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ドキュメンタリー映画『アドバンスト・スタイル』7人のNYマダムの個性溢れる生き様に迫る

62歳から95歳までの様々なニューヨーカー・マダムの人生に迫るドキュメンタリー映画『アドバンスト・スタイル そのファッションが、人生』が、2015年5月29日(金)、TOHOシネマズシャンテ&新宿ほか全国の劇場で公開される。

伝説的なアポロシアター出身のグラマラスな81歳のダンサー、アッパーウェストサイドの有名ブティックのオーナーで派手なアクセサリーを好む80歳、ウェスト・ビレッジに住むカラフルな着こなしで有名な93歳のアーティスト…。個性豊かな7人の女性にフィーチャーし、彼女達のニューヨークでの暮らしや、エキサイティングで感動的な日常が描かれる。

『アドバンスト・スタイル』のプロデューサーは、写真家のアリ・セス・コーエン。映画が製作されるきっかけとなった人気ブログ「Advanced Style」の主宰者だ。自身のブログでお洒落上級者のスナップ写真を掲載している彼の被写体は、全て60歳以上の女性。彼女たちの魅力的なスタイルは、一般読者はもちろん、『ヴォーグ』誌をはじめとする有名メディアにも多数取り上げられ、一躍注目の的となった。

人生の障害をスタイルとエレガンスで軽々と乗り越え、年齢など精神的なものにすぎないと証明してみせる彼女たち。『アドバンスト・スタイル』は、美や若さへの執着に疑問を投げかけた、自立したスタイリッシュな女性たちの、親密かつカラフルな“肖像画”でもある。

当初は「カメラマンとその被写体」という関係でしかなかった彼らが、様々な関わりの中でその関係性を深めて行く過程も、本作のみどころの一つだ。

一つのブログ「Advanced Style」をきっかけに、周囲の環境、そして自身にどんな変化があったのか。来日したアリ・セス・コーエンと、劇中でフィーチャーされる女性の一人、ジョイス・カルパティにインタビューを行った。

“歳なんて本当に関係ないの。私は、これからの先の人生に何が待っているのか、まだまだ楽しみでしょうがないんです。”

ーーージョイス・カルパティ

祖母と親友のような間柄だったというアリ。ブログ「Advanced Style」の原点は、この祖母との関係性だ。


ブログ「Advanced Style」の主宰者アリ・セス・コーエン

ブログ「Advanced Style」を始めたきっかけを教えてください。

アリ:僕は祖母と親友のように仲が良かったんですが、彼女はいつも私に、「もし何かクリエイティブなことをしようと思うのなら、ニューヨークに行くべきよ」と言い聞かせていました。彼女が他界した後、その言葉通りニューヨークに移住し、美術館で働き始めたのですが、ある日、信じられないほど着飾り、生命力に満ち溢れた素敵なシニアの人を路上で見つけたんです。

その時、メディアはこういった女性を軽視しているんじゃないか?と感じて。純粋な若さと普遍的な美だけではなくて、ファッショナブルでクリエイティブな、こんな素敵な歳の取り方があるのに。僕が祖母と凄く近しい関係にあった事ともリンクしていますが、そういった経緯があって、彼女達の事をブログを通じて発信していこうと決めました。

ニューヨークタイムス、ヴォーグといった有名誌にブログが取り上げられ、その被写体である彼女達も一躍有名人に。有名ブランドのキャンペーンモデルに抜擢されたり、テレビ番組に出演したりと、活躍の場を広げて行く。劇中でも、そんな彼女達の新しいチャレンジを垣間見る事が出来る。


ジョイス・カルパティ 80歳

ジョイスさん、一人の被写体として「Advanced Style」の魅力とは何でしょうか?

ジョイス:こんな生き方もあるんだよ、という人生のアイディアを発信出来る事ですね。ブログを通じて、読者と私たち被写体がお互いに影響し合う事ができるんです。

初めて撮影された日の事をおぼえていますか?

ジョイス:もちろん。パリから戻ってきて数日、ニューヨークは雨でした。用事があった建物から出た時に「あなたの写真を撮らせて頂けませんか?」とアリが話しかけてくれたんです。彼の話を聞いて、その活動にすぐに賛同しました。

思い返せば、その日を境に、本当に多くの素晴らしい良い経験をする事が出来ました。アリが私の人生に、新たな可能性をくれたんです。

アリ:僕もジョイスや彼女達から新しい可能性をもらったんですよ!

どうして映画を制作することになったのでしょうか?

アリ:ブログをスタートしてからすぐ、行きつけのコーヒーショップで働く友人で、ビデオ撮影家でもあるリナから、私の被写体を撮影させてほしいと連絡があったんです。これが、この映画の始まりですね。その後、ブログの活動と平行してキックスターターのキャンペーンを始め、50,000ドル以下という低予算で映画を作る事に。チームは、私とリナだけでしたが、4年間をかけて女性たちを断続的に撮影し、今回ようやく映画を世界に送り出す事が出来ました。

ジョイスさんはかなりの有名人になってしまったのでは?

ジョイス:本当にその通りです。バス停、スーパー、プール…どこにいっても、人々がたちどまるんですよ。みんな私のことを知っているんです。ある時は、私に人生のアドバイスを求めてきたこともありました(笑)。なんと答えたか?その時は、「もしあなたが今何かしたい事があるのなら、ただそれに向かって突き進みなさい」とアドバイスしましたよ!

有名になった事で、生活に不便は感じませんでしたか?

ジョイス:有名人になるという事は、時にその人を生きにくくさせるのではないかと言われますよね。でも、私は有名になった事で全く不自由には感じていないし、むしろ素晴らしいことだと思っています。それだけ私達のスタイルを多くの人に発信出来ている、という事でもありますから。

アリさんの方はいかがですか?

アリ:ジョイスと同意見です。有名になる、という事の意味自体が変わってきているんでしょうね。僕にとっては、有名になるという事は決してゴールではなく、自分の活動をやっと世界に発信する事が出来るようになった、というスタートです。

でも、まさかここまで大きなムーブメントになるとは考えもしなかったですね。僕が写真を撮った女性が有名になって、路上で話しかけられるような存在になったりするなんて。

これまでにアリが撮影した写真を収めた写真集も本国アメリカで絶賛され、日本上陸後も国内発行部数3万8千部というヒットを記録。これを記念して開催された写真展にも、多くの人々が訪れた。

ジョイスさんをはじめ、映画でフィーチャーされている女性7人は、皆強烈な個性をお持ちです。お二人にとって、個性とはなんでしょうか?

アリ:彼女達はみな自分の人生を生きています。それは自己中心的という事ではなくて、自分自身を心から愛しているんです。その心がスタイルに影響を及ぼし、“個性”と呼ばれるのではないでしょうか。

ジョイス:自由な心を持っていること、ですね。決して自分以外の人間になろうせず、今の自分の最大限を表現するということです。私は、若く見られたい訳ではなくて、ただ魅力的でありたいだけなんです。

ブログが有名になり、多くの人々にその存在が知られるようになりました。「Advanced Style」での活動を通じて、アリさんご自身にはどういった変化がありましたか?

アリ:自分の人生について、根本的に考え方が変わりました。クリエイティブなものを得ること、自分の好きな事を毎日続けることの大切さ。僕がこの活動を50年続けられるかはわからないですが、たとえ途中で終わってしまったとしてもいいと思っています。

人生には様々な岐路がある。それは予測しようがないし、自分が今していることは、長い人生の中ではほんの一部でしかない。だからこそ、日々の努力を怠らないことが大事なんだと、彼女たちから学びました。事実、彼女たちはこうやって、60歳や70歳になっても新たな輝かしいキャリアを築いていますからね。

最後に、これから映画をみる人にお二人からメッセージをください。

アリ:とにかく歳を撮る事を恐れずに、今の人生を楽しんでほしい。劇中に出てくる彼女達の姿を見れば、きっと力をもらえると思いますよ。

ジョイス:年齢なんて、本当に関係ないの。私は、これからの先の人生に何が待っているのか、まだまだ楽しみでしょうがないんです。映画を観た皆さんが、私たちの姿を見て何か得るものがあれば嬉しいです。

全ての年代の人々にとって、今を楽しむためのヒントがたっぷり詰まった映画『アドバンスト・スタイル』。劇中でフィーチャーされる女性は、皆それぞれが充実した人生を送り、優雅に年齢を重ね、時に悩み、成長し続け、そして常に挑戦し続ける。肉体的な若さではなく、自分自身を輝かせる本質的な若さを持つ彼女たちの生き様を、是非劇場で目撃してほしい。

【プロフィール】
アリ・セス・コーエンは、“ファッションに精通したシニアたちを記録すること”をテーマにしているブログ「Advanced Style」の創設者。2012年に出版された初の書籍は、現在第7刷を重ねている。ニューヨークタイムス、ニューヨーカー、ヴォーグ、フォーブスに賞賛されたブログに加え、撮影作品は、カレン・ウォーカーの2013年夏のアイウェアキャンペーン、コーチのデジタルキャンペーン、ヴォーグオーストラリアのファッション特集記事、グレイマガジン、ドイツのローリングストーン誌を含む。ブロガーになる前は、ファッションメーカーや店舗経営などで数年勤務。ニューヨーク在住。

ジョイス・カルパティ 80歳
グレーの髪を三つ編みにしたヘアスタイルと、パールのネックレスが産み出すエレガンスさがポイント。ロシア出身の両親のもと、ブルックリンで生まれ育った。40歳の時、パーキンソン病に倒れた夫の代わりに家計を支えようと、NYの一流雑誌社ハースト社広告部で働き始める。雑誌社で働く女性第一号として、人気女性誌「Good Housekeeping」の広告主任を経て「Cosmopolitan」のマーケティングディレクターとして活躍。定年退職するまでの27年間を勤め上げた。劇中でも披露する声楽は幼い頃に習い始め、16歳の時には著名な音楽批評家が開催したコンテストで才能を認められ、オペラ修業のためにミラノへ渡る。この頃、ミラノの街角で見かけた女性たちのスタイルが、彼女のおしゃれの原点となっている。家族は息子家族と孫がスープの冷めない距離に住んでいる。ファッションに興味津々の孫娘が遊びに来るのが楽しみ。

【作品情報】
『アドバンスト・スタイル そのファッションが、人生』
公開日:2015年5月29日(金) TOHOシネマズシャンテ&新宿ほか全国で公開
監督:リナ・プライオプライト
プロデューサー:アリ・セス・コーエン

 (c)Advanced Style The Documentary Llc. All Right Reserved.

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