チルドレン・オブ・ザ・ディスコーダンス(Children of the discordance)の2026年春夏コレクションを紹介。今季は、第108 回ピッティ・イマージネ・ウォモのスペシャルイベントとしてランウェイ形式で発表した。
「恐るべき子ども(Enfant Terrible)」をテーマに掲げた今季は、デザイナー志鎌英明の原体験を落とし込んだ。
横浜のアンダーグラウンドで育った志鎌は11歳のとき、ステューシー(STÜSSY)との出会いを機にストリートカルチャーへ傾倒。スケーター、DJ、バイカー、ダンサー、不良、グラフィティアーティストが自然と集まっていた地元の公園で、彼らの個性を目の当たりにする。
また自身の仲間内では、「人と同じ格好をしない」という暗黙のルールが存在していたといい、志鎌はそれを「DJ が同じ曲をかけるのを避けるように、服も同じです」と語る。そんな価値観に根差した今季のワードローブには、唯一無二の個性や不調和から生まれた創造性が随所に滲み出ている。
特に目を引いたのは、チルドレン・オブ・ザ・ディスコーダンスが得意とするテキスタイルの継ぎ接ぎによって生まれる個性。裁ち切りや解体のニュアンスを残したデニム、アシンメトリーなスタジャンやスウェットがその好例だ。これらのドッキングの合間に、ブランドのアイコニックなバンダナ柄も潜んでいる。
また、大胆なアシンメトリーも特徴的で、右足と左足でデザインの異なるユニフォームシャツなどは“個性的な1着”としての存在感を放つ。
そして今季は、ロンドン仕込みのメンズウェアパタンナーとの協業により、ジャケットやトラウザーズ、構築的なシャツといった洗練されたテーラリングが加わっているのもポイント。これらのピースには、デッドストックのセルビッジウール「Super100s / 200s」や20種類の上質な生地を用いた一点物のパッチワークなどを採用。フォーマルなシルエットに、あえてノイズを走らせたような違和感を添えている。
カラーパレットは、“ベトナムへの旅”にインスパイア。ベージュやカーキ、ネイビー、スモーキーグレーなど、アーシーな色彩を基調にした。多くの衣服には、太陽に晒され色褪せたような雰囲が宿り、“着ることで存在が形づくられた”かのような佇まいも感じられる。
さらに、ディッキーズ(Dickies)やアンブロ(umbro)をはじめとするコラボレーションアイテムも要チェック。例えばブーツとスニーカーは、ソウル発のクラフトマンシップシューズブランド「エイムススタジオ(AIMS STUDIOS)」とのタッグによるもの。イタリアンレザーやヌバック、キャンバスなど異素材アッパーに、ヴィンテージ風の加工を施し、オリジナルのスタッズを装飾した。
また、コインローファーはリーガル(REGAL)とのコラボレーション。そのほかリングやネックレス、グリルズ、一点物のショーピースなどといった装飾品は原宿を拠点とする「ジュエラーズ アトリエ(JEWELLERS ATELIER)」により制作されている。