2010年6月2日から9月5日まで、ロンドンのサマセット・ハウスSomerset Houseにて"Maison Martin Margiela '20' The EWxhibition"展が開催されている。

この展示は、現代ファッション界において最も影響力のあるメゾンである、メゾン マルタン マルジェラのブランド設立20周年を記念して行われている展覧会で、マルジェラの芸術的でコンセプチュアルなファッションへのアプローチを余すところなく見せてくれる。

マルタン・マルジェラはアントワープ王立芸術アカデミーを卒業後ジャンポール・ゴルチエのアシスタントを経て、1988年に最初のコレクションを発表した。以来、「脱構築」的アプローチやモノトーンのパレット、オーバーサイズの服や非伝統的な素材使いを通じて、ラディカルにファッションの可能性を押し広げてきた。

展示はマルタン・マルジェラのキー・テーマとなっている「トロンプ・ルイユ(騙し絵)」や「ペイント」、アイコニック・アイテムである「タビ・ブーツ」など様々なテーマごとにまとめられている。それぞれがプロダクトそのものに加えてインスタレーションや写真、フィルムなどを含めた様々な形で展示される。過去20年におけるマルジェラの独創的な美意識や哲学を改めて学ぶことができるとともに、店頭ではなかなか目にすることのできないアーティスティックなピースを間近で見ることができる貴重な機会となっている。

展示会場であるサマセット・ハウスは9月17日から始まるロンドン・ファッション・ウィークのメイン会場でもある。昨年デザイナーとしての引退が公式に明らかになったマルジェラは、この展覧会で改めてその存在の大きさをロンドンに見せつけた。次のロンドン・ファッション・ウィークで私達は次のマルジェラに出会えるのだろうか。

[text by Taro Serikawa]