企画展「奈良美智: The Beginning Place ここから」が、青森県立美術館にて、2023年10月14日(土)から2024年2月25日(日)まで開催される。

震災後12年間の活動と創作の軌跡

孤独に佇む鋭い眼差しの子どもを描いた作品で知られる美術家、奈良美智(なら よしとも)。1959年青森に生まれた奈良は、1988年ドイツに渡り、1990年代以降は欧米や日本で積極的に作品を発表してきた。2000年に帰国したのちには、大規模な個展の数々を国内外で開催し、国際的に評価されている。

約40年に及ぶ奈良の活動のなかで、創作の転機となったのが、2011年の東日本大震災だという。大震災以後の奈良は、自身がよって立つ地盤を確かめるようにして、過去に意識を向けてきた。自らにゆかりのある土地を旅し、旧作を新たな視点から捉え直すなど、過去との対話を通じて「自分の時間軸に一本の幹を見つけ」ようとしているのだ。

企画展「奈良美智: The Beginning Place ここから」は、青森県立美術館で約10年ぶりに開催される奈良の個展。創作の転機となった震災以後の活動に着目し、近年の作品を紹介するとともに、40年以上にわたる創作の軌跡に通底する「一本の幹」を浮かび上がらせることを試みる。

新作を含む約200点を展示

本展では、新作約20点を含む約200点の作品を、「家」や「積層の時間」、「旅」などの5つのテーマのもとで紹介。たとえば「家」では、奈良作品に現れる家のモチーフの意味を、初期作品の変遷をたどりつつ考える一方、「積層の時間」では、近年の絵画作品やドローイングなどから、奈良作品におけるレイヤーの特質に光をあててゆく。

絵画や立体作品の大作を公開

また、会場では、近年手がけられた絵画の大作3点、立体作品の大作2点を展示。絵画では、《Midnight Tears》や、日本初公開となる《Hazy Humid Day》など、いずれも高さ2mを超える作品が出品される一方、立体作品では、アルミニウムで制作された《Peace Head》と《Ennui Head》を目にすることができる。

初期作品も

さらに、本展では、1980年代の初期作品も多数展示。奈良の典型的な画風が確立される前、独自の表現を模索していた作品を、約30点紹介する。なかでも、初期の代表作《Merry-Go-Round》は、20年以上ぶりの展覧会出品となる。

展覧会概要

企画展「奈良美智: The Beginning Place ここから」
会期：2023年10月14日(土)〜2024年2月25日(日)
会場：青森県立美術館
住所：青森県青森市安田字近野185
開館時間：9:30〜17:00
※10月21日(土)、11月18日(土)、12月9日(土)、1月20日(土)、2月17日(土)は20:00まで開館
※入館はいずれも閉館30分前まで
観覧料：一般 1,500円(1,300円)、高校・大学生 1,000円(800円)、小・中学生 無料
※( )内は前売(ローソンチケット / Lコード 21794)、20名以上の団体、およびウェブチケット(システム利用料など別途165円が必要)の料金
※心身障がい者および付添者1名は無料

【問い合わせ先】
青森県立美術館
TEL：017-783-3000