企画展「インド細密画」が、東京の府中市美術館にて、2023年9月16日(土)から11月26日(日)まで開催される。

流麗な線と鮮やかな色彩で描かれたインド細密画

インドの細密画は、16世紀後半から19世紀半ばにかけて宮廷で楽しまれた、1辺20cmほどの小さな絵画だ。このように小さな画面に描かれた背景には、「絵は一対一で対話するように味わうもの」という考え方があり、絵と対話と重ねることは、魂を清める行為でもあったとされる。

流麗な線と鮮やかな色彩で描かれたインドの細密画においては、西洋絵画に見られるような写実的な描写は追求されていない。むしろ、線描や色彩といった造形性が、絵を目にする人の心へと働きかける力を重視したのであった。企画展「インド細密画」では、世界有数の個人コレクションから、細密画の優品約120点を紹介する。

愛にまつわる絵画

インドの細密画のテーマのひとつが、愛である。インドでは、古代から愛を描く文学伝統があるばかりでなく、ヒンドゥー教の発展のなかで、恋人を愛するように神を慕うことを尊ぶ信仰のあり方が育まれてきたのだった。本展では、《宮廷のクリシュナ》や《憩うクリシュナとラーダ》など、愛にまつわる作品の数々を展示する。

インドの神々と英雄

また、インドの細密画の中心的なモチーフに、神々や英雄を挙げることができる。会場では、世界を維持するヒンドゥー教の神・ヴィシュヌなどを描いた《ヴィシュヌとラクシュミ》や、古代の叙事詩『ラーマーヤーナ』に登場するハヌマーンを題材とする《ヒマラヤの薬草山を持ち帰る猿の国の戦士ハヌマーン》などを紹介する。

音楽を描きだす

インド芸術では、感情を直接的に揺さぶることを大きな目的としていた。こうしたなかで重要視されたのが音楽であり、細密画においても音楽は重要な主題となった。たとえば、「ラーガマーラ(楽曲絵)」。これは、宮廷で演奏される曲の旋律の型や、音色を絵画化したものだ。本展では、《アサヴァリ・ラーギニー》など、音楽にまつわる細密画も目にすることができる。

展覧会概要

企画展「インド細密画」
会期：2023年9月16日(土)〜11月26日(日)
会場：府中市美術館 2F 企画展示室
住所：東京都府中市浅間町1-3(都立府中の森公園内)
開館時間：10:00～17:00(入場は16:30まで)
休館日：月曜日(9月18日(月・祝)、10月9日(月・祝)は開館)、9月19日(火)、10月10日(火)
観覧料：一般 900円(720円)、高校・大学生 450円(360円)、小・中学生 200円(160円)、未就学児 無料
※( )内は20名以上の団体および前売料金
※前売券は、9月15日(金)まで、府中市美術館、セブン-イレブン、ローソン、ミニストップにて販売
※10月7日(土)〜10月9日(月・祝)は「市民文化の日」につき観覧無料
※身体障害者手帳(ミライロID)などの所持者および付添者1名は無料
※府中市内の小・中学生は「府中っ子学びのパスポート」で無料

【問い合わせ先】
TEL：050-5541-8600(ハローダイヤル)