特別展「非常の常」が、大阪の国立国際美術館にて、2025年6月28日(土)から10月5日(日)まで開催される。

非常事態が常態化した現代を生きる

地震や津波、気候変動、戦争、経済危機など、現代の世界では「非常事態」が常態化した状態にあると言うことができる。特別展「非常の常」は、リー・キットや潘逸舟など8人の現代作家の作品をとおして、現代を見つめる視点を探ってゆく。

同時代の危機や社会問題に着目

本展では、現代の世界で起こっている危機や社会問題に着目しつつ、さまざまな作品を紹介。たとえば、米田知子の《絡まった有刺鉄線と花I(非武装地帯近く・チョルウォン・韓国)》は、穏やかな風景を切り取ったようでありながら、休戦状態にある韓国と北朝鮮の間の非武装地帯(DMZ)を捉えた写真作品だ。

リー・キットの新作など

会場には、世界的に活躍する作家の新作や話題作も。なかでも、台湾に拠点を置いて世界的に活躍するリー・キットは、新作「僕らはもっと分別があった。(We used to be more sensible.)」を発表。2018年に原美術館で開催した個展以来の、日本の美術館でのまとまった新作発表となる。

また、台湾のヴィデオ・アートを牽引してきた映像作家・袁廣鳴(ユェン・グァンミン)は、2024年のヴェネチア・ビエンナーレに出品した《日常戦争》を、国内の美術館では初公開するほか、世界的に注目を集める韓国の作家キム・アヨンは、複数の賞を受けている《デリバリー・ダンサーズ・スフィア》を出品する。

7人の作家が映像インスタレーションを展開

さらに、本展では、8人の出品作家のうち7人が、映像によるインスタレーションを発表。作家自身の行為をモノクロ表現で捉えた潘逸舟による《わたしは家を運び、家はわたしを移す》、自らの等身大のコミュニケーションをもとに、社会が抱える難題に取り組む高橋喜代史の《POSTER》などを目にすることができる。

展覧会概要

特別展「非常の常」
会期：2025年6月28日(土)〜10月5日(日)
会場：国立国際美術館 地下3階展示室
住所：大阪府大阪市北区中之島4-2-55
開館時間：10:00〜17:00(金・土曜日は20:00閉館)
※入場はいずれも閉館30分前まで
休館日：月曜日(7月21日(月・祝)、8月11日(月・祝)、9月15日(月・祝)は開館)、7月22日(火)、8月12日(火)、9月16日(火)
観覧料：一般 1,500円(1,300円)、大学生 900円(800円)
※( )内は20名以上の団体および夜間割引料金(夜間割引の対象時間は、金・土曜日の17:00〜20:00)
※高校生以下・18歳未満、心身障がい者および付添者1名は無料(いずれも要証明)
※本料金で、同時開催のコレクション展「コレクション1」も観覧可

■出品予定作家
シプリアン・ガイヤール、潘逸舟、クゥワイ・サムナン、キム・アヨン、リー・キット、高橋喜代史、米田知子、袁廣鳴

【問い合わせ先】
国立国際美術館(代表)
TEL：06-6447-4680