河瀨直美が監督を務める新作映画『たしかにあった幻』が、2026年2月に全国公開される。
河瀨直美はこれまで、ハンセン病を抱える女性を描いた映画『あん』や、力を失っていく男性の物語である『光』、特別養子縁組を題材にした『朝が来る』など、様々な社会的偏見や喪失の中で、他者との関係性を通して育まれる“愛のかたち”を描いてきた。
河瀨が監督・脚本を務める新作映画『たしかにあった幻』は、小児臓器移植実施施設を舞台に、命の尊さや、愛と喪失、希望を描く物語だ。
フランスからやってきた主人公のレシピエント移植コーディネーター・コリーが、脳死ドナーの家族や、臓器提供を待つ少年少女とその家族と交流する様子、そして、突然失踪した自身の恋人の行方を追う姿が描かれる。本作『たしかにあった幻』でも、他者と関わり続けることへの根源的な問いかけ、そして"愛”について問いかけていくようなヒューマンドラマが描かれる模様だ。
撮影ロケーションは兵庫、大阪、奈良、岐阜、屋久島、パリと様々な場所を転々としながら実施。小児臓器移植に携わる実際の医療関係者たちがディスカッションするシーンや、移植シーンなどはドキュメントとして撮影されており、そういったリアルなシーンをドラマの中に取り込むことで、物語に深みと臨場感を持たせている。
なお、映画『たしかにあった幻』は、第78回ロカルノ国際映画祭インターナショナル・コンペティション部門クロージング作品に正式招待されており、ワールドプレミアが行われる。
臓器移植の現場で命と向き合いながら、失踪した恋⼈の⾜跡を辿る主人公のコリーは、『ファントム・スレッド』で一躍注目を集めたヴィッキー・クリープスが演じる。また、コリーの恋人であり、突然失踪してしまう迅役を『シサㇺ』『ナミビアの砂漠』の寛一郎が演じる。
国際⼈材交流事業の⼀環で⽇本へやってきたフランス⼈⼥性コリーは、臓器の移植を必要とする人と関わるレシピエント移植コーディネーターとして、⽇本で数少ない⼩児⼼臓移植実施施設の病院でサポートスタッフとして働き始める。
移植を待つ重症の⼩児を多く受け持つその病院では、限られた⼈員で必死に⽇々の業務をこなし、切実な状況にある患者やその家族と向き合っていた。コリーはそうした厳しい環境の中でも、患者家族をはじめ、従事する医師や看護師、コーディネーター、保育士や院内学級の先生らと触れ合ううちに、移植医療をめぐる⼈々の輪の暖かさを再認識していく。しかし、そんな彼⼥の⼼を⽀えてくれていた屋久島で出逢った恋⼈・迅が、ある⽇なんの前触れもなく同居していた家から消えてしまう。
【作品詳細】
映画『たしかにあった幻』
公開時期:2026年2月
出演:ヴィッキー・クリープス、寛一郎
監督・脚本:河瀨直美
音楽:中野公揮
制作:CINÉFRANCE STUDIOS 組画
共同制作:カズモ
配給:ハピネットファントム・スタジオ