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蒼井優, 高橋一生 インタビュー|写真13

■書籍発売から10年以上の時を経て映画化を実現したのは、時代の変化もあるということですか?

タナダ監督:それが非常に大きいですね。オリエント工業(ラブドール製造会社)さんが、毎年ラブドールの人形展示を開催しているんですけど、2017年に渋谷で開いた際には、30分待ちの行列ができたんです。その時私も足を運んでみたんですけど、驚いたことに、その会場の半分を占めているお客さんが女性の方だった。“あぁ、時代は変わったな”って、肌で感じた瞬間でしたね。だって執筆時は、女性であるというだけで、ラブドール会社に問い合わせをするだけでも、一苦労でしたから。

そして運の良いことに、30代になられてる蒼井さんがいる(笑)。それで映画化を決めた際には、蒼井さんに真っ先にオファーをしたというわけです。

蒼井優, 高橋一生 インタビュー|写真5

蒼井:本を読んだのは自分の中で大分昔の感覚だったから、“私でいけるの?”って。オファーをいただいた時、私まだ年齢的にまだ間に合うんだ!って嬉しかったことを覚えています。

タナダ監督:断られること承知だったので、蒼井さんの“YES”の返事に、逆にびっくりしたことを今でも覚えています(笑)。

<撮影現場について>

『百万円と苦虫女』以来親交のあるタナダユキ監督と蒼井優。互いを“盟友”と照れ臭そうに呼ぶ2人は、インタビュー中も楽しげ気に撮影現場について打ち明けてくれた。

蒼井優, 高橋一生 インタビュー|写真18

■2人の間にある深い絆は、撮影現場でも活かされましたか?

蒼井:私はタナダさんを昔から知っているということもあって、台本から“声”が聞こえてくるような感覚はありました。作品のテンポだったり、間だったり、音だったり…。タナダさんが作りたいであろう要素が、不思議とすんなりと入ってくる。例えるなら、“明確な地図”を渡されているような。だから園子という役柄も、タナダさんの台本通りに演じれば、こちらが何か試行錯誤する必要はありませんでした。

■今回はラブストーリーでしたが、そのことについても役作りの上で意識されなかった?

蒼井:それはタナダ監督作品やラブストーリーに限らず、実はないんです。これまで私は、本当に素晴らしいキャストの方達と共演できてきたこともあり、役作りに関していうと、常にベストな状況が現場で整っていたと思います。自分のこれまでの経験を役柄に反映させるとか、そういった複雑な過程なしに、相手の方のセリフをまっさらな状態で聞く。そして素直に返しているという感覚に近いかもしれないです。

蒼井優, 高橋一生 インタビュー|写真14

■現場で一番印象に残っているシーンは?

蒼井:私と高橋一生さん演じる夫婦が、机を挟んで会話を繰り広げるシーン。あの場面は、“あ~タナダ組に戻ってきたな。”と感じましたね。『百万円と苦虫女』の時も同じように、机を挟んで森山未來さんと長い会話をする場面があるんですけど、それとまさに同じ構図。つまり一見普通に会話をしているように見える2人が、実は机の下で“音”にはならない声で腹の探り合いをしている。相手が喋っている声と、隠している声が同時進行するタナダ組の醍醐味ともいえるシーンなんですよ。

タナダ監督:あのシーンを作るのは、実はすごく難しいんです。現場はスムーズだったんですが、その時の二人のお芝居を最大限に生かすにはどうすべきか、深刻だけど追い込まれた時の人間の滑稽さをどう伝えるのか、仕上げでは音楽の入れ方も試行錯誤しました。

蒼井:でも本当に不思議なんですよ。台本に従っていれば、相手側の“隠れた声”が自然に聞こえてきちゃうわけですから!

<タナダ監督の目指すクリエーション業>

ラストは、タナダ監督のクリエーション業にフォーカス。ある時は小説家、とある時には映画監督として活躍する彼女に、クリエーション業の魅力について伺った。

蒼井優, 高橋一生 インタビュー|写真16

■映画『ロマンスドール』は、ご自身の原作とは異なる部分もあります。その理由は一体何でしょう?

タナダ監督:映画は、原作とは親戚関係でありつつも、別のものと考えているからです。その為今回も、映画として成立させるためには、何が最善なのか?ということを意識して脚本を執筆しました。頭の中で重要なストーリーラインはしっかりと残っているので、当時は原作をほとんど読み返すこともありませんでした。

■実際に映像を残す上で、最も注力をしたことは?

タナダ監督:今回は特に、美しい映像として、自分の作品を残したいなという気持ちは常にありました。理由は、主人公の哲雄にとって園子は美しい思い出そのものなので。それって残酷なことでもあるのですが。

蒼井優, 高橋一生 インタビュー|写真2

■“文字”で伝える物語と、“映像”を通して伝える物語。双方に携わるタナダ監督にとって、それぞれの制作の魅力とは何でしょう?

タナダ監督:小説の場合は、担当編集者とほぼ2人で制作を進めていくかたちなので、互いの進路が同じ方向を向いてさえいれば、何かに迷うことは非常に少ないのが良いところ。だから周りから何を言われても、担当編集者と信頼関係にあれば絶対的な安心感があるんです。難点があるとすれば、自分の中に迷いが生じてしまった時。だって相談できる相手は、一人しかいないわけだから(笑)

そして映像の場合は、自分の作品に携わる人たちが、小説とは比べ物にならないくらいに増えるのが面白い。人が多いだけ、それぞれ違う考えを持っているので、色んな意見を聞くことができますからね。でも時には、そういった様々な考えを、自分の進みたい方向にリードしなければならないこともある。だから、小説と映画には、それぞれ異なる面白さと大変さが共存していると思います。

蒼井優, 高橋一生 インタビュー|写真6

■そんなタナダ監督の人生にとって、クリーエーション業とはどんな存在?
タナダ:人生をかけた遊び。大人の本気の遊びです!なくてもいい仕事なんです、この仕事は。それでもやるなら覚悟がいる。明日は無い、という気持ちでやっています(笑)。

主題歌に4人組バンド・never young beach

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