特別展「川瀬巴水 旅と郷愁の風景」が、広島県立美術館にて、2023年4月11日(火)から6月11日(日)まで開催される。東京のSOMPO美術館などでも開催された巡回展だ。

川瀬巴水の画業をたどる

川瀬巴水(かわせ はすい)は、大正期から昭和期にかけて活躍した、新版画の風景版画家だ。新版画とは、当時衰退しつつあった伝統的な浮世絵木版画のシステム、すなわち版元を中心に、絵師・彫師・摺師が協働する制作プロセスに基づきつつ、新しい色彩感覚や表現を取り入れたものである。

新版画運動を牽引した版元・渡邊庄三郎と出会った巴水は、新版画の作家としての活動をスタート。ギザギザとした輪郭線を活用し、墨のぼかしによって陰影をつけて立体感や遠近感を出すなど、従来の木版画にはない表現を試みた「塩原三部作」で高く評価され、以後、近代化に伴って街や風景が急速に変貌するなか、各地を旅して表情豊かな風景画を手がけ続けたのだった。

特別展「川瀬巴水 旅と郷愁の風景」では、初期から晩年に至る巴水の作品のなかから、代表的な連作を中心に、約180点の作品を紹介。従来の木版画には見られなかった表現や大胆な構図を特徴とする初期の「東京十二題」から、関東大震災でそれまでの成果を失ったのちに制作された代表作「東京二十景」、朝鮮半島を旅した経験から生まれた「朝鮮八景」や「続朝鮮風景」、そして戦後、最晩年の作品まで、季節や天候、時の移ろいを捉えた木版画の数々を目にすることができる。

展覧会概要

特別展「川瀬巴水 旅と郷愁の風景」
会期：2023年4月11日(火)〜6月11日(日) 会期中無休
会場：広島県立美術館
住所：広島県広島市中区上幟町2-22
開館時間： 9:00〜17:00(金曜日は20:00まで)
※入場はいずれも閉館30分前まで
※4月11日(火)は10:00開場
観覧料：一般 1,400円、高校・大学生 1,000円、小・中学生 700円
※前売および20名以上の団体は、当日料金より200円引き
※前売券は、広島県立美術館ほかにて販売
※身体障害者手帳、療育手帳、精神障害者保健福祉手帳、戦傷病者手帳の所持者および介助者(1名まで)の当日料金は半額
※開館情報は変更となる場合あり(最新情報については美術館に確認のこと)

【問い合わせ先】
広島県立美術館
TEL：082-221-6246