展覧会「復活! 横尾忠則の髑髏まつり」が、兵庫・神戸の横尾忠則現代美術館にて、2025年9月13日(土)から12月28日(日)まで開催される。
日本を代表する現代美術家・横尾忠則の作品には、生命力あふれる雰囲気とは対照的に、しばしば「死」の影が漂っている。髑髏や骸骨といった死を仄めかすモチーフから、空襲で赤く染まった空といった記憶に基づくものまで、死にまつわるさまざまなイメージが登場するのだ。展覧会「復活! 横尾忠則の髑髏まつり」では、作品に繰り返し現れるこうしたイメージを鍵に、横尾の絵画やポスターなどを紹介する。
横尾は、幼少期から「死」に対して恐怖と関心を抱いていたという。年老いた養父母のもとに育った横尾は、養父母の死によって自分だけが取り残されることを恐れていた。他方、江戸川乱歩など、死と隣り合わせの物語に熱中するなど、横尾にとって「死」とは、恐ろしくも好奇心に満ちた、未知の世界であったのだ。
1960年代後半、グラフィックデザイナーとして注目を集めた横尾は、首吊りの自画像を描いたポスターや自身の死亡通知を発表。それはいわば、死を自ら演出することで、その恐怖を乗り越えようとするものだといえる。1970年代には、敬愛する三島由紀夫の死とインド旅行を契機に、その関心は生と死を取り巻く宇宙や超常現象など、精神世界へと拡大。やがて画家へ軸足を移すと、「私」という存在の探究が原動力となり、それまで避けていた自身の記憶に向きあうようになっていったのであった。
本展では、横尾独特の「死」のモチーフに着目しつつ、絵画作品を紹介。首を吊る自画像を描いた《TADANORI YOKOO (自主制作)》、他界した同級生の写真をコラージュした《懐かしい霊魂の会合》、2つに分かれた道を題材とした「Y字路」シリーズの《農道時間》などを目にすることができる。
横尾の作品には、水辺の風景がしばしば登場する。それは、この世とあの世のあいだにある領域であると捉えられるかもしれない。それはときとして、天の川へと転換されている。会場では、生と死とが共存する、こうした光景に着目。舟を髑髏が取り巻く《死者の洞窟》、空襲の記憶を反映し、鮮烈な赤い空が画面を覆う《宇宙蛍》などを展示する。
展覧会「復活! 横尾忠則の髑髏まつり」
会期:2025年9月13日(土)〜12月28日(日)
会場:横尾忠則現代美術館
住所:兵庫県神戸市灘区原田通3-8-30
開館時間:10:00〜18:00(入場は17:30まで)
休館日:月曜日(9月15日(月・祝)、10月13日(月・祝)、11月3日(月・祝)・24日(月・振)は開館)、9月16日(火)、10月14日(火)、11月4日(火)・25日(火)
観覧料:一般 800円(600円)、大学生 600円(450円)、70歳以上 400円(300円)、高校生以下 無料
※( )内は20名以上の団体割引料金
※障がい者は各観覧料金(ただし、70歳以上は一般料金)の75%割引、介護者1名は無料
【問い合わせ先】
横尾忠則現代美術館(総合案内)
TEL:078-855-5607