“日韓の歩み”アートでたどる展覧会「いつもとなりにいるから」横浜美術館で、李禹煥やパイクら約160点

神奈川の横浜美術館では、リニューアルオープン記念展「いつもとなりにいるから 日本と韓国、アートの80年」を、2025年12月6日(土)から2026年3月22日(日)まで開催する。

現代美術とともに日本と韓国の歩みをたどる初の展覧会

李禹煥 《線より》 1977年 岩絵具、膠、カンヴァス 182×227cm 東京国立近代美術館蔵 ©Lee Ufan
李禹煥 《線より》 1977年
岩絵具、膠、カンヴァス 182×227cm 東京国立近代美術館蔵
©Lee Ufan

日本と韓国は、地理的にも文化的にも近しい国として、長い歴史を歩んできた。企画展「いつもとなりにいるから 日本と韓国、アートの80年」は、美術をとおして日本と韓国の歩みをたどる、国際的にも初の大規模展覧会。日韓の美術館の共同企画による本展では、日本初公開の作品や本展のための新作を含む、50組以上の作家による約160点の作品を一堂に集めて紹介する。

日本と朝鮮半島、国交の空白期

郭仁植 《Work》 1963年 ガラス、麻布 46×120.7cm 国立国際美術館蔵 ©ギャラリーQ
郭仁植 《Work》 1963年
ガラス、麻布 46×120.7cm 国立国際美術館蔵
©ギャラリーQ

全5章のうち、1章では、国交の空白期に着目。1945年の終戦により、朝鮮半島は日本の植民地支配から解放されるものの、北側をソ連軍、南側をアメリカ軍が統治することになり、半島は朝鮮民主主義人民共和国と大韓民国に分断された。その後、日本と大韓民国の国交が正常化する1965年まで、朝鮮半島との国交の空白期が約20年にわたって続くことになった。会場では、日本と朝鮮半島のはざまにいた在日コリアンに着目しつつ、曺良奎の《マンホールB》や郭仁植の《Work》といった作品とともに、この20年間を振り返る。

ナムジュン・パイクと日本のアーティスト

ハイレッド・センター 《「シェルター計画」人体展開図写真(白南準)》 1964年 写真 26.7×28.8cm 個人蔵 ©Genpei AKASEGAWA, Courtesy of SCAI THE BATHHOUSE
ハイレッド・センター 《「シェルター計画」人体展開図写真(白南準)》 1964年
写真 26.7×28.8cm 個人蔵
©Genpei AKASEGAWA, Courtesy of SCAI THE BATHHOUSE

日韓の国交正常化の時期を前後して、日本の美術界と関わったのが、ビデオ・アーティストとのナムジュン・パイクだ。日本の植民地時代の朝鮮半島に生まれたパイクは、1950年に来日。その後、ドイツやアメリカに渡って活躍するも、生涯にわたって日本の作家と親交を結んでいる。第2章では、パイクを中心に、ハイレッド・センターなど、日韓のアーティストの関わりに光を当てる。

日韓の国交正常化以降の広がり

朴栖甫 《遺伝質1-68》 1968年 油彩、カンヴァス 79.8×79cm 国立現代美術館蔵 ©PARKSEOBO FOUNDATION
朴栖甫 《遺伝質1-68》 1968年
油彩、カンヴァス 79.8×79cm 国立現代美術館蔵
©PARKSEOBO FOUNDATION

日本は1965年、大韓民国と国交を正式に樹立した。その後、日本と韓国では、お互いの同時代の美術を紹介する展覧会が活発に開催されるようになった。第3章では、1960年代後半から1980年代にかけてを中心に、日韓の同時代の美術がどのように相互に紹介されたのかを探ることで、両国のアートシーンの関係を紹介。李禹煥の《線より》や山口長男の《軌》といった作品を取り上げる。

新しい世代と新たな表現の時代へ

中村政人 《トコヤマーク/ソウル》 1992年 韓国製床屋マーク、鉄他 161×φ130cm 個人蔵
中村政人 《トコヤマーク/ソウル》 1992年
韓国製床屋マーク、鉄他 161×φ130cm 個人蔵

第4章で着目するのが、新たな発想や表現媒体の作品が登場した時代。植民地支配の時代には、朝鮮半島から日本へと多くの留学生がやってきた。アートシーンにおけるこの逆の流れの嚆矢となったのが、中村政人だ。中村は1990年、韓国の美術大学に留学し、同時代のアーティストと繋がりを持つようになった。会場では、1992年にソウルで開催された、中村と村上隆による伝説的な二人展を起点に、同時代のソウルで活動を始めていた、イ・ブルやチェ・ジョンファの作品を紹介する。

アートをとおして社会を見つめる

田中功起 《可傷的な歴史(ロードムービー)》 2018年 ビデオ・インスタレーション サイズ可変 個人蔵
田中功起 《可傷的な歴史(ロードムービー)》 2018年
ビデオ・インスタレーション サイズ可変 個人蔵

韓国では1987年、長らく続いていた軍事独裁政権が、民衆の力によって終わりを迎えた。こうしたなか、民主化に連帯する動きは、韓国の国内ばかりでなく、国外在住のアーティストにも、広がっていった。社会の問題と密接に結びついた作品を手がけるという意識は、現在のアーティストにも、かたちを変えて引き継がれてゆくこととなる。第5章では、見過ごされがちな社会の問題を浮かびあがらせるアートの役割に着目し、百瀬文とイム・フンスンによる《交換日記》や、田中功起の《可傷的な歴史(ロードムービー)》など、現代の作品を取り上げる。

展覧会概要

横浜美術館リニューアルオープン記念展「いつもとなりにいるから 日本と韓国、アートの80年」
会期:2025年12月6日(土)~2026年3月22日(日)
会場:横浜美術館
住所:神奈川県横浜市西区みなとみらい3-4-1
開館時間:10:00~18:00(入館は閉館30分前まで)
休館日:木曜日、12月29日(月)~1月3日(土)
観覧料:一般 2,000円(1,900円)、大学生 1,600円(1,500円)、中学・高校生 1,000円(900円)、小学生以下 無料
※( )内は有料20名以上の団体料金(電話にて要事前予約。美術館券売所でのみ販売)
※オンラインチケットは11月1日(土)より販売予定
※障がい者手帳の所持者および介護者1名は無料
※同時開催の横浜美術館コレクション展も観覧当日にかぎり入場可

【問い合わせ先】
横浜美術館
TEL:045-221-0300

Photos(13枚)

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