企画展「上田薫とリアルな絵画」が、茨城県近代美術館にて、2021年10月26日(火)から12月12日(日)まで開催される。

“リアル”をめぐる絵画表現

上田薫は、日本におけるスーパーリアリズムの第一人者として知られている画家だ。写真を用いて対象を精巧に描写する絵画を手がけており、「なま玉子」シリーズをはじめ、シャボン玉や水の流れといった身近なものの一瞬の姿を捉えてリアルに表現する作品で高く評価されてきた。

企画展「上田薫とリアルな絵画」では、上田の仕事を代表的なシリーズによって振り返るとともに、現代の作家によるリアルな絵画表現をあわせて紹介。光がものを照らしだす複雑な様相、人物表現における精神性や同時代性、見る者の意表を突くふしぎな世界など、各々の視点から追究された独自のリアリティを展観する。

上田薫の代表的なシリーズを一挙紹介

本展では、上田薫の作品世界を代表的なシリーズを通して紹介。玉子のさまざまな姿を大画面にクローズアップで描いた「玉子」シリーズを筆頭に、微細な泡を存在感たっぷりに描く「あわ」シリーズ、初めて屋外にモチーフを求めた「流れ」シリーズ、空の光景という壮大なモチーフに挑戦した「Sky」シリーズ、そして野菜や果物を画面いっぱいに描いた「サラダ」シリーズなどから、上田の表現の変遷をたどることができる。

現代の作家によるリアルな絵画

対象を本物そっくりに描く絵画は、迫真的な表現をとる点では共通しつつも、モチーフの選択や構成などに画家の独自性が現れる。会場では、西洋絵画の静物画などの伝統を踏まえつつ、果物が散らばるテーブルと女性を不思議な雰囲気で描いた橋爪彩《Girls Start the Riot》や、サブカルの要素を取り入れて現代的な女性像を追い求めた山本大貴《Standing Figure (feat. IKEUCHI Hiroto)》など、現代の画家によるリアルな表現を紹介する。

また、現代の作家による光の表現にも着目。上田の作品でも光の反射や透過が精緻に描き出されているが、それは「ものを描く」ことが「ものを照らす光のありようを表現する」ことでもあるためである。本展では、クローズアップされた染付磁器とその表面の反射光を描いた伊庭靖子の《Untitled》をはじめ、光の生みだす多彩な効果にふれることができる。

展覧会概要

企画展「上田薫とリアルな絵画」
会期：2021年10月26日(火)〜12月12日(日)
会場：茨城県近代美術館
住所：茨城県水戸市千波町東久保666-1
開館時間：9:30〜17:00(最終入場時間は16:30)
休館日：月曜日
観覧料：一般 870円(730円)、満70歳以上 430円(360円)、高大生 610円(490円)、小中生 370円(240円)
※( )内は20名以上の団体料金
※土曜日は高校生以下無料
※障害者手帳・指定難病特定医療費受給者証などの持参者は無料
※11月13日(土)茨城県民の日は誰でも入場無料
※12月4日(土)は満70歳以上は入場無料
※ウェブ予約可能(詳細は美術館ホームページを参照)

■出品作家
上田薫、三尾公三、金昌烈(キム・チャンヨル)、高松次郎、野田弘志、石井精一、木下晋、柳田昭、片小田栄治、磯江毅、大畑稔浩、伊庭靖子、田邉光則、諏訪敦、橋爪彩、山本大貴、横山奈美、松川朋奈、橋本大輔

【問い合わせ先】
茨城県近代美術館
TEL：029-243-5111