観山の《春日の朝》といった作品を紹介する。
さらに、本展の後期では、中国の墨蹟2点を特別展示。ともに中国の禅僧である、清拙正澄(せいせつ しょうちょう)の《与鉗大冶蔵主法語》と楚石梵琦(そせき ぼんき)の《無我省吾心華室銘至正丙午秋九月》を、修理後初公開する。
令和7年度秋季展 重要文化財「黒き猫」修理完成記念「永青文庫 近代日本画の粋—あの猫が帰って来る!—」
会期:2025年10月4日(土)〜11月30日(日) 前・後期で大幅な展示替えあり
[前期 10月4日(土)〜11月3日(月・祝) / 後期 11月7日(金)〜30日(日)]
会場:永青文庫
住所:東京都文京区目白台1-1-1
開館時間:10:00〜16:30(入館は16:00まで)
休館日:月曜日(10月13日(月・祝)、11月3日(月・祝)・24日(月・振)は開館)、10月14日(火)、11月4日(火)・5日(水)・6日(木)・25日(火)
入館料:一般 1,000円、高校・大学生 500円、70歳以上 800円
※中学生以下、障害者手帳の提示者および介助者(1名)は無料
【問い合わせ先】
永青文庫
TEL:03-3941-0850