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ミシェル・ウィリアムズ インタビュー|写真4

金はあるのに身代金を払わない、というゲティの判断を理解することはできますか?

いいえ(即答)!私は全く理解できない。でも、ゲティに悪意があったわけではないことは認識しています。彼の孫が死んでもいいと思っていたわけではなく、彼には彼の中での合理的な意見があっての判断だったのです。それでも私個人としては、まったくもって納得できないですね。

ゲティを演じたクリストファー・プラマーの存在感に圧倒されました。彼と共演してみて、現場での印象を教えてください。

クリストファー・プラマーは活躍し続けている俳優ですよね。私もブロードウェイで彼が演じた「リア王」をはじめ、どういう活躍をしてきたかはよく知っています。何より私の娘が、クリストファー・プラマーが演じた『サウンド・オブ・ミュージック』のフォン・トラップ大佐の大ファンなんですよね(笑)。クリストファーは、現場で携帯電話を使って動画を撮ってくれたり、『サウンド・オブ・ミュージック』のシーンについて話してくれたりして私達を楽しませてくれました。

写真:ロイター/アフロ
写真:ロイター/アフロ

それでは、リドリー・スコット監督はいかがでしたか?

とてもエネルギッシュかつポジティブで、毎日意気揚々と現場にいらっしゃるタイプの監督でした。80歳ですしキャリアもある監督ですが、全く文句も言わず、まるで初監督であるかのように嬉々としながら撮影に臨んでいました。監督のおかげで、私達は縛られることなく自由に芝居をすることができたと思います。

監督からはどのような演出をされましたか?

監督は、どういう映画にしたいか、カメラアングルやキャラクターの動きなども全て頭の中に入れて演出をする方でしたが、「とにかく俺を驚かせてくれ」と言われました。定石通りのことはやるな、という意味ですね。だから、「つまらないことはできない」という使命感に燃えながら毎日撮影に臨みました。

ミシェル・ウィリアムズ インタビュー|写真5

時代性を反映した作中の衣装も印象的でした。衣装が演技に影響を与えることはありますか?

衣装は、演じる上での力になってくれます。芝居は、内側、つまり気持ちからその形を作っていく部分もありますが、身体、衣服、身だしなみなど外から作っていく部分も大いにあるのです。例えば靴なら、ヒールの高さ1つにしても多くを物語りますし、洋服がタイトなら身体の感じ方や動かし方が変化していきます。適格に演技をするには大事な役割を果たすものですから、衣装や身なりの調整には時間をかけています。とてもこだわりを持っていますね。

写真:ロイター/アフロ
写真:ロイター/アフロ

今まで多彩な作品に出演されてきましたが、どのような役に対しても果敢に挑んでいく姿勢は、人々に勇気を与えていると思います。失敗を恐れずにいられるのはどうしてですか?

ありがとう。今の私の姿勢には、12歳の頃に愛読していたホイットマンの詩が非常に影響しています。ホイットマンの詩から、自分の声に耳を傾けて、自分の道を行く姿勢を読み取りました。周りに何を言われても、自分の核がしっかりしていれば自分の道を進むことができる、といつも思っています。

あとは、仕事で失敗して作品が不評に終わっても、最悪自分が恥をさらすだけですから、それならチャレンジできる。例えば実生活では時速300マイルで道を走るリスクは負えない。でも映画の中でならできますよね。映画を選ぶ上で負うのはせいぜい恥をかくぐらいのものですから、そのリスクの中で色々試してみたいと思うのです。

公開を目前にゲティ役ケビン・スペイシーの降板劇が発生

公開前から期待されていた作品だが事件が起こる。実はこの映画には元々、アカデミー賞受賞俳優ケビン・スペイシーの出演が決まっていたのだ。しかし、ハリウッドのプロデューサー、ハーベイ・ワインスタインのセクハラ告発に端を発した一連の騒動から派生する形で、全米公開の一ヶ月半前に話の中心となるゲティ役のケビン・スペイシーの降板劇が発生。

お蔵入りまで囁かれたが、急遽代役として名優クリストファー・プラマーがゲティ役で出演することが決定。映画に関わる全てのクルーが協力して短期間での再撮影を敢行し、無事に予定通り全米公開されることになった。

ピンチから一転、アカデミー賞 助演男優賞にノミネート

ミシェル・ウィリアムズ インタビュー|写真2

本来であれば公開時期さえも見直された作品、クリストファー・プラマーにとっては準備の時間もそう多くはなかったはずだ。そんな異色の騒動で話題をさらった『ゲティ家の身代金』だが、代役に抜擢されたクリストファー・プラマーが、アカデミー賞のほか、その前哨戦であるゴールデン・グローブ賞、英国アカデミー賞で助演男優賞にノミネートされる快挙を達成。短期間で作品に参加しアカデミー賞にノミネートというのは史上最短記録だそうだ。

これを受け、プラマーは次のように語っている。「ゲティ家の身代金を完成させたリドリー・スコットの素晴らしいチームに深い感銘を受けました。チームは驚異的な偉業を成し遂げ、私もこのかつてない機会に関われた事を嬉しく思います」

リドリー・スコットは次のように話す。「あえてケビン版の本編を見せませんでした。クリストファー自身が思い描くゲティ像にしてみたかったのです。ケビンの演技は素晴らしいものでしたが、2人のゲティはまるで違います。ケビンのゲティは冷徹な印象であり、逆にクリストファーのゲティは人間的な深みが強調されています。」

ゴールデン・グローブ賞では、惜しくも受賞は逃してしまったが、プラマーのほか、リドリー・スコットが監督賞、ミシェル・ウィリアムズが主演女優と、主要部門でノミネートされた。

作品詳細

『ゲティ家の身代金』
原題:All the Money in the World
公開時期:2018年5月25日(金)
監督:リドリー・スコット
出演:ミシェル・ウィリアムズ、クリストファー・プラマー、ロマン・デュリス、チャーリー・プラマー、マーク・ウォールバーグ
脚本:デビッド・スカルパ
原作:ジョン・パーソン『Painfully Rich: The outrageous Fortunes and Misfortunes of the Heirs of J.Paul Getty』
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