河瀨直美による映画『Vision』が2018年6月8日(金)に全国で公開される。
河瀨直美が初めて手がけた映画『萌の朱雀』が、最年少でカンヌ映画祭の新人監督賞にあたるカメラ・ドールに選ばれたのが1997年。そこから約20年をへて、生まれ故郷である奈良県を舞台に映画を制作する。そのタイトルは『Vision』。
2016年5月に開催されたカンヌ映画祭のディナーで、プロデューサーであるマリアン・スロットとたまたま河瀨と席を同じくし、“映画への愛"を共通語に話が盛り上がったそう。そのスロットが河瀨にジュリエット・ビノシュを引き合わせた。二人は意気投合し、ビノシュは出演に意欲を見せ、映画の出演が決定した。そこから河瀨は奈良・吉野を舞台にオリジナル脚本を執筆していく。杉、檜の植林地として500年の歴史を誇る土地だ。
世界を旅しながら紀行文を執筆するフランス人の女性エッセイスト、ジャンヌ。彼女はアシスタントの花と共に奈良の吉野を訪れる。とあるリサーチが目的だ。杉の木立が連立する山間で生活をする山守の男・智(とも)は、ジャンヌと出会い、文化の壁を超え、次第に心を通わせていく。智と同様、山守の鈴(りん)、猟師である岳(がく)、源(げん)もまた、山に生き、山を守る。それぞれの運命は思いもよらぬ形で交錯していく。ジャンヌはなぜ自然豊かな神秘の地を訪れたのか。山とともに生きる智が見た未来とは…。
主人公はフランスの女性エッセイスト・ジャンヌ。彼女は、とあるリサーチのために吉野を訪れる。物語はここから始まる。ジャンヌを演じるのはジュリエット・ビノシュ。カンヌ、ヴェネツィア、ベルリンと世界三大映画祭のすべての女優賞を受賞したフランスの名女優だ。
もう1人の主人公は、吉野の山間で生活している山守・智。杉の木立が連立する山間で生活をする。永瀬正敏が演じる。有名なのはジャームッシュ監督の『ミステリー・トレイン』だが、以降、役30年にわたって映画の重要なパートを担ってきた。
主演2人に加え、劇中の登場人物には、豪華俳優勢の顔ぶれが揃う。
岩田剛典が演じる鈴(リン)は、永瀬演じる智と同じ“山守"として山で生きている人。実際にケヤキの木に登るなど、危険な撮影にも自ら挑んだという。岩田はエグザイル/三代目J Soul Brothers from EXILE TRIBEで活躍しながらも。2016年公開の出演した『植物図鑑 運命の恋、ひろいました』がヒットし、日本アカデミー新人賞までもを受賞。その後も映画、テレビドラマ、舞台と幅広い活動を続けている。河瀨監督作品に出演するのは初めて。
撮影について次のように話す。
「撮影期間中は、ずっと奈良・吉野の大自然に囲まれて住み込みで生活していたのですが、一度もホテルや民宿には泊まらず、撮影現場で寝泊まりしたり、民家の一部屋をお貸し頂いたりして過ごす経験は初めてでした。」
美波が演じる花は、ジュリエット・ビノシュ演じるフランス人エッセイストのアシスタント。深作欣二監督作『バトルロワイヤル』デビューし、現在はフランスに拠点を置きながら、映画、テレビドラマ、舞台などで活躍。『Vision』では得意のフランス語も披露している。
森山未來が演じる岳(ガク)は猟師。山守とは違う形ながら彼もまた、山に生き、山を守る。森山未來は、2016年公開の『怒り』で日本アカデミー優秀助演男優賞を受賞。ダンサーとしての活動も幅広く、舞台「プルートゥ PLUTO」で主演を務めている。
田中泯が演じるのは猟師の源(ゲン)。田中泯はもともと舞踊家として活躍していたが、山田洋二の『たそがれ清兵衛』(2002年)に俳優として映画に出演したことがきっけで現在では映画&ドラマで大活躍。日本を代表する舞踊家の新たな挑戦は、期待せずにはいられない。
監督・脚本:河瀨直美
エグゼクティブプロデューサー:EXILE HIRO
プロデューサー:マリアン・スロット 宮崎聡 河瀨直美
出演:ジュリエット・ビノシュ、永瀬正敏、岩田剛典、美波、森山未來、田中泯、夏木マリ
公開:2018年6月8日(金) 全国ロードショー
配給:LDH PICTURES