ヨウジヤマモト プールオム(Yohji Yamamoto Pour Homme)は、2026年春夏コレクションを2025年6月26日(木)にフランス・パリで発表した。
顕著な地球温暖化に近年関心を持ち、直近のシーズンもこう着やすさや快適さをデザインに反映させてきたヨウジヤマモト。半袖のテーラードジャケットに、レザーサンダルをあわせた象徴的なルックから幕を開けた今シーズンも、地球を取り巻く環境や社会に向ける山本耀司の眼差しが落とし込まれている。
一貫して薄く柔らかい素材が用いられ、軽快な佇まいが採用されている。半袖になったテーラードジャケットには華やかなヨウジヤマモト バイ リーフェ(Yohji Yamamoto by RIEFE)のブレスレットやネックレスを組み合わせてコーディネート。軽やかでありながらもドレスアップした、特別感のある装いを提示している。
着丈が長めのジャケットに緩やかなパンツを合わせた、ヨウジヤマモトらしいシルエットのセットアップやアイコニックなドクタージャケットも、軽くしなやかな素材で提案。ゆらめくブラックの布地は上品な光沢を備えており、涼しく凛とした佇まいを見せる。また、ブラックよりも1段階色彩を軽やかにしたグレーのジャンプスーツも存在感を放っていた。
流れるような布地のテキスタイルにも注目したい。"HOT SUMMER""NO MORE WARS"など、メッセージをダイレクトに表現したプリントに加え、鮮烈に浮かび上がるような色使いのグラフィックが印象的だ。揺れ動き、光の差し込む水面を思わせるブルーグラデーションのジャケットやパンツは幻想的な余韻を残しつつ、環境問題の影響を直接的に受け続けている海へと集中を向けさせる。また、抽象化されたステンドグラス、もしくは万華鏡のような絵柄のプリントも目を引いた。
テーラードスタイルの他、作務衣や和装を思わせるすっきりとしたノーカラーのジャケットや、分量を持たせて緩やかなドレープを効かせたシャツコートなど、自然と身体になじんでいくようなパターンも散見されている。アシンメトリーのロングシャツは、半分はケープのように袖のないアシンメトリーデザイン。風をたっぷりと含むようなフォルムに仕上げている。
さらに、ストライプ地のジャケット背面にはスリットを施し、ロングジャケットの肩から袖にかけてはボタンを並べ開閉ができる仕様にするなど、服と身体の間に空気を取り込むようなデザインが多数見て取れた。
透け感のあるブラックのニットカーディガンにはところどころに大胆に穴が空いている。通気性はもちろん、穴の空いた空間から下に重ねたシャツのメッセージプリントがちょうど見えるようになっており、ささやかな遊び心をのぞかせた。