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展覧会「ウィーン・スタイル ビーダーマイヤーと世紀末」東京で、ジュエリー・ドレス・器など約270点

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展覧会「ウィーン・スタイル ビーダーマイヤーと世紀末 生活のデザイン、ウィーン・劇場都市便り」が、東京のパナソニック汐留美術館にて、2025年10月4日(土)から12月17日(水)まで開催される。

ウィーンの生活文化、ふたつの輝かしい時代

ウィーン磁器工房 《カップアンドソーサー》 1818年 S.J.パッツル・コレクション S.J.Patzl Collection ©Asenbaum Photo Archive, Fotografer: Brigit und Peter Kainz
ウィーン磁器工房 《カップアンドソーサー》 1818年 S.J.パッツル・コレクション
S.J.Patzl Collection ©Asenbaum Photo Archive, Fotografer: Brigit und Peter Kainz

19世紀から20世紀初頭にかけて独自のデザインを育んだ、オーストリアのウィーン。展覧会「ウィーン・スタイル ビーダーマイヤーと世紀末 生活のデザイン、ウィーン・劇場都市便り」では、ビーダーマイヤーと世紀転換期という、ウィーンの生活文化が華やいだふたつの時代に着目し、銀器や陶磁器、ガラス、ジュエリー、ドレス、家具など、約270点の作品を紹介する。

簡潔さと実用性を重んじたビーダーマイヤー様式

《椅子》 1820年頃 アセンバウム・コレクション Asenbaum Collection ©Asenbaum Photo Archive
《椅子》 1820年頃 アセンバウム・コレクション
Asenbaum Collection ©Asenbaum Photo Archive

19世紀前半のウィーンでは、実用性と簡潔さを備えた、ビーダーマイヤー様式のデザインが花開いた。保守体制下にあった当時、抑圧された政治的な状況のもと、人々の関心は公的な空間から私的な空間へと移行し、豊かな生活文化が育まれたのであった。こうして生まれた日用の工芸は、シンプルな形に控えめな装飾、親しみやすい自然のモチーフ、丁寧な手仕事を特徴としており、生活に寄り添う機能性と温もりを兼ね備えている。本展では、《カップアンドソーサー》や《椅子》など、人々の日常を彩った作品を展示する。

世紀転換期ウィーンのデザイン革新

コロマン・モーザー 《アームチェア》 1903年頃 豊田市美術館
コロマン・モーザー 《アームチェア》 1903年頃 豊田市美術館

ウィーンでは19世紀末から20世紀初頭にかけて、帝国の近代化と都市の拡張が進むなか、デザインの革新運動が起こっている。建築家のオットー・ヴァーグナーは、実用性と合理性を重視する「実用様式」を提唱。また、弟子のヨーゼフ・ホフマンや画家のコロマン・モーザーはウィーン工房を創設し、総合芸術としての生活芸術を追求した。こうして世紀転換期に育まれたデザインは、幾何学的な造形、そして実用性と快適さを求める機能美を備えたものであった。

ヨーゼフ・ホフマン(器デザイン) マリア、リカルツ(装飾) (左) 《ボックス》 (右) 《花器》 1920年頃 エルンスト・プロイル・コレクション Ernst Ploil Collection ©Foto:Leopold Museum, Wien
ヨーゼフ・ホフマン(器デザイン) マリア、リカルツ(装飾) (左) 《ボックス》
(右) 《花器》 1920年頃 エルンスト・プロイル・コレクション
Ernst Ploil Collection ©Foto:Leopold Museum, Wien

世紀転換期ウィーンにおけるデザイン革新の背景には、ビーダーマイヤー様式への回帰がある。これは、質の高い手仕事、生活に根ざした模倣的でないデザイン、親しみやすい自然のモチーフといった特徴が、近代的な生活文化の起点として捉えられたためだ。こうしたなか、世紀転換期のデザイナーは、ビーダーマイヤーの遺産を継承しつつより時代に即したデザインへと発展させることで、独自の「ウィーン・スタイル」を育んでいったのであった。

ダゴベルト・ペッヒェ 《レース》 1920年頃 エルンスト・プロイル・コレクション Ernst Ploil Collection ©Ernst Ploil, Fotografer: Brigit und Peter Kainz
ダゴベルト・ペッヒェ 《レース》 1920年頃 エルンスト・プロイル・コレクション
Ernst Ploil Collection ©Ernst Ploil, Fotografer: Brigit und Peter Kainz

本展では、ビーダーマイヤー様式の《サモワール》とヨーゼフ・ホフマン《センターピース》など、ふたつの時代の連続性を窺える銀器やガラス作品をあわせて紹介するとともに、コロマン・モーザーの《アームチェア》をはじめ、ウィーン工房の作品を展示。加えて、男性中心的な当時の文化のなかで活躍した女性のアーティストにも光を当てる。

会場ではまた、グスタフ・クリムトによる《17歳のエミーリエ・フレーゲの肖像》とオスカー・ココシュカによる《アルマ・マーラーの肖像》という、世紀転換期のウィーンで活躍した画家による絵画も目にすることができる。

継承される「ウィーン・スタイル」

ルーシー・リー 《ピンク線文鉢》 1970年代後半 個人蔵 Private Collection, Estate of the Artist 撮影:大屋孝雄
ルーシー・リー 《ピンク線文鉢》 1970年代後半 個人蔵
Private Collection, Estate of the Artist 撮影:大屋孝雄

さらに、世紀転換期を超えてなお受け継がれる、「ウィーン・スタイル」の姿にも着目。たとえば、陶芸家のルーシー・リーは、ウィーンで学んだのちにイギリスへと亡命し、機能性と優美さを兼ね備えた陶磁器を制作した。本展では、 リーの《ピンク線文鉢》といった作品に加えて、ウィーン工房で活躍し、のちに京都に拠点を移したフェリーチェ・リックス(上野リチ)などの作品を紹介する。

展覧会概要

展覧会「ウィーン・スタイル ビーダーマイヤーと世紀末 生活のデザイン、ウィーン・劇場都市便り」
会期:2025年10月4日(土)~12月17日(水) 会期中に一部展示替えあり
[前期 10月4日(土)〜11月11日(火) / 後期 11月13日(木)〜12月17日(水)]
会場:パナソニック汐留美術館
住所:東京都港区東新橋1-5-1 パナソニック東京汐留ビル 4F
開館時間:10:00~18:00
※11月7日(金)、12月5日(金)・12日(金)・13日(土)は20:00閉館
※入館はいずれも閉館30分前まで
休館日:水曜日(12月17日(水)は開館)
入館料:一般 1,500円、65歳以上 1,400円、高校・大学生 1,000円、中学生以下 無料
※土・日曜日および祝日は日時指定予約制(当日空きがあれば入館可。平日は予約不要)
※11月13日(木)以降に再入場の場合、半券の提示により100円割引
※障がい者手帳を提示者および付添者1名までは無料

※画像写真の無断転載を禁ずる。

【問い合わせ先】
ハローダイヤル
TEL:050-5541-8600

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