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【歴史】20年代 - 30年代 働きやすい服とシュールレアリスム

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20世紀初頭、世界は大量生産時代の幕開けを迎える。ファッション業界もやや遅れて、20年代頃に既製服への動きが始まる。大衆消費時代を背景とし、既製服と、それに合うよりシンプルなスタイルが広がっていく。

消費の象徴、T型フォード

アメリカでは大衆消費の象徴「T型フォード」が1908年に登場。その後、第一次世界大戦が終わり、1920年代になると、大衆消費社会が本格的に姿を見せてくる。女性の社会進出も始まる。女性の社会進出が始まった背景としては、第一次大戦で国家総力戦(女性も含め皆が何かしらの形で戦争に参加)を経験したことが大きい。これを機に女性も行動的になり、”家の外”で働く女性が急増していく。

シンプルで動きやすい服が欲しい

必然的に「動きやすい」「働きやすい」機能的なウェアのデザインが求められるようになる。

ポール・ポワレの打ち出していた東洋的な装飾を使用した美学も、コルセットを外したとは言え、機能性の面で、やや時代遅れ。女性が豊満なバストを強調した、動きにくいコスチュームを身に着けるといったファッションは過去のものとなり、それよりも、「動き」が重視されるようになる。服装からも余計な装飾が削られていく。シャネルは、装飾を排除した、よりシンプルなデザインを打ち出す。他にも、ジャン・パトゥなどのデザイナーが同様のスタイルを打ち出す。

ギャルソンヌ・ルック

ギャルソンヌ・ルックは1920年代の象徴的なスタイルで、知的、行動的、洗練されたモダンガールを指すスタイル。直訳すると「男子ような娘」の意味で、髪はショートカット、胸を強調しない直線的で細身のシルエット、膝下までのスカートが特徴だ。

働く女性の急増を背景にして、シンプルで活動的な女性のためのスタイルへのニーズから生まれたもので、一種の時代が求めたトレンド。この時代を象徴するかのように、フランスでは、恋愛と仕事に生きる主人公を題材にした1922年発刊の小説「ギャルソンヌ(ガルソンヌ)」が大ヒットする。

シャネルはこのような時代の流れを象徴するかのように、次のように語ったそうだ。
「ファッションは着飾るものではありません。着るものを選ぶことであり、それは自身の生き方を表現するものなのです。」

シャネル以外にも多くのデザイナーがギャルソンヌ・ルックで活躍。ジャン・パトゥ、ランバン、ヴィオネらがその代表として挙げられる。

消費社会と芸術 - モダニズム

ファッションとアートの融合を考えた場合、アートをファッションに取り込もうとする動きは、すでに19世紀から存在していた。中世芸術、未来派、前衛芸術家グループの影響を受け、服飾にアートを取り込んでいたのだ。

アートの要素を取り入れたスタイルはパリのオートクチュールのエレガンスを追求したものとは、やや異なるもの。貴族や裕福層を中心に回るファッション業界をやや冷笑的に捉えていた。前衛芸術グループは、対象を、高所得層に置いているわけでもなく、一般層に置くわけでもなかったため、広く受け入れられるものではなかった。

モダニズムとは?

モダニズムとは、大衆消費社会を背景にして生まれた芸術活動であり、20世紀初頭の芸術運動のこと。建築では、合理的、機能的な建築を理想と考えるもの、絵画ではキュビズム、シュールリアリズム、ポップアート等を指す。

アメリカの美術評論家のクレメント・グリーンバーグは自身の論文で、芸術がアヴァンギャルド(前衛)とキッチュ(俗悪なもの)に分化している状況を指摘。キッチュは文化の大衆化を表す言葉で、アヴァンギャルド、モダニズムは、消費社会による文化の大衆化に抵抗する手段と述べている。そのような観点から見ると、モダニズムは人間の経験に関する批評的な視点と言うことができる。

モダニズムは、哲学のようなもので、ただ正確な絵画的描写によって世界を表現するものでない。それはメタファーといえる。

ファッションとモダニズム

ファッションでもこのような芸術的な運動、新しい文化受け、その時代の精神を象徴するスタイルがでてきた。その特徴として、ファッションのモダニズムが目指したのは、装飾を排除すること。造形面でのシンプル化が進んだ。

モダニズムを考える場合、重要なメタファーとして取り扱われるのが、機械、自動車など。キュビスムなど前衛(アヴァンギャルド)的な芸術運動は、機械化の中で急速に改変する社会における、機械と人間との関係にフォーカスすることで生まれてくる。ファッションで言えば、曲線ではなく、直線的な造形へと移行。

シャネルとモダニズム

曲線がより生身のイメージをつくるのに対し、直線的な動きは、より機械的なイメージをつくる。シャネルのシンプルで直線的なシルエットの服を着たモデルが、車の前に立つといった広告はモダニズムのイメージをそのまま表現するものだった。

シャネルがモダニズムやアヴァンギャルド的な思想を持っていたかは別にして、彼女の表現が当時としてはよりアヴァンギャルドで、時代の変化を象徴するものであったことは間違いないだろう。

デザイン面では、キュビスムの流れを組む、アールデコ調のデザインなどを調和させたデザイン、シュールレアリスムの影響を受けたデザインが登場してくる。

アートとファッションの融合 - シュールレアリスム

30年代の不況の影響

30年代は1929年アメリカから起こった世界恐慌の煽りを受けて、世界的は大不況。パリのモードも大きく売上げを落とした。ヒトラーが台頭したのもこの時代。ちなみにパリのモードは停滞するのだが、アメリカの裕福層はさほど打撃を受けることなく、ファッション界における、メゾンの生き残りはアメリカの裕福層をいかに押さえられるか?という点にかかっていた。

30年代のスタイルを振り返ると、大衆消費の流れの中で、シャネルがよりスポーティでシンプルなファッションを展開、クレアマッカーデルがより実用的なアメリカンスタイルを打ち出していました。

主流がある中で、一際目立った、目新しかったのが、前衛芸術をファッションデザインに取り込もうとした、エルザ・スキャパレリだ。

スキャパレリとシュールレアリスム

シュールレアリスム(超現実主義)は芸術の形態で、「ものすごく過剰なまでに現実」というような意味をさす。芸術運動としてのシュールレアリスムの始まりは、「シュールレアリスム宣言」が発せられた1924年、あるいはその少し前からと言われている。代表的な芸術家はサルバドール・ダリ、ルネ・マグリットなど。

スキャパレリはダリとコラボレーションを行い、大きな話題となりました。例をあげていくと、「かぶる帽子」ではなく、「履く帽子」を表現した靴帽子、引き裂かれたプリントのドレス、ロブスターが描かれたドレスなど、日常的なものを、非日常で表現する試みを行った。

スキャパレリのファッションは批判も浴びるが、目新しさや、新しい分野へ積極的に挑戦しているその姿勢からアメリカの女性に受け入れられた。

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