展覧会「記憶と空間の造形 イタリア現代陶芸の巨匠 ニーノ・カルーソ」が、2020年1月4日(土)から2月16日(日)まで、京都国立近代美術館にて開催される。その後、岐阜県現代陶芸美術館に巡回。岐阜では当初2020年4月12日(日)まで開催予定だったが、臨時休館に伴い4月3日(金)までの開催とした。
イタリア現代陶芸を代表する作家、ニーノ・カルーソ。その活動は、自らの故郷・シチリアの記憶に神話性や象徴性を重ねた器物の制作から始まる。しかし、古代ローマ・ギリシャ遺跡などを思わせる壁面や柱の制作へと徐々にシフトし、古代と現代をとり結ぶ空間を構築することを目指すようになった。
日本初の本格的な回顧展となる「記憶と空間の造形 イタリア現代陶芸の巨匠 ニーノ・カルーソ」では、ニーノ・カルーソの代表作92点とともに、数々のデザインワークやスケッチなどの資料を展示。技術、素材、アイデア、記憶、空間が有機的に絡みあう、カルーソの造形世界に迫る。
陶芸家の道を歩み始めたカルーソが手掛けたのは、人物などの絵付けやざらついた質感の釉薬を特徴とする「アルカイック」シリーズであった。会場では《抱擁》などを通して、古代文明の遺産やシチリアの岩石の質感から着想を得た、独自の装飾的な表現を紹介する。また、切り取った鉄板の断片で構成される《鷲》なども展示し、陶磁のみならず鉄やグラスファイバーなどを多彩に使いこなす、素材への探求にも光をあてる。
60年代半ばにカルーソは、カットした発泡スチロールを複雑に組み合わせたを原型とする“モジュラー・ユニット”の手法を使うことで、単純な要素から複雑な空間性が生まれる陶芸作品を生みだした。そのような高い造形性に、地中海地方の神話や風土、建築物から得た着想を融合させた「エトルリア人への敬意」シリーズや《シチリアの記憶》も紹介する。
そうしたモジュラー・ユニットに基づいた制作とともに、90年代後半以降は型などを用いない彫刻作品も手掛けてきた。そうした作品のなかから家型の《夢の館》などを展示。故郷の記憶や自身の夢、それらが知的なアプローチと結びついて優れた造形性へと昇華される、独自の世界観をひもとく。
展覧会「記憶と空間の造形 イタリア現代陶芸の巨匠 ニーノ・カルーソ」
会期:2020年1月4日(土)〜2月16日(日)
開館時間:9:30〜17:00(入館は閉館の30分前まで) ※ただし金・土は20:00まで開館
休館日:毎週月曜日(ただし1月13日(月・祝)は開館)、1月14日(火)
会場:京都国立近代美術館
住所:京都府京都市左京区岡崎円勝寺町
観覧料:一般 1,000(800)円、大学生 500(400)円、高校生以下・18歳未満 無料
※( )内は前売り・20 名以上の団体・夜間開館時(金・土の17:00〜)の夜間割引料金
※前売券は1月3日(金)までの期間限定発売
※心身に障がいのある方と付添者1名は無料(入館時に証明できるものを提示)
■巡回
岐阜県現代陶芸美術館
会期:2020年2月27日(木)〜4月3日(金)
住所:岐阜県多治見市東町4-2-5
※臨時休館に伴い、閉幕日を早めて終了。
【問い合わせ先】
京都国立近代美術館
TEL:075-761-4111