2021年に関東で開催されるおすすめ展覧会を特集。東京や神奈川、千葉などの美術館・博物館で予定されている開催スケジュールを一挙紹介する。会期や会場などの開催情報に加え、展示されるアート作品も確認できるので、気になる展覧会をチェックしておこう。
東京国立近代美術館の企画展「あやしい絵展」では、日本近代美術に見られる、「美しさ」には括れない「あやしい」魅力を湛えた表現に着目。上村松園《焰》や鏑木清方《妖魚》をはじめ、幕末から昭和初期にかけて制作された絵画、版画、雑誌や書籍の挿絵などから、当時の人びとの欲望が絡み合う神秘的で奇怪な表現を紹介する。
会期:2021年3月23日(火)〜5月16日(日) 会期中に一部作品の展示替えあり
会場:東京国立近代美術館 (東京都千代田区北の丸公園3-1)
日本を代表するクリエイティブディレクター、佐藤可士和。ユニクロ(UNIQLO)やセブン-イレブンジャパンといった企業から教育施設に至るまで、佐藤が手掛けてきた多彩なブランディング戦略の背景には、目にふれるものすべてをメディアとしてデザインする姿勢があった。東京・国立新美術館の展覧会「佐藤可士和展」では、約30年にわたる佐藤の活動を、ひとつの大きな「作品」として描きだす。
会期:2021年2月3日(水)~5月10日(月)
会場:国立新美術館 (東京都港区六本木7-22-2)
2020年東京五輪のメイン会場《国立競技場》などの設計を手掛け、現代日本を代表する建築家として国際的に活躍する隈研吾。東京国立近代美術館にて開催される企画展「隈研吾展 新しい公共性をつくるためのネコの5原則」では、“公共性”に着目して隈建築を紹介。模型や写真に加えて、瀧本幹也らによる映像作品など、建築の特徴を実感できる展示を展開する。
会期:2021年6月18日(金)〜9月26日(日)
会場:東京国立近代美術館 (東京都千代田区北の丸公園3-1)
そのほか、東京都内のおすすめ展覧会はこちらから。
20世紀を代表するイギリスの具象画家、フランシス・ベーコン。神奈川県立近代美術館 葉山の企画展「フランシス・ベーコン バリー・ジュール・コレクションによる」では、生前に明らかにされることのなかった素描、参照していた印刷物、そしてキュビスムやシュルレアリスムの影響のもとに制作された初期油彩画など約130点を日本初公開。この画家の知られざる姿と制作の秘密に迫る。
なお、本展は東京の渋谷区立松濤美術館に巡廻予定。
会期:2021年1月9日(土)〜4月11日(日)
会場:神奈川県立近代美術館 葉山 (神奈川県三浦郡葉山町一色2208-1)
神奈川・箱根の岡田美術館にて開催される特別展「東西の日本画 ─大観・春草・松園など─」は、明治から昭和にかけて東京と京都を中心に活躍した画家の日本画約45件を展示する展覧会。代表作「汐くみ」を含む村上松園の作品全4件、横山大観や“虎の翠石”とも呼ばれた大橋翠石の作品に加えて、菱田春草の作品全7件も一挙公開する。
会期:2021年4月3日(土)〜9月26日(日)
会場:岡田美術館 (神奈川県足柄下郡箱根町小涌谷493-1)
20世紀初頭に発明された飛行機は、スピードや空中の感覚に大きな変容をもたらすとともに、機械としての洗練された機能美でもって人びとを魅了した。他方で、早くから戦争に利用されるなど、負の側面も持ち合わせていた。神奈川・横須賀美術館の展覧会「ヒコーキと美術」では、飛行機が人びとに与えた影響を、美術を通して考察。飛行への憧れと驚きが存在していた時代の絵画などを通して、飛行機の発明がもたらした光と影とを探る。
会期:2021年2月6日(土)〜4月11日(日)
会場:横須賀美術館 (神奈川県横須賀市鴨居4-1)
川瀬巴水は、大正から昭和にかけて、数多くの風景版画を制作した版画家だ。神奈川・平塚市美術館の企画展「開館30周年記念 荒井寿ーコレクション 川瀬巴水展」では、巴水が初期から晩年までに手描けた版画作品に加えて、これまで紹介される機会の少なかったグラフィックデザインの作品も展示する。
会期:2021年4月24日(土)〜6月13日(日)
会場:平塚市美術館 (神奈川県平塚市西八幡1-3-3)
画家・田中一村は、1908年に栃木で生まれ、千葉市に20年間住み、50代になって奄美大島に移住して、亜熱帯の花鳥や風土を題材に独特の日本画を手掛けた。千葉市美術館の企画展「田中一村展 ─千葉市美術館収蔵全作品」では、同館が所蔵する一村作品を一挙公開し、この画家の知られざる側面を探る。
会期:2021年1月5日(火)〜2月28日(日)
会場:千葉市美術館 (千葉県千葉市中央区中央3-10-8)
西洋から日本に“スポーツ”の概念が輸入されたのは明治期のこと。千葉・国立歴史民俗博物館の特集展示「東アジアを駆け抜けた身体(からだ) ─スポーツの近代 ─」では、身体の改変や近代オリンピックへの参加といった歴史を共有してきた日本と台湾における“近代化とスポーツ”に着目。日本が台湾や東アジアと取り結んできた歴史的関係を射程に入れつつ、約150年間のスポーツの近代史をひもとく。
会期:2021年1月26日(火)~3月14日(日)
会場:国立歴史民俗博物館 (千葉県佐倉市城内町117)
埼玉県立近代美術館の企画展「コレクション 4つの水紋」は、同館のコレクションを幅広く紹介する展覧会。“新規収蔵作家”であるポール・シニャック、“埼玉ゆかり” の画家・奥原晴湖、“椅子のモダンデザイン”に携わったシャルロット・ぺリアン、そして“屋外彫刻”を手掛けた重村三雄の4作家に呼応させつつ、多彩な所蔵作品を展示する。
会期:未定
会場:埼玉県立近代美術館 (埼玉県さいたま市浦和区常盤9-30-1)
茨城の水戸芸術館 現代美術ギャラリーで開催される企画展「3.11とアーティスト:10年目の想像」では、芸術の本質である「想像力の喚起」に着目して、東日本大震災を語り継ごうとする現代アーティストの試みに目を向ける展覧会だ。加茂昂、小森はるか+瀬尾夏美、佐竹真紀子、高嶺格、ニシコ、藤井光、Don’t Follow the Windらを取り上げ、支援や記録にとどまらない、「作品」を通じた震災への応答を紹介する。
会期:2021年2月20日(土)~5月9日(日)
会場:水戸芸術館 現代美術ギャラリー (茨城県水戸市五軒町1-6-8)
展覧会「デミタスカップの愉しみ」では、濃いめのコーヒー用の小さなカップ“デミタス”を紹介。19世紀ヨーロッパでは、コーヒー文化の浸透に伴い、多彩なデザインのデミタスが作られた。本展では、19世紀後半のジャポニスムに影響を受けたカップ&ソーサーや、アール・ヌーヴォーやアール・デコのデミタスなど約400点の陶磁器を楽しめる。
会期:2021年4月中旬〜6月中旬
※会場は後日次第告知