「ライデン国立古代博物館所蔵 古代エジプト展」が、静岡、東京、仙台、山口、兵庫にて開催される。静岡市美術館では2021年3月31日(水)まで開催され、東京のBunkamura ザ・ミュージアムでは「ライデン国立古代博物館所蔵 古代エジプト展 美しき棺のメッセージ」として2021年4月16日(金)から6月27日(日)まで開催される。
「古代エジプト展」では、世界で最も古い国立博物館の1つであるオランダのライデン国立古代博物館から厳選した、人や動物のミイラ、10数点の棺などを含む古代エジプト・コレクション200点以上を展示する。
ライデン国立古代博物館は、古代エジプト、 ギリシャ、ローマなど総数約20万点にものぼるコレクションを所蔵する博物館。中でも、質・量ともに世界有数のエジプト・コレクションを保有しており、ヨーロッパでは大英博物館、ルーヴル 美術館、ベルリン・エジプト博物館、トリノ・エジプト博物館と合わせて5大エジプト・コレクションに数えられている。
展示を通して、ヨーロッパにおける古代エジプトへの関心の高まりがどのようにして現地での調査へ連なっていったかを示し、発見された遺物から古代エジプト人の生活や社会、死生観など様々な文明の側面を紹介。さらに、最新の科学技術を通して医学的な知識やミイラ作りの過程、色やかたちに対する人びとの美意識などを解き明かしていく。
注目したいのは、世界初公開となる、本展出品のミイラを使ったCTスキャンの研究成果。完全に布で包まれた非常に良好な状態の、人間のミイラ3体と動物のミイラ1体を選び、最先端の技術を用いた詳細な調査が行われている。
さらに、貴重な棺10数点が集結し、「アメンヘテプの棺」や「ホルの外棺」といった棺を特別に立てた状態で立体的に展示。死者のミイラを物的かつ呪術的に保護するために製作され、墓に収められた棺の数々には、多くの神々や死者の安寧を願う呪文が記されている。
その他、様々なスタイルの石碑や遺物をはじめ、呪術的な意味を込めて作られた宝飾品などの副葬品、ヨーロッパの旅行者や調査団による遺跡のスケッチや写真なども展示。現在ライデン国立古代博物館が行っている発掘調査の様子を映し出した映像や、出土品も紹介する。装飾や神々の姿、呪文の変化などを比較することで、人々と来世の関わりの移り変わりを浮き彫りにする。また、その彩色技術や製作法、文字の書体などを通じ、近年大きく進展している棺の研究の最新プロジェクトも紹介する。