趣里さんが、演技をする上で大切にしていることはありますか。
共演者さんたちの感情と撮影場所、その双方から得られるものがたくさんある中で、自分の役割や撮影シーンの目的を考えて、自然な雰囲気を作っていけることが一番大事だと思っています。自分が役に向き合った土台があるのを前提に、現場で人と繋がり、反応しあうことで、作品が完成していく。それが、演じることの楽しさでもあると感じています。
人との繋がりの延長線上に、演技の楽しさが見えてくるのですね。
全然違う人生を歩む人たちが集まって、反応しあうことで物語ができていくってとても面白い。お芝居は、見る人の捉え方が違うのはもちろん、作る側も捉え方が違う人が集まっているものだから、監督はじめキャスト、スタッフの皆さんの想いを乗せた1カット1カットが存在する。だからこそ、作品がとても愛おしく感じられるんですよね。
監督は本作が長編監督デビューとなる関根光才だ。有名企業のCMや安室奈美恵、Mr.Childrenなど人気アーティストのミュージックビデオを手掛けてきたクリエイターが、初監督ならではの初々しい感性と、映像ディレクターで培った確かな技術力で、儚くも美しい愛を映像化する。
映画に深みを与えているのは、世武裕子が歌う楽曲『1/5000』。「あわい、あまい、めまい」と韻を踏みながら紡がれていく独特な歌詞は、作詞家の御徒町凧と世武の共作で生み出されたものだ。主人公の寧子、津奈木の心情ともリンクする映画の世界観を表した楽曲となる。
生きてるだけで、ほんと疲れる。
鬱が招く過眠症のせいで引きこもり状態の寧子と、出版社でゴシップ記事の執筆に明け暮れながら寧子との同棲を続けている津奈木。そこへ津奈木の元カノが現れたことから、寧子は外の世界と関わらざるを得なくなり、二人の関係にも変化が訪れるが……。
映画『生きてるだけで、愛。』
公開日:2018年11月9日(金)より新宿ピカデリーほか全国ロードショー
出演:趣里、菅田将暉、田中哲司、西田尚美、松重豊、石橋静河、織田梨沙、仲里依紗
監督:関根光才