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ギャスパーが今回演じた、死に直面している男・ルイは、主役でありながらほとんど話さない。自らの死を告げるために家族を訪れたものの、真実を知ることを恐れ、喋り倒す家族を前に、彼は発言権を全く失うからだ。ギャスパーは否応なく迫る死に直面しているルイを、歩く死人 / 幽霊のような存在として表現しようとしたという。

主人公ルイを演じる上で苦労した点はどんなところでしたか。

沈默や他人に耳を傾けて、言葉でなくリアクションで最大限に表現し、存在感を持たなければいけないという点がチャレンジでした。また映画の中でのエモーションの大部分が、彼を媒介として起動しているため、ルイに委託された責任は重かったですね。

ルイとご自身、重なる部分はありましたか。

内省的で内気なところは、時には私の中にもあります。ルイと同じ理由ではないですが、子供の頃はすごくシャイな子でした。ぼーっとしているとか、夢想家だとよく批判されましたよ(笑)。今でも私生活では、人の話しをよく聞くほうが多い。時間をかけて考えたり、話したりするというのが自分の性格ですね。なので、ルイという人物は割とぴったりでした。

「沈默」のほうが「言葉」よりも雄弁

誰がいつ本当のことを言い出すのか、“沈默”が支配する緊張感溢れる家族の「密室劇」が繰り広げられる本作。愛しているのに、どうしようもなく不器用で傷つけ合うことしかできない彼らの姿は、言葉のすれ違いを重ねてしまった現代の家族像だろうか。

『たかが世界の終わり』で描かれた、家族の“ディスコミュニケーション”についてどう思いましたか。

「沈默」のほうが「言葉」よりも雄弁。原作者であるジャン=リュック・ラガルスの戯曲でもそうなのですが、人間というのは喋り倒したところで、本当に大切なことは生まれてこないという逆説ですよ。まさにこの映画では、言葉が1つの仮面/逃げのような形で機能しています。

ルイ以外の人達は、喋ることによって音空間を飽和状態にしてしまうんですね。そうすることによって、ルイに発言の場を持たせなかったり、あるいは場の沈默が怖いから喋る。「沈默」するとういうのは自分自身と向き合わなきゃいけない、それが怖い。だからみんな喋りまくるという、仮面/逃げのような部分が描かれています。

ご自身にとって「家族」とは何でしょうか。

私自身は家族に対して、やはり特別な価値を見い出しています。私より先輩というか、年上という意味で敬意を持っていますし、両親が私に与えてくれたものに対する感謝の気持ちもある。ただ両親は不器用で、時には私を傷つけたりした事もあったなと思いながらも、彼らはできることを精一杯してくれたと感じていて、その努力をしてくれたことが一番重要なんだと思います。

グザヴィエ・ドラン監督との撮影はいかがでしたか。

彼は本当に嘘がない人で、あそこまで神経がむき出しになっている人は珍しい。撮影現場で実際彼を見ていると、目の前で作られているシーンを見ながら涙を溜めている姿を何度も目にしました。それがグザヴィエのパワー。彼自身妥協はしないし、自分が研ぎ澄まされた感受性を持っていることを受け止めている。彼の場合、羞恥心も全くゼロですね。

これまで『ハンニバル・ライジング』では人喰い殺人鬼、『サンローラン』では天才デザイナーと、様々な役柄を演じてきたギャスパー。

作品選びで大事にしていることは何ですか。

最近はプロジェクトの内容であったり、自分がどのような演技を要求されているかをチェックし、これまでの限界を少し遠くまで押し進めてくれたり、自分の新しい側面を引き出してくれるかを基準に選んでいます。

役柄としては、自分を再定義するというか、新しくしてくれそうな役柄を選んでいますね。キャリアはそれほど長くはありませんが、時にはこの企画どうかなと恐怖心を抱いたり、間違えたチョイスだったかなと思うことがありました。それで断ることもありましたが、今ではそれも大したことないなと思うようになりました。ネルソン・マンデラの「私は何も失うものはない。何かを勝ち取るか、学ぶか。そのどちらかしかない」という言葉を念頭に置いています。

最後に、『たかが世界の終わり』を通して観客に何を感じてもらいたいですか。

映画全体に対して自己投影するのではなくて、誰もがどこかのシーンで思い当たる節がある、そういうタイプの映画じゃないかと思います。世界中の国でも見られるようなテーマを描いているので、きっとこのような「家族の葛藤」をどこかで経験したことあるな、と思うのではないでしょうか。

■ストーリー
「もうすぐ死ぬ」と家族に伝えるために、12年ぶりに帰郷する人気劇作家のルイ(ギャスパー・ウリエル)。母のマルティーヌ(ナタリー・バイ)は息子の好きな料理を用意し、幼い頃に別れた兄を覚えていない妹のシュザンヌ(レア・セドゥ)は慣れないオシャレをして待っていた。浮足立つ二人と違って、素っ気なく迎える兄のアントワーヌ(ヴァンサン・カッセル)、彼の妻のカトリーヌ(マリオン・コティヤール)はルイとは初対面だ。オードブルにメインとぎこちない会話が続き、デザートには打ち明けようと決意するルイ。だが、兄の激しい言葉を合図に、それぞれが隠していた思わぬ感情がほとばしる──。

【作品情報】
『たかが世界の終わり』
公開日:2017年2月11日(土)
監督・脚本:グザヴィエ・ドラン『Mommy/マミー』
キャスト:ギャスパー・ウリエル、ヴァンサン・カッセル、レア・セドゥ、マリオン・コティヤール、ナタリー・バイ
原題:IT'S ONLY THE END OF THE WORLD
©Shayne Laverdièr

Photos(18枚)

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