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宇野亞喜良にインタビュー - “笑わない”少女絵を描く理由、毒と耽美の世界に迫る

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耽美的かつ装飾的。毒や刺激的な要素も混ぜ合わせながら、捉えどころのない表情の少女や幻想的な世界を描いていくイラストレーターの宇野亞喜良。イラストレーター・グラフィックデザイナーの他、寺山修司演劇作品の舞台美術監督、芸術監督も務めるなど、幅広く活動している。

最近では、2018年12月15日(土)に公開される映画『メアリーの総て』の劇場鑑賞券のイラストレーションを手がけた。映画の主人公、メアリー・シェリーはゴシック小説の金字塔フランケンシュタインを著した1800年代の女性作家。宇野が描いたメアリーの創作過程、クリエーションへのスタンス、現代のファッションなどについて話を聞いた。

キャラクターを作り上げるまで

映画『メアリーの総て』より
映画『メアリーの総て』より

イラストレーションを描くにあたり、例えば映画の主人公メアリーをどのようなイメージで描こうと考えましたか?

映画の中のメアリーをどう描くかということに関して、実はあんまり考えていませんでした。つまり、メアリーのキャラクターと実際のイラストを合わせるという作業は行っていません。むしろ、大変な人生を過ごされたメアリーを、劇中での大人びた性格とは反対に、もっと可愛らしい少女として描きたいと思いました。

映画に依拠するのではなく、頭の中で作り上げたイメージを大切にされているのですね。

僕は描く時に、手元に資料を置かないタイプです。今のイラストレーターだと、映像の中の好ましいものをプリントアウトして、横にその映画のネタを置いたうえで、イラストを描く方が多いと思いますが……僕の場合、そういう風に出力したものに置き換えて絵を描くことが逆にできない。今回の場合は、頭の中でざっと作品を観た後に、ふと浮かんできた可愛らしい少女像を感覚的に描きました。

映画『メアリーの総て』より
映画『メアリーの総て』より

メアリーを可愛らしい少女として描いたポイントを教えてください。

例えば、映画では柄物のドレスは一度も出てこないのですが、イラストでは花柄のドレスをメアリーに着せました。そして1800年当時はカラーストッキングなんてもちろん存在しないけれど、僕はピンクのストッキングを選んでいます。

劇中のメアリーが華やかなドレスを着ていなかった分、イラストレーションの中では装飾をギュッと詰め込んだ洋服を描くことで、メアリーの可愛らしさがより表現できるかなって。

ドレスの柄にバラを選んだのはなぜですか。

描いた当時、特別な理由はなかったのですが……。今考えてみると、雑誌『血と薔薇』から連想したのかもしれません。『血と薔薇』とは、1980年代に澁澤龍彥さんが中心となって、エロティシズムや残酷な文化を取り上げた雑誌なんですけど、中には美学的な怪奇シーンなども掲載されていて。その世界観が僕の頭の中のイマジネーションと自然にマッチしたのだと思います。

それから物語の舞台であるイギリスでは“薔薇戦争”と呼ばれるものがあったので、これも関係しているかもしれません。頭の片隅に残っていたワードが、イラストレーションとなってふと現れることもあるんです。

“可愛く描く”以外には、どのようなことを考えて描かれましたか?

意識的に、怪奇映画の通説的なイメージから燭台(ろうそくを立てるための台)を持たせてみたり、メアリーが生み出すことになる “フランケンシュタイン”の人形を持たせてみたりしました。

それから現代とは異なる要素も描いてみたかったので、メアリーのドレスの襟元には、少し古めかしいレースをあしらっています。この点に関していうと、僕はファッションの正確な時代背景を把握しているわけではないので、“当時はきっとこういうアンティックな感じなんだろうなぁ”なんて、イマジネーションを膨らませながら描きました。

印象的な表情 – 笑わない少女像

宇野さんの描く、捉えどころのない少女の表情が印象的です。笑っている少女像を描かないのは何故でしょう?

“笑っている女の子”という形が、僕はどうも好きになれないからです。例えば、雑誌やブックマークの表紙を飾る女性というのは、店頭にいる客を見据えた上で“あなたに私の微笑みをお見せします”というような、不自然な笑顔に見えてしまう。

もちろん街中で少女に微笑まれたら、僕だって嬉しいですけれど、それすらも“なぜ笑っているのだろう”と一種の気味の悪さを感じてしまうんですよね。誰しもこの世の中に対して、多少なりとも不信感や疑問を抱いているはずなのに……。まるでそんなものが存在しないかのように、にっこり微笑む姿が、僕の目には不気味に映ってしまうようです。

その考えから、現在の作風に辿り着いたということでしょうか。

はい。少女がこの世の中に対して抱くかすかな批評性とか、そういうリアルなものを描くほうが僕にはしっくりくる。“あなたに話しても、私のこと分かってくれないでしょう”という眼差しで見つめる少女とかね。そこでにっこりと笑ってしまうと僕の描きたい少女像とは異なるものになるのだと思います。理屈で言うとそんなところでしょうか。

宇野さんのイラストレーションに含まれる、ある種の“毒っぽさ”やスキャンダラスな要素も同じ理由ですか?

それは“そのほうが面白いかな”って僕自身が感じているから。例えば、テレビで人気のお笑い芸人は、頭できちんと理解したうえで、敢えて毒づいた発言をして、笑いをとっているでしょう?

そういう計算し尽くされた“毒”っていうのは、どこか人を惹きつける“魔術”のようなものが潜んでいるのではないかなと考えていて。だって、会話において毒のある言語が使えない人って、才能がない感じがしませんか?僕もそんな毒の持つ魅力に惹きつけられた1人だから、イラストレーションにも取り入れているのです。

それでも毒や刺激を孕んだ表現は、多くの人々に向けた表現というよりは、少しアングラ・サブカルチャーの印象を受けます。長い間、その時々の若者にどのようにアプローチして、人気を集めたのでしょう?

これは、一言で説明するのが非常に大変でして(笑)。

僕は、僕のクリエーションを愛してくれる少数派のファンがいてくれればいいと考えていますし、僕も実際そういった少数派のファンの方に向けてイラストを描きたいと思っています。だって街行く人全員が僕のバッグを持っていたら、それはそれで気持ちが悪い光景でしょう(笑)?

だから、1960年代に化粧品会社の広告を手掛けていた時も、全ての人から共感を得るモノを作ろう!なんて微塵にも思ったことがなかった。“自分と宇野亞喜良の接点が一番深い”“私だけがこの作品を理解できる”というような、幻想を抱いてくれる少数派のファン達がいてくれればいいなと漠然と考えていました。それでも、僕がこうして長くやってこられたのは、そういう“少数派”だと思っていた人達が、全国のあちらこちらを探してみると、実は沢山いらっしゃったからなのかもしません。

Photos(33枚)

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