ハナエモリ(HANAE MORI)のデザイナー・森英恵の企画展「生誕100年 森英恵 ヴァイタル・タイプ」が、島根県立石見美術館にて、2025年9月20日(土)から12月1日(月)まで開催される。その後、東京に巡回予定だ。
島根出身の世界的なファッションデザイナー、森英恵。第二次世界大戦後の高度経済成長期、映画衣装の制作で活躍した森は、アメリカへと活動の場を広げ、着物の文化によって成熟していた日本産の絹織物を用いて衣服を手がけるなど、日本人として初めて本格的に自身のブランドを確立している。さらに、東洋人としては初めて、パリ・オートクチュールの正会員としてコレクション発表を続けた。
企画展「生誕100年 森英恵 ヴァイタル・タイプ」は、2022年の没後初となる、森の大規模な展覧会。オートクチュールのドレスや、アメリカ・ニューヨークのメトロポリタン美術館に収蔵されているドレス、写真、資料など、約400点を一堂に集め、森の足跡をたどってゆく。
映画衣装の制作で頭角を現した森は、アメリカへと進出するに際して、日本の美術や文学、布地について学び直した。こうしたなか、着物文化を背景に育まれてきた絹織物の伝統に目を向け、職人とともにオリジナルの服地を作るほか、のちの服作りに応用されることになる意匠も見出している。そして、1965年にはニューヨークで初となるコレクションを発表。東洋と西洋の文化を織り交ぜたことで評価されている。本展では、初出品となるイヴニングアンサンブルを里帰り展示するほか、森がこだわった日本産の布地にも光を当て、布の原画や試し刷りも初公開する。
森は1977年、パリ・オートクチュールの正会員となり、コレクション発表を開始している。森は、それまで手がけてきた独自の色や柄を活かす作品ばかりでなく、オートクチュールならではの素材や技巧を凝らした作品にも挑戦し、創作の幅を広げている。会場では、1977年のデビューコレクションから、2004年のファイナルコレクションまで、長年にわたって取り組み続けたオートクチュールのドレスを一堂に集めて公開する。
森は、メディア活動をつうじて、日本のファッションリテラシーの底上げにも貢献した。1966年に森は、最新のファッションの話題と自身の新作を紹介するメディアとして、『森英恵流行通信』を刊行。もとは顧客向けに配布されていいたものの、のちに一般販売の雑誌『流行通信』として継続されることになった。1978年には、表参道にハナヱ・モリビルを完成させ、ショー開催や若いアーティストの作品発表などにも活用した。本展では、ファッションの情報基盤を整えていった様子を、写真や雑誌、映像とともにひもといてゆく。
開館20周年記念企画展「生誕100年 森英恵 ヴァイタル・タイプ」
会期:2025年9月20日(土)〜12月1日(月)
会場:島根県立石見美術館 展示室C・D
住所:島根県益田市有明町5-15 島根県芸術文化センター「グラントワ」内
開館時間:9:30〜18:00(入館は17:30まで)
休館日:火曜日(9月23日(火)は開館)、9月24日(水)
観覧料:一般 1,300円(1,050円)、大学生 600円(450円)、高校生以下 無料
※( )内は20名以上の団体料金
※前売券は、一般 1,100円、大学生 500円。7月2日(水)10:00より発売予定
※企画展のチケットでコレクション展も観覧可
※東京に巡回予定
【問い合わせ先】
グラントワ代表
TEL:0856-31-1860