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俳優・杉野遥亮にインタビュー、映画『水上のフライト』は僕にとって“ご褒美”のような作品だった

昨今、映画やドラマへの出演が続く若手俳優の杉野遥亮。杉野は、2015年に第12回FINEBOYS専属モデルオーディションでグランプリを獲得。2017年公開の映画『キセキ -あの日のソビト-』で俳優デビューを果たし、これまで『居眠り磐音』や『羊とオオカミの恋と殺人』などに出演してきた。

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2020年11月13日(金)には、新たな出演作『水上のフライト』が公開。本作は、実在するパラカヌー日本代表選手との交流を通じて完成させた、オリジナルストーリーだ。杉野は、パラカヌーで夢を切り開いていく主人公・遥を陰で支える、義肢装具士の加賀颯太役を演じた。

公開に向け、杉野にインタビューを実施。『水上のフライト』撮影時のエピソードや、俳優業に対しての想いを語ってもらった。

『水上のフライト』は“ご褒美”のような作品だった

俳優・杉野遥亮にインタビュー、映画『水上のフライト』は僕にとって“ご褒美”のような作品だった|写真5

■『水上のフライト』への第一印象を教えてください。

なんて爽やかな作品なんだろう!それが一番でした。

と同時に、兼重監督の作品は、僕のデビュー作であった『キセキ ーあの日のソビトー』出演以来だったので、その時の感覚も思い出し、フレッシュな気持ちになれました。

■『キセキ ーあの日のソビトー』と『水上のフライト』で、杉野遥亮さんの心境に変化はありましたか。

『キセキ ーあの日のソビトー』では、初めて尽くしの現場で、“撮影ってこんな風に進むんだ”とか、“こんな風に映画を作っていくんだ”とか、本当に単純な感情しかなくて。正直なことを言うと、当時はまだ自分がスクリーンに映っていることさえ不思議で、完成した作品を見ることに恥ずかしさもありました。

そこから約3年ほどたって、『水上のフライト』では、自分が演じる役に対しても、作品に対しても、感情に膨らみが出たなあと。客観的に自分が演じる役と作品を見られるようになりました。

視野が広くなったおかげで、兼重監督ならではの素敵なところを、改めて実感できたような気もします。

俳優・杉野遥亮にインタビュー、映画『水上のフライト』は僕にとって“ご褒美”のような作品だった|写真1

■杉野遥亮さんが思う“兼重監督ならではの素敵なところ”とは?

兼重監督は、演者にとても寄り添ってくれる方です。例えば、“僕が思う颯太”に対して、話し合いながら付け加えたり、いらないところはそぎ落としてくれたり。僕の意見をもとに、細やかにアドバイスをしてくださいました。

こんな風に兼重監督の作り出す穏やかな雰囲気が、とても好きだなあって。撮影現場での時間が、ゆっくり流れているような感覚を受けたのが印象的でしたね。

■時間がゆっくり流れているとは?

安心して、落ち着きをもって自分の役にも作品にも向き合える時間がありました。いい緊張感を持ちながらも、リラックスして挑めていたのだと思います。時間と心に余裕があった分、周りがしっかりと見えました。

俳優・杉野遥亮にインタビュー、映画『水上のフライト』は僕にとって“ご褒美”のような作品だった|写真7

■『水上のフライト』では子供たちとの共演シーンも多いですね。

子供たちは純粋に楽しい!と思えることに貪欲だし、無邪気だなあと思う反面、大人より周りが見えてるんじゃないかってドキッとさせられることもある。彼らの屈託のない心に触れられたのは、僕にとっていい経験だったと思います。

子供たちが作ってくれていた朗らかな雰囲気も、時間の流れをゆっくりと感じられた理由の1つですね。子供たちの持つパワーって、本当にすごいんだなあと改めて感じました。

■色んな発見ある環境だったと。

いいものだけを吸収できる、僕にとって“ご褒美”のような作品だったのかなと思います。兼重監督や共演者の皆さんが作ってくれる現場の雰囲気が、僕にとっての癒しでしたから。

そして、『水上のフライト』での有意義な時間は、自分を見つめ直す機会にもなりました。

自分を見つめなおした今、俳優としての新たな一歩へ

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■『水上のフライト』は自分を見つめなおす機会になった、とのことですが、本作を通して俳優としての意識が変化した部分はありますか。

『水上のフライト』は、自分を見つめ直すためのヒントをくれました。実際に、自分の気持ちに変化があったのは、撮影当時(2019年)ではなく、その後訪れた自粛期間中です。

■変化の前はどのような考えだったのでしょうか。

何となく色んなことに迷いがあって、自分の軸ができていませんでした。俳優としても、ひとりの人間としても。まだ自分に自信がなかったのかもしれません。

僕自身、もともと相手に合わせるようなタイプではないはずなのですが、流されるままに撮影現場に足を向けているようなこともありました。時には喝を入れながら。知らない間に、自分の中だけで切り詰めて考えていたり、しんどいことも抑え込んでいたりしていたんだと思います。

■それが自粛期間を経て考えが変わったと。

吹っ切れたんですよね。僕自身をもっと信じてあげようと。

自分が思う“好き”“嫌い”といった気持ちを大切にすること。自分の本心に素直でいようと考えるようになりました。

■吹っ切れた理由は何だったのでしょうか。

両親や親友など、僕を支えてくれている人たちの言葉の数々。そのおかげで自分と向き合うことができました。

自分の考えに対して客観的な意見で、背中を押してくれたり、ダメなことは止めてくれたりする周りの人がいてくれた。自分が見逃しそうなことを、気づかせてくれる人の存在があって、今の考えにたどりつけました。

■まさに、『水上のフライト』でも同じようなことが語られています。

そうです。『水上のフライト』の中で(中条さん演じる)遥は、最初、交通事故で歩けなくなってしまった自分を受け入れられずにいた。でも周りのみんなの支えがあって、ありのままの自分を受け入れられたから強くなっていきます。

この物語のキーワードのひとつでもある “ありのままの自分を受け入れること”というのが、僕にとっても大切な言葉になりました。

俳優・杉野遥亮にインタビュー、映画『水上のフライト』は僕にとって“ご褒美”のような作品だった|写真2

■“ありのままの自分を受け入れること”って、なかなか難しいですよね。

そうですね。難しいことだなって思います。でも、それをできた人は強くなれる。

そのためにも、心から信用できる、自分の弱みを見せられる人の存在がとても大切です。僕や遥がそうだったみたいに。

人間、誰だって人に言いづらい悩みや、不安に思うことが、大なり小なりあると思うんですけど、それを打ち明けられる人が1人でも傍にいてくれたら、ありのままの自分を受け入れられるようになれるだろうし、もっと輝きだすことができるはずです。

■考え方が変わって、演技などに変化が出たと感じる部分はありますか。

いえ、実はまだありません。こんな風に思えるようになったのは、まだ本当にここ最近の話ですし、これからですね。

自分の本心にきちんと向き合っていきたい。そうすれば、俳優としての自分を根底から見つめ直すことにもなると思うので。

俳優・杉野遥亮にインタビュー、映画『水上のフライト』は僕にとって“ご褒美”のような作品だった|写真6

■杉野さんが目指すのは、どのような俳優ですか?

ひとりでも誰かの心を動かせるような俳優になりたいです。僕の演技が誰かの心に響いて、その人の心が改まったり、前向きになれたりすることがあるといいなって。ファンの方からいただいたお手紙を見ても、そういうことを書いてくださっているととても嬉しい。それが僕のやりがいになってきています。

■今後具体的に出演してみたい作品ジャンルなどは?

たくさんあって、今ここでお伝えするのは難しいです…(笑)。

挑戦する姿勢は常に持ち続けたいんですよね。守りには入りたくない。好奇心をなくさず、ちょっと無理難題かなと思うことでも、心がワクワクするのであれば、自分の気持ちに正直になって、積極的に挑戦していきたいと思います。

映画『水上のフライト』作品詳細

俳優・杉野遥亮にインタビュー、映画『水上のフライト』は僕にとって“ご褒美”のような作品だった | 写真

映画『水上のフライト』
公開日:2020年11月13日(金)
※当初2020年6月12日(金)だったが延期となった。
監督:兼重淳
脚本:土橋章宏
主題歌:「ひとりで生きていたならば」SUPER BEAVER
出演:中条あやみ、杉野遥亮、高月彩良、冨手麻妙、大塚寧々、小澤征悦
配給:KADOKAWA

©2020 映画「水上のフライト」製作委員会

【ストーリー】

自分の実力に絶対の自信を持つ高慢な遥は、走高跳で世界を目指し、有望スポーツ選手として活躍していた。だがある日、不慮の事故に合い、命は助かったものの二度と歩くことができなくなってしまう。将来の夢を絶たれた遥は、心を閉ざし自暴自棄になるが、周囲の人々に支えられカヌーという新たな夢を見つける。
きらめく水面を背景に、母の愛、淡い恋心、恩師との約束・・・そして、大切な人の想いを乗せて、どん底から道を切り開いていく。中条あやみがカヌーなどの難演技に挑む、実話から着想を得た感動作。

※衣装問い合わせ先
エドストローム オフィス:03-6427-5901
アクネ ストゥディオズ アオヤマ:03-6418-9923

Photos(11枚)

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