ヴィヴィアン・ウエストウッド(Vivienne Westwood)は、2026年春夏メンズコレクションを2025年6月22日(日)にイタリア・ミラノにて発表。2017年以来初となる、メンズウェア単独での発表となった。
ヴィヴィアン・ウエストウッドが提示するのは、“現代におけるダンディズム”を表現した夏服。英国テーラリングと、ミラノ特有の洗練された雰囲気を融合させ、本質的なスタイルや個性を貫く、芯の強さを持った男性像を描き出している。
象徴的なのは、テーラードウェア。ジャケットのウエストはシェイプし、肩のラインを強調しているのが特徴的で、トラウザーズは裾を折り返してアンクル丈に仕上げたものが散見された。
ワイドなピークドラペルを採用したスーツが存在感を放っていた他、袴のようなワイドパンツを合わせたセットアップや、艶やかなサテンのスーツ、グラフィカルなブルーストライプコットンのセットアップなど、バリエーション豊富に展開されている。
スーツが仮に「男性的」であるとすると、その一方でいわゆる「女性的」とされるアイテムが並列で登場していたのが印象的だ。レオパード柄のコートや落ち感のある素材で仕立てたプリントワンピース、そしてハイヒールパンプスやバレエシューズなど、フェミニンさをまとったアイテムがスーツスタイルと交互に披露された。対照的なカテゴリーをあえて両方踏襲したラインナップからは、枠組みを軽々と飛び越えていくような、自由な精神が感じられる。
サイドの開いた真っ赤なレースジャカードのケープやフロント・バックの両方に大きな穴のあいた幾何学模様のボディスーツ、アシンメトリーのラップスカートなど、身体性を強調したルックも散見された。“身体との均衡”に目を向けさせる、極端にヒールの高いブーツや、超厚底のプラットフォームサンダルも目を引いた。
地中海文化からのインスピレーションも特徴的なポイント。英国にも影響を与えたルネサンスや、イギリスの良家の青年がイタリアなどヨーロッパ大陸を訪れたグランドツアーなど、英国とイタリアを繋ぐ歴史上の接点を踏まえて、コレクションの随所に落とし込まれた。古代ローマの衣服を彷彿させるドレープ感のドレスやグラディエーターサンダルが、アヴァンギャルドなルックとの調和を見せている。
なお、ランウェイにはジョージコックス(GEORGE COX)とコラボレーションしたクリーパーシューズも登場。白黒のバイカラーアッパーに、ゴールドカラーのロゴを配した厚底シューズだ。