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のんインタビュー - 転機は「のん」になったこと、“やりたいことをやっていく”道を切り拓いた

女優・創作あーちすとの「のん」にインタビュー。2022年10月28日(金)から公開の主演映画『天間荘の三姉妹』をはじめ、『さかなのこ』や『私をくいとめて』でも主演を務め、アニメ映画『この世界の片隅に』では主人公の声を演じるなど、数々の話題作へ出演してきたのん。

のん インタビュー|写真1

女優業に加え、“創作あーちすと”としての活動もエネルギッシュに行っており、2021年には自身が監督を務めた映画『Ribbon』が劇場公開された。また、個展開催、ファッションブランドとのコラボレーション、音楽活動など多彩な活躍を見せている。

そんなのんが、“いのち”を描く『天間荘の三姉妹』の物語といかにして向き合ったのか。また、自身の転機となった出来事や創作のアイディア源、ファッション観についても話を聞いた。

亡くなった人の視点から描く“命”と救いの物語

のん インタビュー|写真8

“いのち“をテーマにした映画『天間荘の三姉妹』は、改めてどんな作品ですか。

のん:“天界と地上”の間にある「三ツ瀬」という街を舞台にした物語です。臨死状態に陥った主人公のたまえが、「三ツ瀬」にある魂の疲れを癒す老舗旅館「天間荘」にやって来るところからストーリーが始まります。一瞬で命を奪われてしまった方々の目線から、残された人々への思いを描いた心温まるファンタジー作品です。

最初にストーリーを知った時はどのように感じましたか?

のん:原作を読ませていただいて、とても感銘を受けました。大事な人を亡くしてしまった人の視点も描かれる一方で、中心となっているのは亡くなった人からの視点だというところがすごくいいな、と思っています。

私自身、今生きている人の気持ちに寄り添って想像を働かせたことはありますが、亡くなった人たちがどう思っているのか、残された自分たちのことをどう見ているのか、という想像をしたことが今までなかった。でも、『天間荘の三姉妹』には亡くなった人達が現世に残してきた人たちのことを大切に思う気持ちが描かれています。何か、生き残った人たちの気持ちが救われるようなストーリーなのではないか、と思ったのです。

のん インタビュー|写真4

亡くなった人の視点、思いが描かれることで、生き残った人たちへの救いになる。

のん:残されてしまった人たちが亡くなった人のことを思って悲しい、という気持ちはもちろんですが、もし亡くなった人が自分のことを大切に思ってくれていた、とわかったら、“止まっていた時間が動き出す”ような気がするんですよね。亡くなってしまったらもう会って話すことはできないけれど、“思いは通じている”。物語の中で描かれている、そういった前向きなメッセージを、映画でも伝えることができたらいいな、と思いました。

原作では、現実に起こった震災を思わせる描写がありますが、東北の震災が起きてから今まで、地震だけでなく大雨もそうですし、色々な災害が色々な場所で起こってきましたよね。だからこそ、たくさんの方たちに、「生きていこう」と応援できるような映画になっていたらいいなと思っています。

『天間荘の三姉妹』という作品を演じたことで、何かのんさんご自身にも変化や影響はありましたか。

のん:演じたことでの自分への影響はあまりないかもしれません。役を演じて何か自分が影響を受ける、ということよりも、観てくださった人の感情を動かすことを考えて熱中しているので。

でも、ストーリーは衝撃的だったので、“もしかしたらこういう世界があるかもしれない”とか、考え方の幅が広がった部分はあったと思います。 “魂を癒す場所が必要”だという人の生死の描き方も「あ、そんな切り口があったんだ」と興味深く思いましたし、物語から受けた衝撃は自分の中で大事なものだと思っています。

『天間荘の三姉妹』“たまえ“というキャラクターを演じて

のん インタビュー|写真9

のんさんが映画『天間荘の三姉妹』で演じた主人公、たまえはどのようなキャラクターですか。

のん:たまえは天涯孤独の人生を送っていた女の子です。交通事故に遭ったことから臨死状態になり、魂の疲れを癒す老舗旅館「天間荘」にやってきます。

役作りでたまえのどのような部分を特に意識しましたか。

のん:たまえは底抜けに明るく振る舞っていますが、根本的には傷ついてる人。現世では誰からも必要とされない存在として生きてきたという傷を負っているので、セリフと気持ちが裏腹な部分が多くて、演じる時はその部分を意識していました。

たまえは三ツ瀬や天間荘に来たことで、家族や居場所もでき、どんどん開放的にはなっていくのですが、常に暗い部分は内在している。そういう部分が垣間見えるシーンはどこだろう、というのを探しながら、たまえを解釈していきました。

たまえに共感する部分、共通する部分はありましたか。

のん:たまえのヒーロー気質な部分には共感しました。あとは……うーん、内心キレていても、なんでもなく振る舞うところでしょうか(笑)。たとえば、たまえが大女将に怒られる場面は、「すみません、すみません」って言って気を遣ってる風に見えて、内心カチンときていると解釈して演じました。うまくいっていると思って一生懸命やっていたら水を差される場面なので、ものすごくムカついているけれど本意ではないことをポロッと言ってしまう。そういうところは自分にもあるな、と思いました。

でも、私はたまえちゃんよりも怒ることが自然なことというか、カジュアルな感情だと思ってるので(笑)、私にとってはたまえほど大ごとではないですね。

怒ることがカジュアルな感情、と言いますと…?

のん:私、自分が怒っている状態が気に入ってるんですよ。怒りはもともと好きな感情なんです。怒っている方が、頭が回転して、言葉があふれてくる。その感じが気持ち良いです。何かアイデアが沸くときはいつも怒りの感情がある時ですね。悔しい時とか、怒っている時に頭が働くので。もちろん、たまえと同じぐらい思い悩む時もありますが、基本的にはいつも怒っていますね。

「のん」のターニングポイント、より多彩な活動へ

のん インタビュー|写真5

『天間荘の三姉妹』は、たまえにとって人生の転機ともいえる物語が描かれます。のんさんにとってのターニングポイントを教えてください。

のん:「のん」になったことです。名前が変わって環境も変わって、“自分のやりたいことをやっていく”という風に、自分の道を切り拓いていったことはやはり大きかったと思います。

「のん」になってからは、最先端の新しいことや、チャレンジングなプロジェクトもたくさんできるようになりました。そのおかげで声をかけていただいた役やお仕事もあって、自分で責任をもってやりたいことをやれていることや、応援してくれている人達からのアプローチに応えられることは、とてもいいな、と思っています。

俳優業に加え、映画監督、YouTuberとしての活動、個展開催、音楽活動、ご自身のブランド、服作りと多彩に活躍されています。普段から何かインプットのために意識していることはありますか。

のん:意識しないとインプットできないくらい予定が詰まってしまっているので、休みの日は配信ドラマを見たり、映画を観に行くようにしたりしています。あとは、美術館!美術館に行くのが好きですね。好きなアートを見るのももちろんですが、美術館って自分の日常生活と切り離された異空間のような感じがして。美術館の静けさとか、場所そのものも好きです。

お気に入りの美術館はありますか。

のん:国立新美術館が好きです。ウェーブした建物の形がすごく好きなんです。ガラスに囲まれた感じや広い空間も好きで、中にいると、とてもリラックスできますね。

「のん」とファッション

のん インタビュー|写真2

Ground Y (グラウンド ワイ)やグラウンズ(grounds)などファッションブランドとのコラボレーションや、ご自身で服作りもされているのんさん。ファッションに目覚めたきっかけは?

のん:私の母が子供に服を着せるのが大好きで、ずっとかわいいお洋服を着せてもらっていたので楽しくて、服が好きになりました。お母さんがこだわって可愛い服を探して着せてくれて……私が子供の時はそんなに可愛い子供服がいっぱい売ってなかったから、可愛い服が見つかるまで探し歩いた、と聞いています(笑)。

お母様もお洋服好きだったのですね。どんな服だったか覚えていらっしゃいますか。

のん:ヒステリックミニ(HYSTERIC MINI)のお洋服とか、山本寛斎さんの子供服とか、かっこいい服、お茶目な服、かわいい服、本当に色々なお洋服を着せてくれていました。

服を好きになって、実際に自分で服を作ってみようと思ったのはなぜですか。

のん:21歳くらいの時に引っ越しをしたのですが、小泉今日子さんが「引っ越し祝い、何か買うよ」と言ってくださって。その時に、ミシンを買っていただいたことがきっかけです。

小泉今日子さんからミシンを!

のん:ちょっと怒られるかなと思いつつ(笑)「ミシンが欲しいです」って言ったら、「じゃあ買いに行こう!」って小泉さんがミシン専門店に連れて行ってくださって。一緒に選んでくださったんですよ。ずっとミシンに興味はあったのですが、その時まで手を出せていなかったので嬉しかったです。

のん インタビュー|写真3

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