「多摩美の版画、50年」展が、東京の多摩美術大学美術館にて、2021年1月6日(水)から2月14日(日)まで開催される。
多摩美術大学で版画教育が始まった1970年当時、キャンバスなどに直接描く一点物の絵画に対して、版を製作してそれを印刷する版画は、間接的・複数的なメディアの性質を持ち、絵画とは異なる表現の可能性を有するものとして注目されていた。そしてこのメディアの特質が、情報の複製・配信を加速した高度情報化夜会における芸術表現として浸透していったのだ。
その一方で版画は、時代とともに新しいメディアと交流し、写真やデジタル、彫刻、デザインなど、多彩な表現媒体とつながっていった。「多摩美の版画、50年」展では、多摩美術大学にゆかりのある作家やデザイナーの版画作品を、「版画のコア」「版画と絵画」「版画と写真」「版画ともの派」「版画と現代美術」「版画とデザイン」の6つのテーマに基づいて展示し、版画の特質と領域横断的なメディアとしての可能性を探る。
「版画のコア」では、多様な広がりの起点となる版画の核を、駒井哲郎や吹田文明らの作品から紹介。続く「版画と絵画」では、横尾忠則や加納光於、宇佐美圭司らを取り上げ、単なる複製画としてではなく、間接的な表現としての版画に、画家が見出した可能性を探る。
一方「版画と写真」では、写真を展開させるメディウムとして版画を捉えた島州一や木村秀樹らにフォーカス。また、「版画ともの派」では、版の物質性や痕跡性に着目し、物と物、 物と空間の関係性を探求した李禹煥ら「もの派」作家の作品を展示する。
さらに「版画と現代美術」では、自身の作品素材であった銅板を版として物質のあり方に向き合った彫刻家・若林奮や、高松次郎をはじめ、現代美術家が自らの問題意識から版画表現に取り組んだ試みを紹介。そして「版画とデザイン」では、印刷の原理に着目してデザインを版画で制作する横尾忠則、和田誠やしりあがり寿などを取り上げ、デザイン表現における版画の可能性を考察する。
「多摩美の版画、50年」展
会期:2021年1月6日(水)〜2月14日(日)
会場:多摩美術大学美術館
住所:東京都多摩市落合1-33-1
TEL:042-357-1251
開館時間:10:00〜17:00(入館は16:30まで)
休館日:火曜日
入館料:一般 300円(200円)
※( )は20名以上の団体料金
※障がい者および付添者、学生以下は無料