展覧会「世紀末ウィーンのグラフィック ~デザインそして生活の刷新にむけて~」が、2019年4月13日(土)から6月9日(日)まで、目黒区美術館にて開催される。
「世紀末ウィーンのグラフィック」では、300件にも及ぶ膨大なコレクションの全貌を見せるとともに、リヒャルト・ルクシュによる石膏彫像と貴重なアドルフ・ロースの家具一式も同時に展示。世紀末ウィーンの空気感と魅力を紹介する。
「世紀末ウィーンのグラフィック」では、京都国立近代美術館が2015年末に収蔵した、世紀末ウィーンのグラフィック作品コレクションを紹介。元々はアパレル会社キャビンの創業者・平明暘が蒐集したもので、2019年1月から2月にかけて京都国立近代美術館でその全貌が明かされ、この度目黒区美術館に巡回する。
1897年のウィーン分離派結成から1914年の第一次世界大戦勃発までのウィーンでは、グスタフ・クリムトやヨーゼフ・ホフマンなどを中心とした芸術家たちが、新たな時代にふさわしい芸術やデザインの在り方を模索していく中で数々の名作を残した。中でもグラフィックは、印刷技術の発達や雑誌メディアの隆盛を背景に、新しい芸術の動向を人々に伝え、社会に浸透させる重要な役割を担っていた。
「時代にはその芸術を、芸術にはその自由を」というモットーを掲げ、芸術・デザインの刷新を求めて活動した「ウィーン分離派」。中心人物にクリムトを据え、展覧会活動と機関誌の刊行を重視していた。
会場には、各展覧会のカタログと機関誌『ヴェル・サクルム』を展示するとともに、クリムトや、その後継者であるエゴン・シーレ、オスカー・ココシュカの素描を展示する。2019年8月5日(月)まで国立新美術館で開催される「ウィーン・モダン クリムト、シーレ 世紀末への道」や、東京都美術館で7月10日(水)まで開催の「クリムト展」の展示と見比べてみても面白そうだ。
カラー印刷技術や写真製版技術の発展に伴い、デザイン刷新に向けた、数多くの図案集が生み出された。例えば、ベルトルト・レフラーによる『ディ・フレッヒェ』に収録された図案の数々は、今なお新鮮に感じられるものが揃っている。図案集の他、デザイナーを輩出した学校や、活動の場であるウィーン工房にも着目する。また、建築家の新たな試みにも焦点を当て、オットー・ヴァーグナーやヨーゼフ・ホフマンなどの作品も考察する。
19世紀、写真が発明されるとメディアとしての役割を担ってきた版画の存在意義が揺るがされ、実用ではなく芸術としての版画を模索する動向が見られた。その時代の流れの中で着目されたのが、西欧でもブームを呼んでいた日本の多色木版画だ。ルートヴィヒ・ハインリヒ・ユンクニッケルの《三羽の青い鸚鵡》に見られる多色木版やリトグラフなど、多彩な版画手法を通して、当時の芸術家達が表現方法を模索し試行錯誤した痕跡がうかがえる。
また、雑誌を始めとする様々な媒体を通して、グラフィックが人々の生活へと浸透。日々新たなグラフィック・デザインに触れることが、生活の中で新たな意識を生み出すことにも繋がっていた。ポスター、カレンダー、蔵書票など、日常生活の身近なところに存在していたグラフィック・挿画のデザインの魅力を紹介する。
【詳細】
世紀末ウィーンのグラフィック ~デザインそして生活の刷新にむけて~
会期:2019年4月13日(土)~6月9日(日)
開館時間:10:00~18:00 ※入館は17:30まで
場所:目黒区美術館
住所:東京都目黒区目黒2-4-36
休館日:毎週月曜日
観覧料:一般 800(600)円、高大生・65歳以上 600(500)円、小中生以下無料
※( )内は前売、20名以上の団体料金
※心身障がい者と付添者1名は無料。
※目黒区在住・在勤・在学者は、受付で証明書を提示すると団体料金で観覧可。
※2019年2月まで開催の京都展とは、出品作品、作品点数が変更になる場合あり。