著名な映画監督ピーター・フォン・カントは、恋人と別れて激しく落ち込んでいた。助手のカールをしもべのように扱いながら、事務所も兼ねたアパルトマンで暮らしている。ある日、3年ぶりに親友で大女優のシドニーが青年アミールを連れてやって来る。艶やかな美しさのアミールに、一目で恋に落ちるピーター。彼はアミールに才能を見出し、自分のアパルトマンに住まわせ、映画の世界で活躍できるように手助けするが…。

映画『苦い涙』は、フランソワ・オゾンが監督・脚本を務めた作品。かつてドイツの映画監督ライナー・ヴェルナー・ファスビンダーが1972年に公開した映画『ペトラ・フォン・カントの苦い涙』を現代風に翻案したアレンジ作品だ。ドイツ・ブレーメンを舞台に、恋人と別れ落ち込んでいる映画監督・ピーターが、若く美しい青年・アミールに恋をして翻弄される姿をユーモアを効かせつつシニカルに描く。