理不尽な解雇により職を失った青年・直井玲斗。追い詰められた末の過ちで逮捕された玲斗は、生きる気力を失っていた。そんなとき、弁護士から「依頼人の指示に従うなら、釈放する」と告げられ、条件を呑んだ玲斗の前には、亡き母の腹違いの姉で大企業・柳澤グループの発展に大きく貢献した人物であるという柳澤千舟が現れる。
千舟の依頼は、月郷神社に佇む“クスノキの番人”になることだった。戸惑いながらも番人となった玲斗は、さまざまな事情で境内を訪れる人々と出会う。クスノキに定期的に足を運び続ける男・佐治寿明。その娘で父の行動を不審に思う女子大生・佐治優美。家業の継承に葛藤する青年・大場壮貴、彼らや千舟と関わるうちに、玲斗の世界は、少しずつ色を帯びていく。だが、玲斗はまだクスノキが持つ“本当の力”を知らなかった。やがてその謎は、玲斗の人生をも巻き込みながら、彼を思いもよらぬ真実へと導いていく。
映画『クスノキの番人』は、東野圭吾の小説を初めてアニメーション映画化した作品。「その木に祈れば願いが叶う」と伝えられる謎めいた“クスノキ”と、その“番人”となった青年を描いている。監督は「ソードアート・オンライン」シリーズなどを手掛けた伊藤智彦。