企画展「みちのく いとしい仏たち」が、岩手県立美術館にて、2023年4月8日(土)から5月21日(日)まで開催される。その後、京都の龍谷ミュージアム、東京ステーションギャラリーに巡回する。

北東北の民間仏が一堂に

江戸時代、全国の寺院の本堂では、上方や江戸で造られた仏像が御本尊として祀られていた。これら金色の端正な仏像は、仏教の教えを象徴する役割を担うものであった。一方、寺の中でも本堂ではない仏堂や祠、あるいは民家の神棚には、その土地の大工や職人が手がけた、木造の素朴な像が祀られていた。

このように、仏像造りの専門家ではない僧や大工などによって刻まれた像は、「民間仏」と呼ばれる。仏像には本来、「儀軌(ぎき)」という造形上の決まりごとがあるものの、江戸時代の地方の人びとは、こうした枠組みにはとらわれない発想に基づき、自分たちが信じるところの神や仏の姿を刻んで信仰の対象としてきた。しかし、その素朴で稚拙とさえ見える造形ゆえ、これまで美術史や民俗学が扱う対象とはされてこなかった。

企画展「みちのく いとしい仏たち」は、北東北に数多く残る民間仏に光をあてる、初の展覧会。青森、岩手、秋田の各地から約130点の民間仏を一堂に集めて展示し、日本における信仰と造形の在り方を再考する。

ユニークな造形の北東北の民間仏は、それがいかに素朴で稚拙であろうとも、それを必要とする人がいたために刻まれたのであった。単純でありながらも優しいその造形は、飾り気のない人びとの信仰を映しだすものだといえる。本展で展示される民間仏の数々からは、厳しい風土に生きる北東北の人びとの思いが率直に託された、祈りのかたちを見てとることができるだろう。

展覧会概要

企画展「みちのく いとしい仏たち」
会期：2023年4月8日(土)〜5月21日(日)
会場：岩手県立美術館 企画展示室
住所：岩手県盛岡市本宮字松幅12-3
開館時間：9:30〜18:00(入館は17:30まで)
休館日：月曜日(5月1日(月)は開館)
観覧料：一般 1,200円(1,000円)、高校生・学生 700円(600円)、小・中学生 500円(400円)
※( )内は前売料金
※前売券は、岩手県立美術館、ローソン(Lコード 21515)、セブン-イレブン(セブンコード 099-022)ほかにて販売
※当日券を購入する場合、(1)20名以上の団体は前売料金、(2)療育手帳、身体障害者手帳、精神障害者保健福祉手帳の提示者および付添者1名は半額
※企画展観覧券でコレクション展も観覧可(4月25日(火)から27日(木)までは、展示替えのためコレクション展は観覧不可)

■巡回情報
・龍谷ミュージアム
会期：2023年9月16日(土)〜11月19日(日)
住所：京都府京都市下京区堀川通正面下る(西本願寺前)
・東京ステーションギャラリー
会期：2023年12月2日(土)〜2024年2月12日(月)
住所：東京都千代田区丸の内1-9-1

【問い合わせ先】
岩手県立美術館
TEL：019-658-1711